日本のネットユーザーの弱点である海外への情報発信力の弱さは克服できるか

Togetterにこのようなまとめがありました。

Togetter – まとめ「日本の動向を海外に紹介するサイトって何かある?」

ここではタイトル通り日本の動向を海外に紹介するサイトがいくつかリンクされています。今でも以下のサイトがよく更新されているようです。ちょっと抽出させてもらいました。

Culture:Japan – Your portal to Japan (日本語サイトもあり)
Asiajin
■OKYOMANGO ※閉鎖
■AkibaBlog (アキバblogの英語ページ) ※閉鎖
japan – Kotaku (Kotaku本家のJapanタグ)
Japan Real Time – WSJ(ウォールストリートジャーナルのオンライン版での日本紹介ページ)
Otaku News
J-List side blog
Sankaku Complex – Anime, manga and games, observed from Japan (アダルト要素あり)

これらのサイトを見てみると、海外の日本に興味がある人がやっているもの、そして日本人が英語で海外に情報を発信しているものの両方があるようですね。アキバBlogの英語版もあるし。

実は、自分も過去に、このような「日本の文化(主にマンガやゲームなどのポップカルチャー)や社会などを英語で海外に伝えることを目的とするブログ」というものを作ろうかと思った時期があったのですよね。というのはいくつかの理由があったからです。そのひとつがWAIWAI事件。

「低俗過ぎる」毎日新聞英語版のゴシップサイトが批判受け閉鎖

毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki – トップページ

覚えておられる方も多いと思いますが、毎日新聞社の海外サイト、WAIWAIにおいて、「中学生の息子が入学試験に合格するために、母親と性的関係を持つ」「防衛省はロリータ漫画キャラクターを使って防衛政策を説明している」など、日本のことを酷く低俗に紹介したことが判明し、ネットで炎上を起こしたというものです。その結果WAIWAIは閉鎖、毎日新聞社側が陳謝することとなりました。

ただ、これは日本のことを低俗に紹介したということだけではなく、もうひとつの問題を浮き彫りにしたと思います。それは日本のネットユーザーの多くは、海外(のネットユーザー)に対して情報の発信力が低いということ。

WAIWAIに載せられていた記事は、日本ではゴシップ誌やタブロイド誌の性風俗面に載せられていたものがソースです。そして日本人でそれを読んでまともに受け取る人はそうそういないように、その情報がその程度の質のものと認識されれば、さほど問題はなかったでしょう。しかし、問題はWAIWAIの情報がそういう類のものであって信頼に足る情報ではないということをわからせることが出来なかったということ(正確には、わからせることが出来なかったと後述の状況から日本人が思い込んでしまったこと)。つまり、日本を知らない人にとってはそのWAIWAIの情報しか与えられていなかったため、さらにそれに対して嘘だとか、でっちあげだとかいう声もあがらなかった、つまりそれの真偽を比較する情報もほぼ皆無だったので、それを信じざるを得ない状況になってしまったのです。これがWAIWAIが意図していなかったが故のことなのか、それともネットで言われるように日本人を貶めるために意図されていたのかはわかりませんが。

ちなみに、最近海外のニュースでおもしろおかしいもの、変なものがよく日本のニュースサイトでも配信されていますが、それが絶対本当だという証明はなく、向こうから見たらWAIWAIと同じような記事という可能性もあるのですよね。そのあたりは注意して読みたいものだと思います。

話を戻して、では何故日本人はこの記事を見つけるのが遅れ、そして反論が出来なかったのか。これは容易に想像が出来ます。それは海外のサイトに対して注目することがほとんどなかったから。その一番の理由は「英語」という障壁があったからでしょう。実際、WAIWAIは何年も前に開設されて、そのようなことが書かれていたのですが、それが判明するまで何年もかかっています。もし、日本語で同じような行為が行なわれていたとしたら(目的としてあり得ませんが、仮定として)、もっと早く日本のネットユーザーに知れ渡り、抗議が出るか、それ以前に「これは信頼に足るものではない」とアピールされたかのどっちかだったでしょう。しかし、結果として発見が遅れて、また、訂正するような情報も発信できず、ここまで大きな騒ぎとなってしまいました。

そして近年、この言語が障壁になることにおける発進力の低さはWAIWAI事件以外でもいろいろ出てきているように思えます。例えば、最近表現規制問題や児童ポルノ法問題が出てきた時に、海外からの要請をその理由として挙げられることがあります。しかし、色々調べてみると、その海外の要請をした団体に、必ずしも日本国内におけるそういったものの正確な状況が伝わっていないこともあるようです。とある場所では世界に対して、日本は児童ポルノ大国だとか言われている感じがあります。しかし、少し調べれば日本はそのような国ではないということはすぐにわかります。ただ、それの反論、訂正情報をその伝えられた人に知らされない限りは、それを本当の情報として受け止めてしまう可能性もあるでしょう。

■参考:表現の数だけ人生が在る – 「第3回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」

海外で「レイプレイ」というエロゲーが採り上げられた時も、まるで日本ではそれらがレーティングなしに普通に売っているようなことを言っていた人もいましたね。

あと、捕鯨問題などもそうですね。あれは日本人が何故クジラを捕るのか、それに対してどのように思っているのかというのを伝えられていないように思えます(これ自体が宗教観や文化に対する考え方があるので、説明が非常に難しいのですが)。しかしそれが故に、まるで日本人が虐殺をしていると一方的な情報で受け取り、その人のは善意のつもりで反対している人もいるのではないでしょうか。前回のエントリーで触れた「『地獄への道は善意で舗装されている』という言葉がちょっと頭をかすめたり」という言葉が思い出されます。

つまり、日本のネットユーザーの発進力が低いことで、海外にそれが出来る少数の人が、その信憑性や数を問わず、強くなってしまっているのですよね。正確な情報で日本が判断されるならまだ理解出来ますが、そのような「声の大きい人」の意見が海外からの見解を支配することになってしまうというのは、危険なことだと感じます。

今まで、日本のネットユーザーは英語圏のネットに対して、一部の人間を除いてあまり触れてこようとしなかったと思います。とりわけ、受信はしても発信まですることをしてこなかった人は(私も含めて)多いはずです。故に、その発信の必要性を感じ、海外に対しての英語で構成されたブログを作ろうと思ったのですね。自分のメリットとしても、ブログの更新を通して英語力を強化できるかも、という目算があったので。ただ、その頃からもう複数のブログを運営していましたので、英語力以前にこれ以上ブログを増やしたら完全に破綻すると思い、結局公開には至りませんでした。

ただ、現代においては、ブログを作らなくても、そして数多くの日本人ネットユーザーが海外に対して発信をする仕組みが出来てきていると思います。それは、ブログなどサイトを立ち上げる以外でも交流の可能な手段が数多くできてきたから。その代表的なものがTwitterですね。言うまでもなく、これは世界に繋がる仕組みが出来ています。そして、そこから海外に自分の意見を発信することも可能なはずです。でも、タイムラインに日本語と英語が混じると何だなあという場合は、新しく海外交流用の英語TLアカウントを作るというのも手ではないでしょうか。

またもうひとつ、海外では有力なSNSとなっているFacebookを使うという手もあるかもしれません。日本ではmixiと比べてマイナーなSNSのFacebookですが、海外ではTwitterクラスの広がりを見せています。そこを活用するというのはひとつの大きな発信地となるのではないでしょうか。ちなみにTwitterとFacebookやMySpaceは連動出来ます。

これらでは「海外の誰に対して交流を持ちかける(Followしたり、Friend登録したりするか)」というのが問題になります。しかし幸い、日本には先述のような日本の文化、とりわけマンガやアニメに興味を持っている人、もしくは日本自体に興味を持っている人が、最初に書いたようなサイトの閲覧者としているわけです。そこに来る人は、少なくともそういったものに関心があるということは、日本人にとってもコミュニケーションをとる障壁が低く、きっかけとなり得るのではないでしょうか。

しかし、多くの人が思うようにここで問題となるのは英語でしょう。私も英語が出来ないほうなので、それはよくわかります。ただ、これはネットに限ったことではありませんが、そういったたいがいコミュニケーションは外国語が出来るか、というより、要はそこに入る意志のほうがはるかに重要ではないかと。極論、英語は感嘆の単語一つでも、それは伝えるための言葉となりうるのですから(つか、YouTubeの英語での感想コメントって、わりとそういうのが多かったりするよね)。そしてだんだんとコミュニケーションそのもので外国語を学べばいいのではないかと。

ネットはまだまだ衰退が見えない分野で、これからは世界へと広がりを見せるでしょう。なら、ここで日本のネット利用者が先に国際的に繋がれば、マスメディアよりも海外へ対し大きな情報発信手段をもつことも不可能ではないかもしれません。逆に、英語の言語圏での情報の行き来が行なわれるのに、日本だけ取り残されるとかなりまずいことになるような気がします。取り残されるならまだしも、先述のように不利な情報の修正が出来ないというのは明らかに。

近い将来、さっき書いたような表現規制問題などで、海外のネットユーザーに対して何かを広く伝えること、そして広く情報を求める必要というのが出て来ると思います。その時のために多くの人が海外に向けたFacebookやTwitterを用意しておくというのも手段のひとつでしょう。それを実践する英語力も上がるかもしれないし、それに何より未知のコミュニティーが生まれ、広がる可能性もありますしね。

■関連:秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログ : ツイッターはなぜ日本でそんなに流行っているのか – Wall Street JournalのJapan Realtimeに寄せたコメントの補足

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