様々なものの価格相場を決めてしまったヤフオクの功罪

過去ログをあさっていたら、ヤフオクについて書いたエントリーが出てきました。しかし思い返してみると、自分はもうヤフオクをここ数年、出品、落札ともに全然やってないのですよね。その理由を考えていたら、ちょっと思いついたことがあったので書きます。
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ヤフオクがなかなかフリーダムだった時代のこと

私がヤフオクをやっていたのは、2000年より前だったと記憶しています。当時はまだ有料化もされていない時代で、システムもいまほど整っていない時代だったので本人確認もかなり緩く、やりとりも相手にメールアドレスや実名を絶対に知らせないと出来ないようなものでした。それが故ネット詐欺などもわりとあったようなのですが、反面自由度が高かった&無料だったため、今にはない楽しさもあったのですよね。ザク出品なネタとか。
当時のことはちょっと前に書いたので、興味のある方はそちらをご参照ください。

 ■参考:Timesteps : ヤフオク有料化騒動はその後どうなったのか

この頃は出品物においても、雑誌の付録や菓子のおまけとか、製品化と思ってみたら店でタダで配っているチラシが出品されているなど、今じゃ「誰が買うんだこれ」というものも多く出品されていたのですよね。ただ、その中には見る人が見れば掘り出し物と思えるものが見つかったりもしました。特にひとむかし前のオタク系のグッズですな。自分の場合サントラとか本やマンガ、雑誌とか。ネット普及以前はそういったものを売っている場所はごく少数しかなかったので、その少数である秋葉原や中野(まんだらけ)に行ってました。しかし、ヤフオクが登場するとそれらを家にいながら探せるようになります。これは非常に大きな魅力だったのですよね。

私の落札ターゲットは主にゲームサントラでしたね。当時注目度が低かったのもありますが、レアなサントラが1000円程度で出品されていたり、そこそこいいものが数百円だったりして、見つけては入札しまくっていました。ただ、当時は欲しくて、そして値段がそこそこだったから手に入れただけで、それが適正価格かどうかというのはわかりませんでした(一部のものは中古屋のショーウインドウに飾られていたので、希少で値段がついているってことはわかっていましたが)。

ゲームサントラだけではありません。この当時、いろいろなものが出品されていたのですが、すでに一般流通していない中古の品などについてはそれらの値段がどのあたりが基準か、というのが定まっていなかったのですよね。つまり「価格相場」というものがほとんどないに等しかったわけです。なぜなら、その物品における「市場」がとても狭かったから。

そういった基準が固まっていないから、売り手のほうも、それの売値が損か得かというのがわからなかったと思います。そもそもこんなものを売れるかどうかでさえわからず、売れればラッキー的に思って、かなり安値で出していた人も多いのではないかと。で、買い手のほうは手に入れてラッキーと思う、ある意味WIN-WINな関係だったのかもしれません。

ちなみに自分も出品をしていましたが、どっちかというと部屋を片付けるため的な要素が強かったです。ネット以前はそういった相場のないものは処分するのに捨てるか、もしくは中古屋で値段にもならない価格で売るしかなかったのですが、ネットの登場によりとりあえず少額でも売って処分できる可能性が出てきました。実は、ものを捨てられない人間がそれを処分する時には何らかの動機付けが必要なのですが、それにはヤフオクという場所は非常に適していたのですよね。「売る」ということになればそれを手放す動機となり得るので。故に価格は二の次でとりあえず処分するために売っていた人もそれなりにいると思われます。

取引前例が出来たことによる価格相場の発生

しかし、ヤフオクが広まるにつれて、それがどれくらいの価格で売れるかという目安が過去の落札履歴から出来てしまい、そこであらゆる品物に対して「相場」が発生してしまったように思えます。そうなると出品側はあまりそこから外れた低価格で売ると損をした気分になりますので、その相場を大きく外さない初期価格となってしまいます。そうなると落札側にとっても値段の予想がついてしまい、以前あったような「掘り出し物を探し出す」みたいな楽しみ方の余地がなくなってきてしまったのですよね。

しかもそれはヤフオクだけではありません。ヤフオクがそういったものの相場を作ってしまったので、市販のものもそれの影響を受けるようになってしまった可能性が高いからです。

自分はヤフオク以前からサントラを探すために中古ショップを回ることが多く、時には出回りが少ない(需要が多いかは不明)サントラが処分価格の100円で売っているようなこともあり、中古屋巡りが楽しかったのですよね。しかし、ブックオフなど最近は昔はかなり掘り出し物のあったようなショップでさえもヤフオクと大差ないような高価格で売るようになってしまい、昔のような低価格でわりとレアなものというのはなくなってしまいました。

これは二つの要因が考えられます。ひとつはショップがヤフオクでの相場を参照するようになり、それを反映させたということ。そしてもうひとつは出品ユーザーがそれを見つけて、もし相場以下ならば高く売れるために、転売(俗に言うせどり)の対象になってしまったからだと思われます。まあネットの広まりによる他の原因もあるので、ヤフオクやその他ネットオークションにばかり原因があるわけではないのですが。

価格相場の発生により消えたヤフオクの面白み

このようにヤフオクなどネットオークションの広まりにより、今までは値段の相場なかったものでも、それに値段がつけられてしまった、もしくはわからなかったものでもわかるようになってしまったといえるでしょう。

そうなると「ほしい物を安く入手できる」というヤフオクの利点が薄くなり、値段的にも売り方的にもショッピングモールと大差がないような気がしているのですよね。でもそうなると素人と取引するよりは、まだ店とのほうが安心感があるわけで。それが最近ヤフオクをやらなくなった理由かもしれません。サントラに限って言えば、むしろそういうのを一切わかっていない店や、ちょっと前のブックオフみたいに相場の判断をしない店から発掘したほうがおもしろみがあるし。

ヤフオクをやらなくなってしまったのは、そういった落札の面白みがなくなったというのが一番なのですよね。あと露骨な転売屋が多くなり始めたから、そっから買うのもどうかって思うようになったというのもありますが。

値段での価値判断が難しいものに値段をつけてしまったということ

あと、本来値段のつくのに難しいものもヤフオクに出品、落札されることで数値化されてしまったということもあります。代表的なのは同人誌ですね。本来市場価格と結びつきにくいものなのに、相場が出来てしまったことは微妙なように思えます。まあ、あらゆるものに市場が出来てしまうことは必然なのか、難しいところではありますが。

ネットオークションが同人誌に与えた影響については、きっかけがあればそのうち書こうと思います。


価格相場は個人に対しての絶対的価値ではない

インターネットの広まりは、多くの人があらゆる情報を得ることを可能にしました。それはいいことなのでしょうが、その影で、こういったところでのおもしろさが消滅してしまったという事実もあるわけですね。

ただ、それでもヤフオクを楽しむ方法はあります。それは相場を無視すること。つまり、どんな安いものでもそれを自分が気に入れば手に入れて、自分の価値観で楽しむということ。

ヤフオクに限らず市場全体において品物の相場というのは絶対ではありません。市場的価値が低いものでもなんかのきっかけで急に上がるものもありますし、その逆もあります。そもそも価格相場なんてものは結局需要と供給の関係で決まり、その母数の変動でいくらでも変化するのです。そして価値は個人に対しては絶対ではありません。故に市場価格や他人の価値ではなく、自分の欲しいものを自分で判断し、価値をつけることが大切だと思うのです。

ゲームとかではそういう「値段は安いけどとても楽しめるもの」を探すという行為も、おもしろいと思いますよ。

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