空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

もしかしてテレビって大画面が普及したから売れないのではと思った話

テレビの国内出荷が落ち込んでいるようです。
テレビが売れなくなった理由……はもう何度も語られていて、以前まとめてしまったくらいなので。

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しかし、もう一つ思いつくものがありました。しかもそれはこの期に及んでまだ長年買い換えてない層、つまりはアナログ終了時に買い換えたために買い換えサイクルにはまだ早すぎる人ではなく、まさにメーカーが対象としたい、いまだにブラウン管や初期の薄型テレビを使っているような人たちが買い換えない理由。そしてその人たちの買い換えない理由は、むしろ今売っているテレビに問題があるのではないかと。
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いまだに20型くらいのブラウン管テレビを使い続ける理由

さて、今家電売り場で売っているテレビ、大きくてすごい迫力ですね。そして機能もいろいろついていますし(3Dテレビはなんかなかったことにしたい感がただよってくる場合もありますが)。そういうのが割とお手頃価格で売っているのに、何故売れないのか、メーカーは頭を悩ませているでしょう。それこそ前にまとめたように、金銭問題から番組つまらない、それに場所がないとか使えるの捨てるのもったいないとかリサイクル料金高いぞボケとかいろいろあるでしょうが、実は今売っている大型のものより、ブラウン管の20インチやそれ以下のほうがいい、という人も大多数いるのではないかと思ったのです。

というのも、実はうちの実家、いまだにブラウン管の20インチくらいのテレビです。私はテレビを見ないですが、父や亡くなった母はかなり見ていたので、一度「安いから薄型大画面に買い換えたら?」と聞いたのですが、いらないとのこと。理由は前述のようにもったいないとか色々ありましたが、その中でひとつ「あんな大きいテレビは威圧感があってイヤだ」というものがありました。

つまり、20インチ程度もので長年慣れてしまったので、40インチクラスのものを見ても落ち着かないという意味のようです。でも、その理由はなんとなく分かりました。私もたまに友人の家とかに行って大画面のテレビを見るのですが、なんか落ち着かないのですよね。なんというか、テレビが部屋の片隅で流れているというより、テレビの映像や音に部屋が占領されてしまう感じがして。そして、それはテレビをつけていないときも同じです。というよりつけていないときの方が、あの大きくて黒い板が置いてあることによる威圧的雰囲気を感じる人がけっこういるのではと。ましてや部屋が六畳一間クラスならなおさら。

もしかしたら、こういった感覚はトシとった証拠だと言われるかもしれません(つか親は実際高齢者だしなあ)。でも、実はそこがテレビが今売れない一番のポイントなのではないでしょうか。

大画面が必ずしも利点となるとは限らない

言われているようにテレビが売れない原因の大きなものとして、アナログ放送終了での買い換え需要が収束したからというのがあります。となると買い換えサイクルがそこで買い換えた人に巡ってくるのは当分先でしょう。となると、そこで買い換えていない人が今一番の購買対象になるはずです。しかし、何故その人達はそこで買い換えなかったのか。金が無かったのか、もったいなかったのか、それともうちのように、今売っている大型テレビより、使い続けているブラウン管テレビの方が使いやすさを感じているのか。もしそうなら、もはや値下げの問題じゃなくなりますね。

ですが(全体を把握していないので断定は出来ませんが)家電量販店などでプッシュされたり数が揃えられているのは、やはり大画面のものです。一応小さいのもあるのですが、やはり傍流の扱いな気がします。まあ、小さい画面のものを売っても今の液晶パネル暴落のご時世では利益率が低いのもあるでしょうが(PCモニタで24型の2枚買っても4万しないとか数年前じゃ考えられなかったし)。
しかしそこで、いまだ買い換えていない人に「テレビの新型は大きいのしかない」と思わせて、購買意欲を無くさせている可能性はあり得るのではないでしょうか。

さらに、そういった層が多そうな年配の人というのが、実は現在一番テレビを見ている人ではないでしょうか(逆に言えば若い人がテレビを見ないので、比率的にそちらが多くなると。そら今のご時世社会人がテレビ見る時間なんてそうそうないし)。となると、製品(テレビ)のメイン使用層に対して購買させられないという、かなり悪い展開になっているとも言えます。

高性能≠ユーザーの望むもの

高性能で大画面とか美麗なものが売れないとか受け入れられないなんていうのは、電化製品じゃ日常茶飯事です。古くはビデオデッキにおいてβがVHSよりも高品質と言われたのに結局規格争いで負けてしまいましたし、ゲーム機においてもスペック数値的には劣るものがトップシェアになることは非常によくあります。そして最近では本来の機能ではガラケーと呼ばれるものに劣るはずのスマートフォンが圧倒的なシェアとなっています。

結局のところ性能というのものは、ユーザーの求めているもの以外は関係ないのですよね。むしろ邪魔になってマイナスになることさえあると。仮にもし、手持ちのiPhoneの画面サイズがこれ以上大きくなったら、自分はいらねーと思うようになるでしょうね。だってそこまでしたらタブレット端末のほうがいいですし。

もちろん大きさ以外にもいろいろ要素はあるでしょう。もしテレビを売りたいのだったら、本当に今の大画面薄型テレビが大多数に望まれているかから考え直す必要があるのではないでしょうか。ま、昔みたいにアンテナつなげてスイッチですぐ見れるじゃなくって、B-CASとかデジタル設定とかめんどいこと必要になっているので、そう簡単にはいかないかもしれませんが、それもまたメーカーが過去十数年で自らが作ってきた道ですし、それを踏まえて克服してもらわないと。

まあ、いくらテレビがあっても番組がつまらなかったら結局ダメなんでしょうけど、というとミもフタもないですが。まあそれこそハードとしてのテレビと同じようにテレビ制作側には自己完結や押しつけの盛り上がりではなく視聴者が何を望んでいるか汲み取ってもらわないといけないでしょうね。そう簡単にはいかないかもしれませんが、それもまたテレビ局が過去十数年で自らが(以下略)。


おまけ

本編に入らなかった余分な豆知識。実は、ブラウン管テレビというかパソコンのCRTモニタをごく最近まで(今でも?)ずっと使い続けていた人がいます。それは塗りなど色を重視するデザイン系の人。というのはTFTモニタだと発色があまりよくなく思い通りの塗りが出来ないので(ここもっと細かい理由があるようですが、そっち専門でないので詳しい人にに聞いてください)、CRTモニタがどんどん生産中止になろうがそれしか選択肢がなかったようで。ですから、そういう人はモニタが故障をすると殆ど売られなくなったCRTモニタを苦労して入手する光景があちこちであったみたいです。まあ最近ではTFTモニタのスペックが上がってきたのか、もうCRTモニタが尽きてしまって限界なのか、TFTモニタを使う人が増えているようですが。