ネットのまとめなどを利用した著作権違反ロンダリングの話

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ストックコンテンツの企画・商品開発を手がける株式会社アマナイメージズが有料で販売している画像が、他社Webサイトに無断で使用され損害賠償を請求した結果、著作権および著作権人格権、独占的利用権の侵害が認められ勝訴したという報告がありました。

クリエイティブ業務に関わる皆さまへ有料写真、インターネット上の無断使用で著作権侵害が認められ勝訴|プレスリリース配信サービス【@Press:アットプレス】

これ、実はかなりいろいろな意味で注目すべき事案だと思います。

とりわけ大きいのは裁判所判決のこの部分。

しかし,仮に,Eが本件写真をフリーサイトから入手したものだとし ても,識別情報や権利関係の不明な著作物の利用を控えるべきことは, 著作権等を侵害する可能性がある以上当然であるし,警告を受けて削除 しただけで,直ちに責任を免れると解すべき理由もない。被告の上記主 張は,いずれも独自の見解に基づくものであって,採用することができ ない。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面 全文 P28より

ちなみにEとは、被告側でホームページ作成を請負った人を指します。

この見解はことによると現状と照らし合わせて今ネットの著作権において問題になっていることに大きな楔が打ち込まれる可能性を考えて今日の文章を書いてみることにします。

著作権違反をロンダリングで回避するような状況

今までネットでは、無断使用と思えるものが多数存在していました、というかいます(一応補足しておくと、上記判決では違法サイトからの入手とされている訳では内ので念のため)。しかし、多くの場合それは直接的にもってきたものではなく、何かを間に挟んで使われることが多くありました。それは上記のような無断で著作物を配布しているサイトなど。

そして利用者と著作権者の間にその違法配布サイトが混じっていることで、末端の利用者、すなわちサイトの管理者にとっては、「そこからダウンロードしただけで、著作権違反とは知らなかった」とある意味「善意の第三者」的なものとなり、責任の追及が出来ないということになります。

その結果、ネットでは何かを間に介した著作権違反物の公表というのが数多く行われてきました。たとえばイラストだったり、写真だったり、時にはマンガの早売り画像を引っ張ってきているようなケースもあるようです。

まとめサイトロンダリング

さて、そのロンダリングがどこで行われているのか。今までで多かったのが、いわゆる「2chまとめ」の形。つまり2ch(現在はopen2chや2ch.scも含むけど)にアップロードされているもので、それを利用するという形にして、まとめというサイトに公表するというもの。しかし2chなどの掲示板を介している以上、まとめサイト自体は「2chのものをまとめているだけで、それが著作物とは知らなかった」という言い逃れができてしまいかねないわけです。

大ざっぱですが、図にまとめるとこんな感じでしょうか。

著作権ロンダリング

ちなみに、配布サイト、つまり原侵害者とまとめが「同一の可能性も?」とあるのは、まあウラはとれないとしても、そういう風にすれば手っ取り早いから十分あり得るという話です。これは画像に限らず、探してくるより作り出した方が簡単ですし。でもって責任は原侵害サイトに丸投げと。まあいわゆる「自作自演」ですね。実際に過去、自作自演でまとめて、それが流出でバレて閉鎖に追い込まれたまとめサイトも存在します。

スレというのは必ずしも多くの人がいるわけではなく、最悪1人でこういう自作自演が出来るというのは念頭に置いておいても損はしないかと。

まあ最近ではその建て前すらとっぱらって、形だけスレ形式や名前だけ「まとめ」「速報」だけど、実際は自分のところでまとめているとかもあり。

「建前」による侵害は出来なくなる可能性

それぞれのまとめの管理人が意図しているかいないかはわかりませんし個別によるでしょうけど、事実上そのような形ができあがってしまっていると思われます。

2chまとめサイト自体、画像に限らず、例えばニュースソースなどにおいても、こういう微妙なバランスで成り立ってきた面がかなりあります。他のサイトでこういうことはできるところはほとんどないので。

ただ、それが著作物か、許可を得ているのかというのは、あくまで感覚とするならばだいたいわかるものです。普通に考えて早売りのマンガ画像をその著作権者である出版社が許可するわけありませんし。しかしこのような建て前で成り立ってきた面は強いでしょう。

しかし、先の判決から考えると、その建て前は通用するわけではない、ということになります。それは有償無償問わず、違法物が使われているサイトには、その著作権者への損害を被る可能性が出てきたともいえるのではないかと。

こうなると、いわゆる「画像まとめ」などでまとめられた著作物、それは商業として売られたもの(マンガ画像やイラスト、エロゲーのCGとかも)や同人として公開されたものなどに対して、その損害賠償請求があった場合、「善意の第三者」的な口実を使えずに引っかかる可能性というのが出てきたと言えます。もしアフィリエイトで収入を得ていたとしたら、尚更でしょう。

それに伴う問題~本当に知らずに利用した人への影響

ただ、問題はこのような建て前での「著作権物とはわからなかった」ではなく、この手の知識が皆無な人が「本当に違法なものとはわからなかった」場合なのですよね。そうすると罪の意識がないのにいつのまにか罪に荷担してしまうことになるという危険性があります。

たとえば私は画像としてクリエイティブ・コモンズの表示で利用が認められているものをブログで利用することがありますが(たいていは「表示」「継承」つきなので、それを守りつつ)、もし、この中に誰かが有償の著作物を紛れ込ませていた場合、知らず知らずのうちに荷担してしまうことになります。

これは、ダウンロード違法化の時にも言われた問題ですね。ですがこの建て前を使って侵害を行う人もいるという、もうなんともな状態です。

まあ、それは実際に起きたらケース毎に判断はされるのでしょうが、全く危険性がないというわけでもないというところはあり、一考の余地があります。

そのような善意の人たちにまで不利益を被らないかという心配があります。

これからに注目

さて、判決もまだ地裁判決ですし展開が変わる可能性もあります。そもそも別にまとめサイトに食い込んだわけじゃなくて、こういう展開もありえるという予想ですので。

ともあれ、興味深い事例なので、今後どうなるかに注目したいところではあります。解説もそのうち弁護士ドットコムあたりでやりそうですし。

ともあれ、作り手が損をしないよう、そして無知な人が知らぬ間に違法行為に手を出さないよう、そして何よりこの建て前を使って著作権違反を行って利益をあげる人が出ないように、ちゃんとやっている人が馬鹿を見ることのない仕組み作りをしてゆかなければならないでしょう。

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