2012年、2ちゃんねると2ちゃんねるまとめサイトの間で何が起こっていたのか(前編)

先日、以下のようなこのようなニュースがありました。

2ちゃんねるまとめサイトが一斉謝罪 広告料・代理店名など「カモフラージュ広告」の実態明らかに – ねとらぼ

FC2ブログ全域に「2ちゃんねる転載禁止」発動か ひろゆき氏言及 – ねとらぼ

さてこの2ちゃんねると2ちゃんねるのスレをまとめているブログ、すなわち2chまとめブログ(コピペブログ)というものについてのこのような騒動とは、2007年あたりで起きたアフィまとめブログ反発騒動以来の長い沈黙が嘘のように、今年に入って急激な流れが起きているように見受けられます。しかもそれは2ちゃんねるとの間だけではなく、周辺、たとえばSEO対策やアフィリエイト、ブログサービスなどにおいてもまるで堰が決壊したように、運営するにあたって激動となっているように見受けられます。
そんなわけで、ここいらで流れを整理するために、これらまとめブログに起きた騒動を簡単にまとめてみようと思います。

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火付け役となったやらおんステマ騒動(2012年1月始め)

コミケも終わり、正月を迎えてまったりとしていた?2chのニュース速報板で、アニメ会社シャフトのコミケグッズ通販におけるamazonのアソシエイトIDが、アニメ系スレまとめの大手であった(過去形なのは後述)「やらおん」のものと同じだというのを発見したという投稿があります。

【速報】シャフト、公式通販のアマゾンにやらおんのアフィ

そこでスレでは「やらおんとシャフトは関係している」という疑念から「今までやらおんはシャフトのアニメのステルスマーケティング(ステマ)を行っていた?」という噂が立ち始めます。
「ステマ」という言葉は以前からありましたが、目立ち始めたのは2011年に『食べログ』において、そのようなステルスマーケティング行為が行われているのではないか、ということが話題になってからだと思われます。

■参考:口コミサイト「食べログ」また″代理店偽装″トラブルか 巨大化ゆえの落とし穴(日刊サイゾー) – 経済 – livedoor ニュース

その後1月3日、シャフトから謝罪文が掲載され、Web担当者の「確認ミス」ということが発表されました。
しかし、文章がコピペされにくい画像で発表されたことと、IDが移された経緯がわかりにくいこと、そして何よりネットの騒動をいつもいち早く伝える2chまとめブログのほとんどがこれらを全く採りあげなかったことが、ニュー速民の疑心暗鬼や不満を増大させてゆきます。

■参考:【速報】シャフト、公式通販のアマゾンにやらおんのアフィ★38    シャフト謝罪 : 【移転しました】旧ロブ速 (ロブ速)

さらにスレ削除人の一人が独断でこのテの話題のスレを消していったことで、これによりまとめサイトのみならず、板の運営そのものにも住人の不満が爆発します。

■参考:削除人「シャフト関連の話題は板違い。やりたいなら別の板でやれ」 : 【移転しました】旧ロブ速 (ロブ速)

このような状況に、スレ住民はニュー速板におけるアフィリエイト付きまとめブログへの転載禁止をルールとするように運営に申請しますが却下。そのような事態の中、スレでは「ステマ連呼」が始まります。それはすなわちスレ内部で「ステマ」を連呼することによって、まとめブログで採りあげにくくしようという方法ですね(まとめサイトへの転載時には、そのスレの書き込み自体を改変することは原則として不可能なので)。それによって、正月から七日も経たないうちに、スレは混沌とした様相を示していました。

【ν速民大勝利】メールか名前を「アドセンスクリックお願いします」にすれば絶対に転載されない : 【移転しました】旧ロブ速 (ロブ速)

そしてその騒動のせいか、今までまとめブログで採りあげられる率がひときわ高かったニュー速板のスレの割合が急激に減ってゆきます。

■参考:【速報】ステマレス 効いてた効いてたw : 【移転しました】旧ロブ速 (ロブ速)

ニュース速報板から嫌儲板への移転騒動(2012年1月8日〜9日)

そして混沌とするスレの中、もめ事から新しい情報が板を走りました。

運用家族=忍者=アフィブロガーであることが発覚!運用家族総出で必死の火消しwwwwwwwww★4 : 【移転しました】旧ロブ速 (ロブ速)

アフィまとめブログの一つと、板の運営人である運営家族がTwitterでつながっていて、癒着しているのではないかという疑惑が走ったのです。
ここで板の改善はもはや望めないと思った住人は、アフィリエイトブログへの転載禁止をルールとしている「ニュース速報(嫌儲)板」への一斉移住を計画。1月9日午前0時をもって嫌儲板への移住が呼びかけられました。

しかし、これらは成功して大部分が移住するかは不透明でした。というのはこの手の騒動が起こったのは今回が初めてではなく、同じくこのようなまとめサイトがまとめることに反発する人が出て騒ぎになり、嫌儲板が出来た2007年にも、大規模な移転には至らず、その後起こった小規模な騒動でもたいした変化は起きませんでした。これはやはりコミュニティは人数が多いところの方がおもしろさがあるが故、動きにくかったという事情があるせいかもしれません。

しかし、今回は予想に反してかなり大量の住人が嫌儲板への移住を開始。その結果、両方の板の人口比(スレッドの勢い)が逆転してしまい、嫌儲板が2ちゃんねるの中でも一気に上位(最高位はVIPに続く2位)になります。逆に多くの人が移住したあとのニュース速報板は、トップ3から一気に順位が下がってしまいました。さらに順位が下がったあとも前述のステマ連呼書き込みが相次ぎ、会話の場としての機能が大きく損なわれた状態になります。
ちなみにVIP板においても、同じく転載禁止の天国板に、ゲーム・ハード板においても同じく転載禁止の板に移転、もしくはローカルルールで転載禁止にしようという動きがありましたが、こちらは少数にとどまりました。

2ch「ステマ」戦争 人気板が住民大移動で一気に縮小、その背景の事情と心情 (1/4) – ITmedia ニュース

今回のニュー速騒動のまとめ : 【移転しました】旧ロブ速 (ロブ速)

【2chで何が起きたのか】誰でも分かる基礎からのステマ騒動まとめ

と、ここまででもかなり大きな動きではあったのですが、今思うとこれはまだ序章にすぎなかったのです。

「はちま起稿」騒動(2012年1月中旬)

前述の出来事以来、転載可能なニュー速板で急激な過疎化が起こり、且つ残っているスレでさえもステマ連呼が度々起こっていたため、転載ソースとしてはほとんど機能しなくなりました。その結果、今までニュー速板を主なソースとしていたまとめブログでも、他の板、たとえばニュース速報+板、ニュー速VIP板などからの転載を試みるところが出始めました。ただ、他の板はニュー速板とタイプが違うのと、すでにそこでまとめていた人もいて重複の可能性が高かったのもあり、試行錯誤していたところも多かったように思えます。

ちなみにここで野球系というかちょっとカテゴリ分けが難しい「なんJ板」がニュー速板やらブログ板の乗っ取り騒動などで目立ち始めます。で、その流れからか、ここのまとめを始めるブログも出始めました。今年になり、やけにはてなブックマークにあがってくるまとめサイトでプロ野球の話題が増えている感がありますが、おそらくここの影響かと思われます(まあそれはそれでシーズン中おもしろかったけど)。

そんな折、ひとつの事件が起きました。まとめブログ「はちま起稿」、移住を揶揄する偏向記事をブログに投稿され、ニュース速報から移民した嫌儲板、そして同時にゲーム業界系を扱うゲーム・ハード板(通称ゲハ板)の住民の怒りを買うことになります。ただ、ほかのまとめブログにおいてもこのような揶揄を行っていたところがないわけじゃありません。しかしながらはちま起稿だけこのように大騒ぎになったのは、それまでこのサイトにおいての反発がニュース速報板、そしてゲーム・ハード板で前々から反発が大きかったからです。主な理由としては、デマまがいの編集を行ってのスレの転載を度々しており、且つそれにより特定のハードをおとしめるような言動があったと受け止められ、住民の怒りを買っていたことが挙げられるでしょう。

その結果、同サイトにおける徹底的な調査が行われると、同サイト管理人の同級生の発言より、本名や出身校が晒されることになります。そこよりさらに調べられると、はちま起稿が個人運営のサイトではなく、複数の執筆陣による会社が経営しているサイトだということが明るみになってきました。今迄の更新回数より複数管理人による運営は疑われていましたが、個人ブログの形をとりながら実際は企業運営と疑わしきものだったということで、騒ぎが一気に炎上します。また、同サイトはゲーム系の広告や対談記事を数多く掲載していたのですが、そこに対してもステルスマーケティングではないか、という疑いがかけられて、関係無関係不明のまま飛び火してしまいます。

そんな折、はちま起稿管理人とされた清水氏が、一連のことについて謝罪、そして引退することを宣言します。しかし運営は他の人に任せてはちま起稿自体は存続するとのことで、ただのスケープゴートにしての難逃れではないかという批判が出ました。

「ステマ騒動」の矛先はゲハブログへ:ゲハブログ最大手「はちま起稿」が謝罪文を掲載、管理人交代へ (1/3) – ねとらぼ

あの「今回の騒動について」の嘘 : ゲーム脳人

hatimaが死んでも代わりはいるもの – EXAPON Becky!

■参考:けんもう速報 はちま炎上祭りの基礎知識とまとめ

■参考:はちま寄稿と真っ黒悪質ステマ企業たち@Wiki – トップページ

しかし、このあとさらに大きなことが起こるとは誰が想像したでしょうか……。

2ちゃんまとめ5ブログ転載禁止命令(2012年6月)

例の騒動のあと、嫌儲板やゲーム・ハード板ではスレが続き、それらを責める言葉が綴られましたが、以後は大きな動きはありませんでした。あったことといえば、無理に嫌儲のスレを転載、もしくは他のスレでソースロンダリングをして転載しようとしたブログが責められることになったというくらいでしょうか。しかし6月になると、一つの事件が起こります。

アニメ系2chまとめサイト大手である「やらおん」において、Webマンガのことについて触れたインタビュー記事において「サンデー編集『WEB漫画家はお金をもらわずに、情熱だけで描いてるから、面白い作品を描ける人が多い』」というスレッドが2chに立ったのものをまとめ「やらおん!」が掲載。しかしこれに対して本人が事実を曲解、捏造しているとTwitter苦言を呈します。すると記事はそのまま前触れもなく削除されます。

やらおんの捏造記事にサンデー編集「弁護士に相談する」→ やらおん管理人、顔面蒼白で記事削除

それ以後、ニュース速報板の当問題を論じていた「☆【2chまとめブログ】はちま寄稿と真っ黒悪質ステマ企業たち★」スレに2chの創設者であるひろゆき氏が降臨し、住民といくつかのやりとりを交わします。
そして 2012年6月4日、2ちゃんねるトップより「面倒なことになりそうな会社さんへ」というテキストページ(warm.txt)が加えられ、以下のような文章が公開されました。

第3者に迷惑をかけ謝罪しない人物に2chの著作物を使われることは、不利益が大きいため、下記のURLにおける2chの著作物の利用を禁止します。
また、本人及び関係者による類似サイトへの著作物の利用も同様に禁止します。

ハムスターがまとめる2ちゃんねるスレッド紹介ブログです。
国内最大のエンタメまとめメディアサイトのはちま起稿トップページです。最新ゲーム情報や話題のニュースなどをどこよりも早くお届けします。
オレ的ゲーム速報@刃:気に入ったゲーム情報やニュースを配信するブログ。ゲーム、アニメ、漫画、流行りのネタなど、画像や動画を交えて紹介しています。
ニュース・VIP・アニメ・ゲーム・声優等。

発言の捏造、転載元が明記されていない著作物の利用に関しても、なんらかの措置をとる可能性があります。

つまりは、上記サイトの事実上転載禁止です。上から前述の「やらおん」、「ハムスター速報」、「はちま起稿」、「オレ的ゲーム速報@刃」「ニュー速VIPブログ」の5つのまとめブログで、どれも以前から主にデマや捏造が多いと指摘されて、クレームが多かったところでした(まあ問題が指摘されていたのはここだけではありませんが)。

「悪質」まとめサイトが大ピンチ 2ちゃんねるから「転載禁止」通告 (1/2) : J-CASTニュース

その結果、転載禁止を余儀なくされた上記サイトは、独自のニュース紹介を行う、自サイトに投稿されたコメントをまとめるなどでしのぎましたが、「ニュー速VIPブログ」は更新頻度を激減させつつも、自力でゲーム感想などを書いています(個人的にはまとめ時代よりも、こっちの文章の方が好きです)。

ほちまジャパン : ハム速、ついに自分のコメント欄をまとめ始める

さらに7月になると、上記の2chトップからのテキストに以下のようなブログサービスを名指ししたものも書き加えられました。

上記のブログサイトのサーバ管理をしているライブドア社ならびにFC2社にお願いです。

刺激的な内容で広告収入を得ることが生業になっていることで、下記のような事件が再発していると考えています。

「はちま」「オレ的」の転載に怒り 個人ゲームブログからも「転載やめて」の声
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1207/18/news134.html

よって、上記のブログサイトの2chの著作物を転載をしてるページに一切の広告を載せない措置をお願いしたいと考えております。
よろしくお願い致します。

19/07/2012

アクセス数や更新頻度の変化ですが、上が5月のもの

転載禁止された 2ch まとめブログのシェアと更新頻度一覧 – Life like a clown

下が2ヶ月後の7月のものになり、「はちま」「オレ的」「やらおん」は3分の1になっているとのこと

2ch まとめブログ界隈の状況 (2012 年 7 月版) – Life like a clown

「転載禁止」で岐路に立たされたまとめサイト 「はちま」「オレ的」「やらおん」は影響力3分の1に – ねとらぼ

この話題から見えたことをついでに言うと、実はひろゆき氏は2chの管理人を引退して、権利をシンガポールの会社に譲渡したとされていました。しかしそれ以後も2chの最高管理権はいまだに実質ひろゆき氏が持っているとの発言が運営側から漏れることがありましたが、このことはそれを証明する形にもなりました。

■参考:ひろゆき氏はもう「2ちゃんねる管理人」ではない 譲渡の真相を聞いてみたが…… – ITmedia ニュース

後編に続きます。