空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

新入生など新生活を始める人を狙うサークルの罠について

 そろそろ新年度。新入生、新社会人をはじめとして、新しい生活を始める方も多いことでしょう。しかし残念ながら、この時期は新環境になった人の無知につけ込み、悪徳商法やカルト宗教の勧誘を仕掛けてくる人が増える時期でもあります。

この時期にはそういったものに引っかからないように警告を出していて、数年前にも一度ブログで以下のようなものを書きました。

nakamorikzs.net

それから7年経ちましたが、近年でもこのような新生活を送る人の無知を狙って近づいてくる宗教(カルト)や悪徳商法は存在します。それどころかネット、とりわけSNSの発展で新しいパターンも生まれつつあるようです。これについては新入生、新社会人はもちろんのこと、その家族や友人など周辺の人もストッパーになるために知識を蓄えておく必要があると思います。

そこで今日は、とりわけ最近増えてきたという「サークル」つまり人の集まりを利用したものについて書いてゆこうと思います。入学式やサークル勧誘の時期が近いので主には新入生を対象とする大学のサークル想定ですが、それに限らずSNSなどで広く募集しているものも含みます。

 

 

 「偽装サークル」の存在

まず前提知識から。

サークルというと、主に共通の目的を持った人が集まるところです。それはスポーツであったり趣味であったり、それらがなくとも友だちを作りたかったり等。しかしながら、それだけではなく裏で別の目的を持っているものもあり、「偽装サークル」として問題になります。

では、どんな裏の目的を持った人が「偽装サークル」を作っているのか。これまでの例などをふまえて以下に記します。

 

宗教(カルト)サークル

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よく問題となるのはこの宗教が偽装したサークル。つまりサークルを偽って勧誘し、そこからその宗教に引き込むという手口ですね。その中には「カルト」と呼ばれているようなものも多く含まれています。

具体的には名目上のサークルを名乗って仲間を集め、そこでちょっとした交流を持たせてから、セミナーなどに連れて行かれてそのまま引き込まれるというパターン。特に「泊まり込みセミナー」等の場合、強引に囲い込んで入会させるなどの悪質なパターンもあるようです。

これはかなり昔から問題視されており、一番有名だった時期は、1990年代にオウム真理教の一連の事件が起きた時、ヨガサークルなどを名乗ってあちこちの大学に入り込み、信者獲得をしていた事実が判明した時でしょうか。さらに同時期、同じように「原理研」も問題になっていたと記憶しています。実際私が大学に入った時も、それへの注意喚起のプリントが配られていました。

参考:原理研究会 - Wikipedia

しかしオウム事件から20年以上が経った今、この頃の記憶も薄れてきたのか(そもそも今の大学新入生、オウム事件の時に生まれてないという)これら及び他の宗教が偽装サークルを行って勧誘しているという情報が流れてきます。

参考

学生生活|首都大学東京学生サポートセンター学生課の公式サイト

京都大学新聞社/Kyoto University Press » 原理研究会・京大学生新聞にご注意

勧誘にご注意ください:『山形大学生新聞』に御注意|山形大学

若者信者が急増中 美女が逆ナンする『アレフ』の勧誘手口 - リアルライブ

 

マルチ(ネットワークビジネス)系サークル

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近年、経済研究などの名のもとに、経済的成功を目標にするサークルが増えています。しかしその中にはマルチ商法と非常に密接に関わっているところも存在します。

マルチ商法  :警視庁

マルチ(ネットワークビジネス)については賛否いろいろ言う人がいますが、少なくとも世の中のこともよくわからない人間に、そのリスクの説明も認識させずにローンを組ませてやらせるような行為明らかに問題です。

 

これについては過去の記事でも書きましたが、あらゆる方向から迫ってきます。サークル自体が関係なくても、そこに先輩や同僚でマルチに関わっている人間がいると、勧誘にかかってきます。

さらに最近ではSNSを利用し、直接マルチとは関係なさそうなイベントに呼んでワンクッション置いてから引き込むというパターンも多いようです。

参考

mtrl.tokyo

ちなみに勧誘方法がパターン化しているところがあるので、以下の言葉には気をつけたほうがよいでしょう。

d.hatena.ne.jp

前回の記事と同じですが、以下の体験談も参考に。

マルチ商法系の話で思い出した某養成所にいたころのこと

「俺ね、5年以内に起業して年収1000万超えるから。」 - 旧機械

マルチ商法に関する俺の体験談を書く - sunomononanoの日記

 

あと、マルチではなくても経済研究を名乗って、やってることがグレーもしくは違法というケースもあるので。

■参考:相場操縦、早大投資サークルOB2人に有罪判決 - 産経ニュース

 

政治団体(セクト)絡みサークル

特定の政治団体、有名なところでは中核革マルがらみの下部組織的サークルが勧誘に混じっている、ということはあったようです。20年前はよく言われましたが、最近ではだいぶ減ってきてはいるみたいです。ただ現存はするようなので、そういうのに関係したくない人は上の宗教などと同様注意したほうがよいでしょう。あと逆に政治系サークルでも実は宗教系というところもあるとかないとか。

前記の宗教系やマルチでもそうですけど、これらのサークルって入ると抜けにくい、というのがまだ問題でしょうね。

 

悪質飲みサー

建前上の活動はあるものの、それよりも飲み会やパーティー、イベントなどを主とするサークルは存在します。飲酒年齢含め法律を守っている限りは飲みなど遊び中心になるサークルが全部悪いとは言いませんが(大学はモラトリアム的なところもあるから遊ぶのもまた一面だし)、明らかに危険度が高いところも存在します。とりわけ女性にとっては。

それが有名になったのは、2000年代に世の中を騒がせたスーパーフリー事件でしょう。

■参考:スーパーフリー事件 - Wikipedia

しかしこちらも事件から15年経ち風化が進んでいるのか、「飲みサー」に関しての問題的なものが話題になります。記憶に新しいのは2014年に明大のサークルが新宿で集団昏倒したものなど。一部の女子大でこれらの飲みサーに対しての警告リストが出されたという情報もあります。

「公認サークル」という名前は信用を示す物ではない、ということはしっかり認識しておいたほうがよいでしょう。

 

ネットの利用が多くなってきている

とりあえず問題が大きいと言われているものを挙げてみました。

最近では昔のように学内で直接呼び込むという形ではなく、むしろネット、とりわけSNS(TwitterやLINE)を使った勧誘が多いようです。そしてそれは新入生に限らず大学生、そして社会人などいろいろな層に対して。

そのパターンとしては、友だち募集している人に声をかけたり、マルチなど金儲け系ならそれをしたいと思っている人に声をかけたりという、何かの目的を持っている人のところに上手く入り込んでそこから誘導するような感じ。

ブロガー飲み会やアフィリエイト系のイベントにそのようなのが入り込んでいるらしいという情報もあります。

8shu.hatenablog.com

 

万が一関わってしまったら

とはいえ、これらを完全に排除するわけにはいきません。ですが万が一少しでも怪しいと思ったら距離を置いてきちんと調べることをおすすめします。家族や友人に相談するのもよいでしょう。深く関わってしまうと、そちらに迷惑が及ぶ可能性もありえるのですし(特にマルチ)。大学生なら学生課に相談するなどしたほうがよいでしょう。それでもダメならちゃんと法律的に相談に乗ってくれるところも存在します。

 

皆が知っておくべき

最初に語ったように、これらの新入生などの当事者のみならず、その周辺の家族や友人なども知っておいたほうがよいことでしょう。いざ誰かが引っかかったらすぐに相談に乗れるように(出来ればリンク中の体験談みたいに深くはまり込む前に)。これらは周辺にも迷惑をかける結果になることが多いので。特にマルチは。

そしてこれらは形を変えて迫ってくるケースが多いので、自分のためにも。「自分は絶対に引っかからない」と思いこんで知識を得ない人が一番危ないので。

 

ニューカルマ

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