ニコニコ動画のこれまでと今後(後編・MAD文化、そしてこれからのニコニコ)

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前回書いたものの続きになりますので、読まれてない方はそちらからお読み頂ければ幸いです。

前回は動画ランキングや今そこで人気のゲーム実況あたりのことを書きましたが、今回はニコニコ動画に昔からあるMAD作品などについて触れます。

MADや二次創作の傾向

前回ゲーム実況のことを語ったので、話を昔からのニコニコに存在するMAD系や二次創作系作品についても注目してみます(このあたりにおいてもジャンルは非常に広く一緒くたにするのは乱暴かもしれませんがご容赦ください)。

前述したように、こちらも閲覧数や投稿数は昔に比べて低下傾向という感じを受けます。定期的にミリオン動画を出していた音MAD系も最近ではあまり見なくなりました。とはいえ、出始めでネタも素材も創作意欲の勢いもありまくった2010年以前と比べるのは酷とは思いますが。

ただ、それら創作物自体は今でも多く作られているようです。特にその時流行のアニメは強く、放映中はランキング上位に入ることもしばしばあります。今年を見ると『アイドルマスターシンデレラガールズ』などが放映時に多く出てきていた印象ですし(もっともこちらはニコニコ動画に古くからあるアイマスカテゴリの流れもあるのでしょう)、『おそ松さん』の創作系は2016年2月現在も進行形です。

ゲームの二次創作においては『艦これ』がいまだに強い印象を受けます。あとゲームの場合はゲーム攻略の解説をする攻略動画も作られていますね。それと「例のアレ」カテゴリにある俗に言う淫夢系という賛否を伴うジャンルがたまにランキングに上がってきたりします。

TPPはMADにどう影響するか

しかし、今のところまだそこまで重大視されていませんが、MAD文化、ひいてはニコニコの存在そのものに大きく影響するかもしれないものが動いています。

昨年大筋合意したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の中には、知的財産分野において、著作権侵害への非親告罪適用という項目がありました。つまるところ著作権の侵害に対して今までは親告罪、すなわち著作権者の告訴が著作権侵害要件となっていたものを、検察が著作権者の告訴無しに起訴が可能になるというもの。

これにおいては同人関係でも非常に大きく問題視され、同人やコミケ文化自体の存亡にかかわる可能性があるということで慎重を求める動きがありました。その結果二次創作は各方面の努力により、非親告罪の対象から外れるような傾向で調整されているようです(もちろん実際の法制定&運用までどう転ぶかわからないので今後も要注目です)。

■参考

ただ、現在もなおそこで宙ぶらりんになっているように思えるのがMAD文化。

MADは二次創作の同人誌的なものと異なり、その原作物のコンテンツを素材として使用することが大半です。それは映像にしても音にしても。しかしそれは二次創作として非親告罪の対象から外れることになるのか、それとも著作物を使っている以上、非親告罪の対象となり得るのか、ここがいまだに明確になっていません。つまり、素材を使用することが侵害とみなされた場合、そういったものを使ったMADの公開自体が触法となってしまう可能性もあり得るのです。ニコニコ以前からMAD文化におけるグレー部分であったところが、急速に論議対象となってしまった感じですね。

これについてはどうなるかというのは、現在進行形でかなり微妙なラインにあると思われます。というのは、実写系MADは著作権者がその使用を認めたくないと思っているものも多いからです。実際に申請削除されるものもかなりあるわけで。そういったところからは非親告罪対象になる動きはむしろ歓迎される可能性も大いにあり得ます。そうなると侵害=告訴される可能性を恐れ、MAD自体が作られなくなる可能性も大いにあり得ます。それは制作側からもファン活動として黙認されているものも含めて。

おそらく2016年、ここのあたりについても大きな論議になると思われます。法律、ニコニコ、そしてMAD文化がどうなるのかについて動向を見守ってゆく必要があるでしょう。

ニコニコの今後はどうなるのか

最後にニコニコのシステムや運用的な面からの現状と今後を考えてみます。

2007年の開始からすでに9年経っているわけですが、今でも変化し続けています。それは時代の状況がめまぐるしく変化していることも大きいのでしょう。

2007年当時はまだガラケーが主流でしたが、現在はスマホが主流となりそれに対応するアプリやコンテンツの対策などが急務になっているのはどこも同じですが、ニコニコも例外ではありません。特にニコニコがPCでの動画視聴で始まり文化が広まってきたところがあるので尚更。しかしそこにおいて今もなお迷走も含めた試行錯誤中といったところでしょうか。代表的なものはツイキャスを強く意識したニコキャスが公開数日で休止、そして今年終了したことなどが挙げられるでしょう。

あと、プレミアム会員への変更への力がかなり強くなってきたのも体感出来ます。まあ営利である以上は当然なのでしょうが、問題はプレミアムでの機能追加、というより、プレミアムではない一般会員は機能を削減されている(画像劣化、途中再生不可など)という印象が強いところがあります。これはYouTubeという対抗がある限り、同じような動画コンテンツがあるとそちらに流れる危険性もありますが、この傾向は今後も続くのでしょうか。

しかし何よりの問題は、8年経ちユーザーの生活環境の変化や入れ替わりが起きていることではないでしょうか。2007年に中高生だった人は、今は多くが社会人になっていてもおかしくない年齢になっているわけです。となると、時間的にニコニコに触れまくっていた人も、仕事などの生活の変化、趣向の変化で離れてしまった人も多いでしょう。

また、そういった人の入れ替わりによるところも大きいのか、コミュニティとしての変化が起きているのも注目されます(それ、特にコメントについては今年、運営から10月に「ユーザーの皆さまへ(ニコニコ活動ガイドラインについて)」というインフォメーションが出されました)。

ユーザーの皆さまへ(ニコニコ活動ガイドラインについて)‐ニコニコインフォ

まとめ

すでにニコニコ動画は日本のネットにおいて、良い面悪い面両方含めてかなりの存在感を示すようになっています。そして今まで変化し続けてきたように、来年以降もシステム的にも文化的にもニコニコ動画は変化を続けるのでしょう。それがどういうふうになってゆくのかは注目するところです。

――それは緩やかな衰退か、それとも新たな段階への発展か――

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