東京都青少年健全育成条例問題やコミック表現規制についての書籍

東京都青少年健全育成条例の改正案は、原案、修正案とも否決され、廃案となりました。ただ、都は9月(もしくは12月)にも再提出の構えがあるので、注目し続ける必要がありそうですが。

「非実在青少年」規制盛り込んだ条例改正案、都議会が否決 -INTERNET Watch

さて、この東京都青少年条例の件が話題になり始めたのはだいたい2月末〜3月始めあたりからで、最初はネットからの広まりでしたが、5月に入ると書籍もいろいろと刊行されるようになりました。そこで目につくものは一通り買って読んでみました。せっかくですので、それらとあと今回の問題に関連する書籍で読んだものを紹介してみようと思います。

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マンガ論争2.51(永山薫 昼間たかし)

マンガ論争2.51

おそらくは今回の問題を扱った書籍としては、一番最初に出されたものかと思われます(未発見の同人誌とかではいくつかあるかもしれませんが)。私は5月はじめのコミティアにて購入しました(その時は2.5)。

内容はその時点までの経緯や説明などですが、基礎知識や条文の解説等細かく書かれており、議員さん等へのインタビューも載っていて非常によくまとまっています。また、時系列での進行表や各地方における有害図書類の指定等に関する規定の一覧などもあり、資料としての役割も大きく果たしています(ちなみに時系列にこのブログでの以前のエントリーも載ってた)。今回の問題の5月までにおける全体像を把握するのには非常に向いていると思われます。

形としては同人誌なので、即売会での販売がメインのようですが、Amazonでの取り扱いもあります。
あと、以前に出たマンガ論争勃発本編も読まれるとよいかと。

2007-2008 マンガ論争勃発 マンガ論争勃発2

非実在青少年◆読本(COMICリュウ編集部・編/徳間書店)

非実在青少年◆読本 (ロマンアルバム)

今回の問題に関して商業流通の書籍としては一番最初に出版されたもの。
こちらのメインは、各業界の人へのインタビューやアンケート。インタビューは藤本由香里さんや東浩紀さん、安彦良和さん、押井守さんや中村公彦さん、アンケートでは100人の業界人(マンガ家、アニメ、ゲーム業界人など)が回答しています。さらに鈴木みそさんによる山口弁護士へのインタビューマンガ、それにちばてつやさんの規制反対マンガも掲載されています。特に吾妻ひでおさん&とり・みきさん&山本直樹さんの対談がなかなか興味深いです。
各方面からの意見で、どのよう名理由で反対と言っているのかというのがわかります。

非実在青少年〈規制反対〉読本(サイゾー)

非実在青少年〈規制反対〉読本

こちらも戦術の非実在青少年◆読本とほぼ同時に出た書籍。山本弘さんや兼光ダニエル真さん、水戸泉さんなどが寄稿しており、論文的な感じが強い感じでしょうか。この法律に対してネット上でも異議を唱えていた方が多いので、読み応えがあります。

さて、ここまでは今年起こった「東京都青少年保護育成条例」の改正案を受けて出された書籍ですが、このようなマンガ規制に対しての本は過去にもいろいろと出されています。その一部を紹介したいと思います。

『有害コミック問題を考える 置き去りにされた「性表現」論議』(創出版)

こちらは、20年前の「有害コミック騒動」の時に出版されたものです。20年前といえば、インターネットもまだ存在せず、よって当時のこの問題におけるまとまった資料もかなり少ないのですが、これが数少ない貴重なものとなっています。特に実際に有害指定を受けた本や、規制の時系列をまとめたものはとても役に立ち、私もこの本から調べたことをブログのエントリーで何度か書いています。20年前の藤井誠二さんが調査を行い、鴻上尚史さん、それに米沢嘉博さんが寄稿していて、あと蛭子能収さんや内田春菊さん、森山塔さんの対談が見られるのが興味深いです。一番貴重なのは、ちゃんと規制をする側の人(長勢甚遠さん)もインタビューに応じて、ちゃんと持論を説明しているところです。本来はこのように両方の意見が出て来るべきだと思うのですが、なんか今回は全く規制をする側が意見を(一方的な場でしか)出して来ないことが歪みの一つと考えられます。
ちなみに20年近く前の本なので入手は難しいですが、BK1で注文するか、もしくは創出版で通販を行なっている模様(あと、10年くらい前には練馬区の図書館で見かけたような記憶があります)。

『誌外戦』(コミック表現の自由を守る会/創出版)

こちらも同じく、創出版から出されたもの。こちらは有害コミック騒動を受けて、石之森章太郎先生や里中満智子先生らのマンガ家が規制から守るための会を結成してから出されたものです。そして先述の『非実在青少年◆読本』にあった、ちばてつや先生の規制反対マンガは、こちらが初出です。ちばてつやさん以外にも、石之森章太郎先生や里中満智子先生など多数のマンガ家の人が規制に対するマンガやイラスト、文章を寄稿しています。当時中堅〜新人なのに、今だと大家になった人も多かったり。

ちなみにマンガ家に対するアンケートで水木しげる先生のがあるのですが、それ(性表現の現状について、貴方はどう思われているか)の回答として「アメリカとかヨーロッパみたいにポルノビデオを自由にすればよい。そうすれば「ナーンダ」ということになる。隠すからイロイロ問題になるのです。人間の本能にかかわることにあまり手出ししすぎるのも問題だ」というあたりが、なんとなく水木先生らしいなあという気がします。

前述の本含めて、在庫は出版社にあるかもというところです。

創出版 ショッピングコーナー - ■誌外戦/コミック表現の自由を守る会・編集 –

ちなみに上記本を出している創出版社というところは、『創』という雑誌を出しており、大昔からこのようにコミックの表現規制問題に触れていて、ここ数号でも、東京都青少年育成条例問題について扱っています。

創 (つくる) 2010年 07月号 [雑誌]

■参考:青少年条例と児童ポルノ法改定による表現規制を考える

まとめ

というわけで、いろいろ出ておりますが、この問題について多方面から情報を得たい方は読まれるとよいかと。

ちなみに、先述の『マンガ論争2.51』の巻末の方に、私が読んでいない本も含めて「表現規制問題を考えるブックガイド」というのがあり、そこに50冊以上紹介されているので、興味のある方はそちらを参考にされるとよろしいと思います。

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