破綻直前にその企業のテレビCMが急激に増える現象について

 

私はこの10年くらいでだんだんとテレビを見る時間が減少していたのですが、数年前まではとある事情でテレビの前に一定時間いなければいけなかったので、その時にCMも眺めていたのですが、大手企業でもないのにしつこいくらいに流れるCMというものが一定数あったのですね。もちろんそれは覚えてしまいます。しかし数年後、それらの企業のうちの多くを、ほかのところで見るようになります。それはすなわち倒産や詐欺などで破綻するニュース。

せっかくですので、ちょっと具体的に。おそらく「このCM一時期よく見てた!」と思われる方もいらっしゃると思います(ちなみに私は東京住まいです)。

 

 

破綻前に急増した企業のCM

安愚楽牧場(2011年破綻)


安愚楽牧場(あぐらぼくじょう)のCM - YouTube

 

最近高額負債で破綻した安愚楽牧場のCM。昔から流れてはいましたが、近年急増していました。しかし今考えると肉の販売よりも、その和牛商法の資金集め、及び出資者へのアピール的側面が強かったと言えるでしょう。

■参考:安愚楽牧場を初の集団提訴 和牛商法事件、近畿の9人:朝日新聞デジタル

■参考:全国安愚楽牧場被害対策弁護団の公式ホームページ

 

英会話のNOVA(2007年破綻→経営譲渡)


NOVA USAGI CM#1 - YouTube

 

英会話教室のNOVA。昔から広告は多かったですが(これは英会話教室大手の全般に言えましたが)、NOVAウサギに人気が出たくらいのあたりから、更に増えたような気がします。しかし2007年、経営破綻。理由として代表の乱脈経営がメインで、破綻後にすでに受講料を収めた受講生の損失、及び外国人講師に賃金が支払われなくなった件が社会問題になりました。

まあこれも破綻後、色々複雑な経緯を辿っているようなのですが、それはまた気が向いたらTimestepsあたりにでも書きます。

■参考:NOVAは、なぜ倒産したのか? - あきばれホームページ作成

■参考:NOVAの倒産(会社更生法申請)の裏に隠された理由

 

アーバンエステート(2009年破綻)


アーバンエステート~ - YouTube

 

これも関東地区ではしょっちゅう出稿していたアーバンエステート。しかし2009年に自転車操業の末破綻。今年、破綻を認識しつつ契約を結んだしたとして経営者に実刑判決が下りました。

偏見かも知れませんが、ほかのCMやら雑誌広告とかでも、社員が120%の笑顔で自社のアピールをしているところって、どうもうさんくささが前に出てる感じがするのですよね。

アーバンエステート詐欺で元会長らに実刑判決 さいたま地裁「被害者の悲願の気持ち察するに余りある」 - MSN産経ニュース

■参考:アーバンエステート倒産詐欺その後

 

 

近未來通信(2006年破綻)


近未来通信CM - YouTube

 

ある意味有名な近未來通信。これも一時期CMなど広告を出したり、ゴルフ大会のスポンサーになり、IP電話における新通信網事業を売り込んでいましたが、実は事業実体はほとんどない、投資を資金を目的とした自転車操業で、豊田商事のような詐欺として、問題になりました。

近未来通信出資被害者結束委員会

■参考:近未来通信 元社員が語る詐欺の現場(1) 支店長年収3千5百万、新人営業1千万の仕掛け:MyNewsJapan

 

また余談ですが、「IP電話で通話料がただになる」という詐欺は数年ごとに似たようなパターンで出て来ます(JM-NETなど)。まあ通話料かからず通信できるLINEなどが出て来たので、今後また出て来るかわかりませんが、似た詐欺(特に投資目的)は出て来そうなので注意しましょう。

■参考:JM-NET事件はそれからどうなったのか : Timesteps

 

エバーライフ(経営悪化→2012年経営譲渡)


皇潤 - YouTube

 

ここは潰れていないので上とは若干異なりますが、当時デイタイムのCM出稿(こればっかりということもあった)がとりわけ多かったので。2011年に役員が総交代して、CM出稿が利益を圧迫していた件が報道されました。

徹底討論・モラル欠如で招いた人事交代~(株)エバーライフ(前)| |株式会社データ・マックスの健康情報ニュース|健康食品・医療・介護に関わるニュース配信を行っています。

目標貫徹シリーズ(9)~挫折・テレビCMに潰された、エバーライフ・鍋島前社長(前):|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース

ちなみに現在は韓国企業の傘下になっているとのことです。

「皇潤」のエバーライフを韓国企業が買収 | YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア) | 最上級を刺激する総合情報サイト | 1

 

ほか、消費者金融各社のCMも一時期ものすごく多かったのですが、こちらは業績が急上昇していた時代から連発していたので(グレーゾーン金利問題で落ち込んだ時代もやめなかったけど)、ここでは割愛します。

 

何故破綻する企業が大量にCMを出稿するのか

このように、一時期非常に多くのCM出稿があった企業でも、その後は破綻、最悪の場合詐欺やそれに準ずるものとして問題になるケースも多々出て来ています。テレビCMを大量に流すほどなのにどうして、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、よく考えてみると、会社が非常に危ない(もしくは最初から詐欺の目的がある)からこそ、CMを大量に出稿しているとも言えるのです。

 

私が子供の頃(バブル期後期あたり)、テレビCMというものは最大の広報手段であると同時に、そこに出稿するというのは一種のステータスでもありました。それは当時のテレビCM(とりわけ全国ネット局)の出稿量が非常に高く、並の企業では出稿できなかったこと、そもそも大手広告代理店が枠を確保していた為に、目立つ枠の殆どは大手企業がとっていってしまい、必然的に流れるCMが有名企業ばかりになってしまったことが原因としてあるでしょう(まああと2~30年、テレビ黎明期まで溯ればそうでもないでしょうが、さすがにリアルで見ていないので)。

しかしバブル崩壊後の長引く不況による企業の経費削減により大企業の広告費が削減され、その分CM枠が埋まらなくなったこと、さらに近年ではテレビ離れと呼ばれるように、テレビの注目度も下がってきたことも大きいでしょう。枠を埋めるためにCM料を安くして、且つどんな企業でも載せる傾向になってきたところ、短期で知名度が集まることが必要な会社の広告媒体としてはぴったりだったと言えるでしょう。しかも、それまでに培ってきた「CMを出すほどの企業は安心」という神話がどこかしら意識として残っている人が多いというのも強みであったでしょう。

 

しかし、そこまでCMを濫発してまで短期で知名度が集まることが必要な会社というのは、多くの場合何かを抱えている可能性があります。それがすなわち経営的にまずく、自転車操業に陥って、一刻も早く資金や顧客集めが必要な場合。それかもしくは最初から資金集めが無理とわかっていても資金を集めたい、いわゆる詐欺のパターン。これにぴったりと当てはまってしまうわけですね。

 

かくしてCM出稿で知名度高まる→資金集まる→しかし自転車操業もしくは詐欺で破綻、となるわけです。残るのはそこにつられて金を出した被害者という図式で。

もちろんCMを大量に出稿している企業が破綻するわけではなく、これらの自転車操業になるのは一部です。逆にCMで注目を集めて業績を上げた企業もあるでしょう(ただしその場合、短期ではなく長期的に実績を積み重ねたことが大きいとは思いますが)。しかしながら、少なくとも現代においては、いくらテレビCMを大量に出しているからといっても、必ずしも(経営的な意味で)信用出来る企業とは限らない、いや、その逆という可能性もあるということは念頭に置いておくべきでしょう。

 

広告媒体と信用の切り売り

しかし、今の人のCMに対する信用って、昔と比べてどう変わっているのかというのは気になるところです。

広告というものは、その掲載したものが嘘だったりすると、その媒体の信用自体をなくしてゆくと考えますそれはさも童話の「狼少年」のように。そうだとすると、テレビCMもここ数年の枠を入れるために無差別にやったもので、いろいろな面で信用が削られているのではないかと。特に消費者金融、グレーゾーン金利前にこれが占めるってくらいびっちりやってましたしね。あとパチンコも、ギャンブル嫌いな人にとってはよいイメージは湧かないでしょう。かといって、今からイメージアップのために、バブル時代のようなCMしかしなかったら、経営が立ちゆかなくなるでしょう。このまま広告イメージの悪循環に陥らなきゃいいのですが(テレビ局はどうでもいいけど、それが詐欺とか犯罪に使われてしまうのは非常に問題なので)。

 

とはいえこれはテレビだけではなく、ネットやあらゆる媒体でも言えます。最近なら、ペニーオークションやステルスマーケティング騒動なんてまさしくそれですしね(まあれは広告であるということ自体が隠れているという新たな問題も生んでますが)。

このように、利益のために信用を削っていった末には、その媒体の持つ力もだんだんと失われる、負のスパイラルに陥るのではないかと思うのですよね。それは気づかないうちにだんだんと。

 

 

ともあれ、広告の受け手としてはある商品がCMなどとある媒体、もしくはとある人によってアピールされていた時、その媒体だから、その人だからと無条件に信じるのではなく、それを自分の価値観で判断する目を養うことが、かつて起きたようなこういった広告から被害者にならないためにも大切ではないでしょうか。