今回の選挙前におけるメディアの議席予想はどのような影響を与えるか

衆院選に向けてメディア各社の世論調査が出ているようです。
www.nikkei.com
各社議席数予想には幅があれど、ほぼどこも自民党が単独過半数を伺うってことで固定してますね。


さて、いつも思うのは、これらの報道、とりわけ公示日後の調査って、政党や候補者にとってどのようなプラス、そしてマイマスになるのかなあということ。
これについては選挙で同様の調査結果が行われる度なんとなく考えることはあり、各政党にとってのメリットもデメリットも思いつきます。そしてそれらはその調査結果のみならず、その時の選挙情勢、ひいては政治情勢、議席情勢によって大きく異なるのですよね。

で、今回の選挙についてもそれについて考えてみようかなと。


安心モードの危険性

前述の通り、調査結果は自民党が単独過半数を伺う勢いと出ています。自民党にしてみれば、これが出る事においてのメリットとしてはつられ票、つまり多くの人が投票しているのだから自分も、と思わせて入る票が増える面が期待出来るところがあるでしょう。
ただ、おそらく選挙対策責任者クラスのベテラン人は、これを見てプラスと思わない人もいたのではと。それは「選挙活動している人が安心モードになって、活動がおろそかになる」というデメリットが生ずるからです。これは昔から言われておりもう55年体制以前から、これらの安泰の空気になることで、事実上接戦だったところを落としてしまうという現象は、それこそ55年体制以前から見られていたところです(もっともそのときは中選挙区制だったのもあり、対立候補は野党よりも自民党の他派閥候補ということもあったのですが)。

そう簡単に気を抜くか、と思う人もいるでしょうが、選挙活動をしている人にとっては、この2週間(実質もっと長期間)は文字通り全身全霊を使うもので、疲労もピークになります。そこに安心できるものがあると、脱力してしまうというのは心理ですので。極端な話、一番力を抜いちゃいけない候補者本人が安泰モードになってしまうという危険性も高いのかもしれません。

バランス心理

さて、今回これに加えて優勢なところ、今回は自民党にとってデメリットになるのでは、と思わせることがあります。それは「バランス原理」。つまるところ今回の自民党にたとえると、勝たせたい(第一党をとらせたい)けど、単独過半数としてあまり勝ちすぎるのも……という人が出てきてしまうこと。そうなるとその人の行動は「バランスのために」他党に入れる、となりかねません。これは熱烈な支持者ではなく、中立よりな、すなわち無党派層などにおきかねないものです。

実際、NHKの調査などでは、自民単独政権を望むより、民主もしくは第三極との連立政権を望む人のパーセンテージのほうが高かったりしますしね。

また、政権の枠組みが今後どのようになるのが望ましいと思うか聞いたところ、「民主党中心の政権」が9%、「自民党中心の政権」が21%、「民主党と自民党による連立政権」が27%、「民主党・自民党以外の政党が中心の政権」が27%でした。

■“投票必ず行く”変わらず61% NHKニュース ※リンク切れ


ただ、これについては逆の可能性もあります。それは長年続いた不安定政権下で政策が決められない状態を見てきた人が、安定政権を求めるためにあえて勝ちそうなところに入れる、というもの。正直3年前の民主党大勝選挙の時もその傾向はあったように思います。

連立を組む公明党の存在

今回の選挙に限っては、実は一番影響するのではないか、と思わせる存在がいます。それは「公明党」。

すでに周知の通り公明党は創価学会基盤で、学会の人が積極的に選挙支援をする&票が固いので有名です。前に池上彰さんが番組で公明党の創価学会基盤票に触れて、ネットでタブーに触れた扱いされてましたが、別に今時選挙行くような人なら誰でも知ってることなんでタブーとは思いませんけど(それだったら他の宗教もいろいろあるしなあ)。で、ご存じの通り公明党は自民政権時代から連立政権を組んでいますが、それは自民党が単独過半数をとれないが故に連立を組んでいた経緯があるのですよね。そういやそれ以前は、自社さきがけという連立だったなあ。

さて、上の調査通りなら自民党が単独過半数をも伺う勢いですが、そうなるとそのときの公明党の立場はどうなるか、というのは、党、そして支持者も考えるところではないでしょうか。つまるところ、自民が単独過半数をとった時に、その存在感が薄くならないか、究極的には放逐されないか、ということ。もともと公明党の政策的にはやや護憲寄り、生活、福祉優先という方針なので、ある意味において自民党の現在の形とはかなり異なる点があるのですよね。この前も「国防軍」表記に反対してましたし。

 ■(archive)<公明>山口代表は否定的 自民の公約「国防軍」へ改憲 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

そもそもここで憲法改正が公約として自民から出てくるあたり、公明党の存在をどう思っているのかねという疑問も出てくるわけで。

さて、このような状況では想定の一つとして、もし自民が単独過半数をとったあと憲法問題などで冷遇されたとして連立から出るかというと、そうとも限りません。しかしこれで連立から抜けるかとなると、そう簡単ではないでしょう。というのも、かつて連立から抜けた同規模の党があり、その行方を知っているから。それが前述の自社さきがけ連立時の社会党。あのあと分裂、民主党入党とと社民党に分かれたりいろいろありましたし。まあ現状では分裂はないでしょうが。

ともあれ、公明党の発言力も自民党の議席数で大きく変わる可能性が出てくるので、この調査がそのあたり、とりわけ選挙対策をする人に影響を及ぼす可能性も否定はできないかと(まあ、2/3に公明の議席が関わってくる場合はもっと話が変わってくるかもしれませんが)。もちろん公明の比例区票や、小選挙区で自党から出ている人の票は固いでしょうし、そのあたりの変動はないでしょう。しかし、それ以外の自民党のみ選挙区から出ていて、それを支援する人はどうなるか、ということになります。


まあとにかく選挙に行こうということで

このような様々な要素もあり、下馬評とは異なる結果が出ることもあります。故に個人的に公示期間におけるこのような政党調査は多かれ少なかれ影響を与えるのでやめておくか、それとも中途半端な制限じゃなく、ネット選挙活動とか自由な形で論じられるようにするかにしたほうがいいと思うのですけどね(それでもさじ加減は大事ですが)。

とりあえず結論としては、どんな人も選挙は1票しか持たないのだから、他人を気にせずに、とにかく自分がよく考えて選んだ候補や政党に大切な一票を与えましょうということで。いけない人は不在者投票もあるし。その一票は自分の財産や自由、究極的には生命をも委託するものなのですから(今回の社会情勢における各党の政策だと特にそれが顕著だしね)。