「個人情報を渡さない」というネット書店にはない実店舗書店のメリット

もうだいぶ前から「実店舗書店がピンチ」ということは言われています。ここで言う実店舗書店とは文字通り店舗を持っている書店。つまりは昔ながらにある、実物の本が置いてあり、販売する書店を指します。

 

ネットに押される実店舗書店

その理由としても同時に語られることが多いですが、主なものはネットの台頭です。つまり「Amazonをはじめとしたネット書店が台頭してきた」、「電子書籍が台頭してきた」それと「(電子書籍以外での)ネットコンテンツがかつて情報の中心であった本からシェアを奪っていった」というもの。

そのような影響と、日本経済の停滞もあわせて、実店舗書店、とりわけ中小規模の町の本屋は以前に比べて苦戦を強いられ、閉店するところも多くなっているということはよく言われています(とはいってもネット書店全体が盛り上がっているというより、Amazon一強でほかがそれに挑む形になっているというのもあります)。

たしかにネット書店は便利で私もよく使います。実店舗にわざわざ行かなくても本を購入することが出来ますし、何より探すのに手間がかからないことと、在庫が豊富なのが非常に大きいでしょう。

 

実店舗書店ならではのメリット

しかし、実店舗も傍観しているというわけではなく、それに対抗するためにいろいろなサービスを打ち出してはいますが、多くがネット書店の後追いになっていることは否めません。

とはいえ、ネット書店にはない、実店舗書店のいいところを挙げる人は、ネットが普及してきてもたくさんいます。それはノスタルジーに限らないところでも。

たとえば広報。書店毎に個性あるPOPなどを用意して、そのおすすめをアピールするところは多く、プロの目からのコメントに引きつけられるところは多いでしょう。また、ネット書店だとどうしても「知っている本を探す」のが中心になるところを。実店舗ではその陳列や前述のおすすめPOPなどで「知らない本を目にする」という機会が多く、それを得られるというメリットもあります。

 

個人情報を渡さないことが出来る実店舗

しかし、実店舗書店のメリットとして、もう一つ大きなものがあるのではないか、ということを思いつきました。それは「個人情報に紐つけされた購入履歴が残さないことが出来る」ということ。

ネットの販売というものは、ほとんどの場合どうしてもその購入履歴が残ります。というのはそれがなければネットにおける販売が成り立たないので。しかし、昨今の個人情報の流出事件を見るに、それが流れた場合好ましくないと思う人は多いでしょう。

たしかに購入履歴が消せるところもあります(むしろなんでAmazon消せないのだろ?)。しかし一度情報を与えたと言うことは、表示されていないだけでその企業のデータベースには保存されているという可能性があります。それを消したかどうかというのは悪魔の証明的になってしまうので、一度情報を渡した以上、保存されているという可能性を捨てきるのは難しいと思われます。

もちろん各企業にはプライバシーポリシーがありますし、そうたやすく情報を流出、流用はさせないでしょう(例外もあります、というか増えてきてますが。某カードとか)。ただ、セキュリティに絶対はありません。相手が情報を保持している以上、それが漏れる言う可能性は当然あり得るのです。最近ではベネッセの名簿漏洩が事件になりましたが、あれだって登録している大半の人はそれが漏れるなんで思ってもいなかったでしょうし。

■関連:

www.benesse.co.jp

 

なんでもないと思うものでも購入情報を渡すのを嫌がる人は存在する

購入する本というものには、人によってあまり他人に知られると好ましくないと思うものはあるでしょう。主にアダルト関連。ほかに自己啓発系などもあまり人に知られたくない人もいるでしょうし、さらに全般的に趣味や文芸の類でさえ知られたくないと思う人はいるでしょう。しかしながら、どうしてもネットで取引をする場合、その取引情報がどこかに保管されてしまうのです。

それに、その人の立場によっては(法律に違反しているものはもちろんですが、そうではなくても)ダメージになるというものもあります。たとえば恋愛関係、出会い関係でも配偶者や恋人がいる人とそうではない人に違いがあるように。

しかし、実店舗における取引というものは、それを回避することが出来ます。つまり相手に個人情報を渡さなくても、その購入取引が出来るという感じ。そしてそもそも情報を渡していないのだから、その履歴が残りようもないと。

つまるところ、そういう層にとっての需要はかなり高いのではないでしょうか。

まあもちろん購入履歴が残ってそれがどうした、と思われる人も多いでしょうけど、やはり前述のように文芸やマンガでも気にする人、そしてどのような本でも気持ち悪い、という層も結構いるはずです。少なくとも今堂々とネットの購入履歴全てを晒せる人ってのは、そう多くはないでしょう。数年前には喜んで買った本だって、いろいろな変化でそれが一気に恥ずかしくなるという人もいるでしょうから。

これは書店に限らず実店舗にある、大きなメリットではないでしょうか(一部例外はありますが)。

 

実店舗書店のアピールポイントになり得るか?

ともあれ、実店舗書店はそういう「購入はしたいけど個人情報を晒したくない層」へのアピールが出来る可能性はあるのではないでしょうか。

まあただ書店でも一定規模の大きさのところはネット通販やポイントカードを使っていたり、そうでなくとも予約とるときに個人情報得ていたりするので、そううまくはいかないのかもしれませんけど。一見さんの現金払いという狭い範囲になりそうな気もしますし。

まあ書店に限らず実店舗での取引でこういうプライバシー的な点がアピールとして出てくるかには注目してます。マイナンバー制度が変な方向に流れなければ。

 

余談

ネットが普及してもアダルト系の店が結構存在するのってそのへんにあるのかも。まあこれはその手の店の増減がわからないのでなんともいえませんが(どっちかというとそっちよりも法律的な絡みのほうが多そうだし)。