政治の場におけるヤジにはマイナスしかないのではないか

 私の親族などで集まりがあり、ちょっと酒が入った時の状態の時、テレビの話が出てくることがよくありますが、その時に70代の父がよく話すことがあります。それは「子どもに一番見せたくない番組」のこと。さて、なんだと思いますか?

 

答えは「国会中継」。何故かというと「誰かが話している時、あんな大人が下品にヤジを飛ばしているようなところを子どもに見せると、学級崩壊のお手本になるから」というのだそう。これにはなるほどと思わされます。しかもお笑いでもなく、国で偉いとされている政治家がやっていることですし、たしかにあれが国の最高の立法機関であるとして子どもに見せるのは、なんだかなあと思うような言葉が飛び交うこともありますね。中継だと発言する人の音声だけ拾っていますが、議場ではもっとアレな状態になっている可能性もあります。

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都議会でのヤジ問題

さて、ここ数日話題になっているニュース。

女性議員に対して「早く結婚しろ!」「子どもは産めないのかっ!」と野次を飛ばす、最低最悪の議会へ | みんなの党 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

都議会で行われた女性都議の質問中、「早く結婚しろ!」「子どもは産めないのかっ!」と野次が飛ばされ、そのことに怒ったおときた都議などの書き込みから一気に拡散、そしてニュースにも取り上げられるようになりました。


<都議会>セクハラやじ 女性議員に「早く結婚しろ」 女性都議

自民党は現時点では発言者を特定しない意向。まあみんなの党は都議会野党ですので、ヤジが飛ばされるとすれば与党の可能性が高いのをふまえると……という感じですが。それにヤジを飛ばした近くにいた議員はおそらく分かっていると思うのですけど。

 

※2015/12/17追記

その後発言者が自民党議員と判明→会派離脱→復帰の流れとなりました。

都議会ヤジは自民党の鈴木章浩都議と判明  :日本経済新聞 (2014/6/23の記事)

セクハラヤジの都議、自民会派に復帰:朝日新聞デジタル (2015/7/1の記事)

 

今までもあった都議会のひどいヤジ

しかしこの手のヤジ、都議会でははじめてではありません。実は過去にこのブログでも「非実在青少年」で問題になった東京都の青少年育成条例問題を扱い、それに注目していたことがありますが、その時に反対の立場から質問をした都議に酷い野次が飛んだという報告が入っています。4年経ってるのもありソースが軒並み消えているのですが、以下発掘してきた2010年のレポートなど。

【非実在青少年規制】本日の都議会報告【都条例改悪】 - Togetterまとめ

国民の基本的人権と安全を考える有志のブログ 【都条例】都議会第3回定例会における松下玲子都議の一般質問

更に酷いのは生活者ネットワーク都議の質問に「痴漢されて喜んでるんだろっ!」という感じのヤジを飛ばされてたという情報もあります。前述のように年数が経っていて明確なソースはないので、確定、特定はしにくいのですけど、でも今回の件を踏まえるとさもありなん、と思えてしまいます。

Twitter / mittochi: 都条例改正の時も、表現規制に反対した生活者ネットワークの西崎 ...

■アーカイブ的なもの:Ceron.jp - 日記というか雑記というか色々 「お前、痴漢されて喜んでいるんだろう!!」

表現物に青少年への悪影響はあって、こういったヤジを青少年に見せることによる悪影響にはないとは全く思えないのですけど。

 

ただ一応言っておくと、今回は自民党がヤジった疑いが強くなっていますが、ヤジをするのはそれに限りません。各地方議会や国会を見ても、野党から与党の質問、答弁時にひどいヤジがとばされることも多々あるようで、共通の課題というか、不毛な争いの面も強いのでしょうね。もちろん汚くヤジられたからといって、汚くヤジりかえしていいなどということはなく。

 

ヤジへの泣き寝入りがもっとあった可能性

さて、都議会みんなの党は地方議員としては、ネットでもわりと発信力のあるほうだと思えます(おときた都議のエントリーはたまにホットエントリーになるし)。故に、先に書いた青少年育成条例の件でのヤジも含め、この手のヤジは今回に始まったことではないかという可能性が強くなってきます。ただ、今回のように顕著ではなくギリギリ我慢されていた、もしくは我慢できないようなことではあったけど、言われた人に発信力がなく、都民に伝わっていなかった、なんてことも考えてしまいます。じゃないとあんな風に野次が議会で平然と言われたり、それを受け止められたりしないはずですし。

ちなみに発言中にヤジに対して我慢しなければいけないのは、それにいちいち反応すると質問時間があっという間になくなってしまうからだそうです。故に言い返せないのをわかっているために、ヤジが飛ぶってこともあるでしょうね。

 

しかしこういったヤジ、それに対する泣き寝入り状態は都議会だけで起きているとも限りません。国会や他の自治体の地方議会で同じようになっている例も十分あり得ます。

ヤジに必要な点はあるのか?

さて、ここで思うのは、はたしてヤジは必要なのか、そしてそれを議会において許しておくのは妥当なのか、ということ。

普通に考えれば必要ありません。それこそ最初に書いたように子どもに見せられないとうな、大人が汚い言葉でののしるものに対して得をするのは、発言した人くらいでしょう。そして発言した人、それを許容するような政党でさえも、品性を落とすこととなります。

 

それなら何故ヤジが生まれたか、というと、これも日本の場合だけでも議会史を詳しく調べないとわからないですけど、まあおそらくは大昔、マイクもなかったような時代に対立する相手の声を消すため、もしくは質問の意思をくじくためというある意味戦略的なところだったのでしょう。それが伝統的に行われていると。それでも言論のルールやマナーとして立派なものとは言えませんが。

ただ、時代はとっくに変わっています。議場ではある程度の地方議会以上ならマイクがあります。その上発言は文字である議事録のみならず、放送されます。さらにはそれが録画として残ります。そしてそれはテレビのみならずインターネットでも公開されます。実際都としても公開されてしっかり残っているわけで。

平成26年第2回東京都議会定例会 録画映像

そして、今回のようにネットによって拡散します。

 

ただ、残る効能はマイナスとしか思えない、質問相手を攻撃すること、そしてその品性を下げることくらい。そしてその見返りとして、公開されて今回のように、と。

 

ヤジではなくても意見を表明する場は十分あるはず

政治家として思想を持っていれば、対立する相手の答弁に対して何か言いたいということは当然あるでしょう。しかしそれはヤジという形で表すのではなく、公式な答弁や質問ですればいいだけです。その機会がなかったら、パネルディスカッションでもなんでもあるでしょう。いや、それ以前にどんな政治家でも公式サイトやブログを持っている時代なのですから、そこでじっくり書けばいいでしょう。それならば反論となりますし、選挙民にも訴える事が出来ます。少なくともヤジなんかよりは。

 

もし、そういったところでの言論や政治的な行動ではなく、ヤジでしか存在感を示せないような政治家ならば、そんなものはいらないのではないでしょうか。

 

どこの議会でも「ヤジは恥ずかしいもの」として認識してほしい

だけど今回の件は都議会だけの問題に限ったことではありません。それこそ最初に書いたように、全国で放映される国会中継でさえ、様々なヤジが飛ぶことがあります。

ですが、もう今の世の中ではこのようなものは、持論の公表で言い返せない人の行う恥ずかしい行為賭して認識する必要が、政治家にも国民にも必要なのではないでしょうか。繰り返しますが、ヤジでしか存在意義を示せない人は政治家としていらないと思います。

 

故に今回の件は、ただ一人のまるで尻尾切り的な処分で終わらず、そして発言をした政党だけにも留まらず、都議会、ひいては国会や全国の議会において、どんなヤジであろうとそれを放置ておくことは政治家という存在の品位や国民に与える影響においてマイナスにならないのか、というのを考える機会にしなければいけないのではないでしょうか。

 

この一件が終わってしばらくして全国の議会を振り返ってみれば、こういったヤジがなくなるか減るかして、まともに質問なり進行を見られるようになればいいと思います。もちろんそのあとの討論なりサイトなどでの意見表明が盛んに行われることはあっていいと思いますので。それこそ、子どもにも安心して「これがこの国の政治の舞台だ」と見せられるように。

 

最後に全国の政治家の方に。「あなた、もしくはあなたの所属する政党に、本当にヤジが必要ですか? これからなくしてゆく方がよいと思いませんか?」と問いかけて今日はここまで。