「若者の○○離れ」と言われているものが盛り上がった期間は意外と短い

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とあるエントリーに急にアクセスが集まっていました。どうやらこれがまとめられていた模様

1年前のエントリーなので、ちょっと驚いているところもあります。

同時にこれが話題になっているようですね。

   r ‐、 
   | ○ |         r‐‐、
  _,;ト - イ、      ∧l☆│∧  良い子の諸君!
(⌒`    ⌒ヽ   /,、,,ト.-イ/,、 l  若者の○○離れとよく耳にするが、
 |ヽ  ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!´ `⌒)  当時群がってたのは今のジジババ共だ!
│ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /|  今の若者は、離れるも何も
│  〉    |│  |`ー^ー― r' |  最初から近づいてすらいないな!
│ /───| |  |/ |  l  ト、 |  
|  irー-、 ー ,} |    /     i      
| /   `X´ ヽ    /   入  |

AAの出もとは2ちゃんねるですが、広まったのは以下から。

“若者の○○離れ”に対する2ちゃんねるの反論コピペに超納得した|デジタルマガジン

ちなみにこの『キン肉マン』に登場する四次元殺法コンビ(ブラックホールとペンタゴン)のAAは昔からわりと使われているようです。どうでもいいけど、連載当時悪魔超人と正義超人がコンビ組んでいいのかと思ってました。まあそれはどうでもいいとして。

「若者の○○離れ」

「若者の○○離れ」については、以前このブログでも書きました。

上に書いたように、「若者の○○離れ」という言葉が語られる時、考えなければいけないこと(若者の絶対数や経済状況、将来への展望、ライフスタイルの変化など)があるのに、現実は、若者の購買意欲や活力が減退したという、若者に責任転嫁するような文脈で語られる場合があり、それが問題となっています。つまり「若者の○○離れ」というのが、一種の免罪符的なものになってしまっている感じなのですよね。

そして上のAAを見て思った、そもそも「若者の○○離れ」ということを考える際にさらに考えなければいけないことがあると思いました。それは「若者の○○離れ」の○○、つまりテレビとか車とかビールなど各種の商品が展開されてきた時間。「若者の○○離れ」という言葉は、なんとなく「長い間続いてきたのに、(今の購買意欲や活力のない若者が)その流れを切ってしまった」というニュアンスで語られることがあります。まるでそれを受け継ぐことが日本伝統の決まりだったみたいな感じで。しかし、その○○で言われているものをひとつひとつ見ていると、それを受け継ぐことが当たり前と言える程長く続いているものはそんなないのでは? と思えたのです。というわけでちょっと調べてみることにしました。以下から抜粋。

若者のなんとか離れを検索してみた – kokokubeta;

車・バイク

日本の自動車会社として代表的なトヨタ自動車が誕生したのは1937年。それから太平洋戦争を経て戦後になりますが、車が急速に売れ出したのは1960年代に入ってから。いわゆる行動成長期の三種の神器(3C)ですね(クーラー、カラーテレビ、自動車)。今から50年間といえば離れているように感じますが、今の20歳の人が誕生したのは1990年、とすれば、そこから30年前になりますし、私が生まれたのは1970年代ですから、それからたった10数年前のことです。しかも若者に車が売れるようになったのはもうちょっと後と思えます。となると、車が若者に売れていたというのは、30〜40年くらいで、せいぜい前の世代のみだったのではないかと。実際現在若者と呼ばれている人の祖父が若い世代ではまだ戦前生まれの人もかなりいるでしょうが、その頃には車は若者にとっては相当レアなものだったのではないでしょうか。

ちなみに「若者のバイク離れ」というものもありましたが、1960年代の若者のバイク所有者は金持ちの息子がほとんどで、そういう人達が「カミナリ族」と呼ばれていました。暴走族が社会問題になるほどバイクが普及したのは、1970年に入ってからで、今から30〜40年前のことです。

■参考:暴走族 – Wikipedia

テレビ

日本でテレビ放映が開始されたのは、1953年。フジテレビが開局したのは1959年、テレビ東京が開局したのは1964年です。テレビと言えば昔からあったようなイメージがありますが、実際はそんな経ってはいません。しかもテレビ朝日とテレビ東京が総合テレビ局化したのは1973年と40年も経っていません。実際、現在高齢の方にはテレビよりもラジオのほうが馴染みがあるという方もわりといらっしゃるようです。
つまり、テレビも昔から見られていたわけではなく、1960年代〜2000年前後の一世代に盛り上がっていたもの、と考えることが出来ます。

■参考:テレビ – Wikipedia

若者の海外(旅行)離れ

日本航空が海外へのフライトを開始したのは1953年。しかし当時は海外旅行はそれこそ選ばれた人のみのもので、一般人が簡単に行けるものではありませんでした。1970年代に入っても簡単に行けるものではなかったようで、『アメリカ横断ウルトラクイズ』の第一回が放映された1977年でさえ、海外は相当敷居が高かったとのこと。海外旅行に気軽に行けるようになったのは、おそらく1980年の後半くらいからではないでしょうか。つまり、バブル景気に突入してから後。つまりこれに関してはバブル前後の10年に一時的に増えた、という見方のほうが正しいのかもしれないとも思うのです。
国内旅行も同じで、しょっちゅう旅に出るというのは、バブル期から後のみだったように思うのですが。

実際は非常に狭い時期から見た○○離れ

このように、実際はかなり長くその○○が続いており、そこから若者が離れているように言われる感じがあるのですが、実際は高度成長期からバブル崩壊までの、30〜40年くらいの盛り上がりにすぎないものが多いのではないでしょうか。ちなみに一世代の「世」には30年という意味があるそうですが、つまり一世代しか続いていなかったものに対して、さも昔からあったように語られているものが多いような気がするのです。かなり長く続いているように見えるものでも、実際は明治維新以降で100年やそこら程度なのではないでしょうか(例外はあるかもしれませんが)。しかし実際は、日本の歴史において前後ともその品物なりに触れていない時間のほうがはるかに長いわけです。つまり「若者の○○離れ」というのは、特定の世代から見ただけの、非常に狭いもののように思えるのです。

じゃあ新聞は新聞や活字は昔からあったのにどうなんだ、ということが言われるかもしれませんが、私は現代の若い人が文字に触れる機会が減ったとは思っていません。昔から全員が全員本を読み、新聞を読んでいたというとそういうわけではないでしょうし。むしろネットや携帯電話の普及で文字を読む機会は増えているのではないかと思うのです。ただ、活字の基準が昔ながらの新聞や本といった紙媒体にのみ置かれているので、減ったように言われているのではないかと。まあこれも言い訳っぽいところがあるでしょうが。政治離れも同じく、昔からノンポリと言われている人はいましたし、今ネット上では毎日のように政治に関する発言を目にすることが出来ます。しかし政治に対しての発言をする媒体や方法が代わったことが政治離れと言われているような気がします。

ついでに献血については、前に書きましたのでそちらを。

あと「若者のIT離れ」「若者のパソコン離れ」「若者のユニクロ離れ」なんていうのもあるようですが、それは若者とか世代で語るのは違うだろ、というツッコミをしておきます(まあこのへんはすでに言葉遊びの領域になっているような気がしますが)。逆に謎なのがゲーム。スペースインベーダーのブームは1970年代末、ファミコンが登場したのは1983年で、そろそろ隆盛から40年の歴史を持つことになります。テレビとは20年程度しか違いません。
しかし何故か文化として歴史が浅く軽視されがちな気がするのですが。あと、マンガも戦直後から、それこそテレビよりも古い歴史があるものなのに、なんか他のものと比べて歴史が浅いもののように語られているような気がするのです。結局歴史の長さ関係なく、都合のいい物を選定して言われているだけじゃないかなあと思ったりします。

「天狗の仕業」

ま、結局は若者という「天狗の仕業じゃ!」にしておけばいいということで言われている面が強いのでしょうね。故に、若者の意欲低下とは関係ないようなものでも魔法の呪文のようにそう言われてしまうと。

実際、「若者の○○離れ」というのが言われているのに、「高齢者の○○離れ」というのは言われないのですよね。現代のライフスタイルはだいぶ変わっていて高齢者もその影響を受けているはずです。昔の高齢者のイメージとしてはゲートボールをやっていたり、庭で盆栽を飼育していてその時に隣の空き地から野球のボールが飛んできて盆栽or窓ガラスに当たって「こらーっ!」とカミナりが鳴るような勢いで怒鳴りながら出ていき子供達が逃げるようなものでしたが(後半飛躍しすぎ)、今、高齢者が必ずしも盆栽をやっているわけではないでしょうし、ゲートボールをやっているわけでもないでしょう。

そのほかにも昔の高齢者像とは違うところは多々あるはずです。それなのに「高齢者の○○離れ」とは言われない。これはアンバランスだと思います。ちなみに盆栽をする若い人はわりと出てきているという話はどこかで見たことがあります。たしかに育成できるミニチュアと考えると、おもしろそうと思えるかも。あと、映画に関しては戦前から隆盛を誇ってきたものの、テレビの普及などで1970〜80年代にはすでに斜陽と言われ、五社協定に参加していたような大手映画会社がどんどん倒産していったのに、当時「若者の映画離れ」と言われずに、今言われているのがとても不思議です。

でも、こういう魔法の言葉を使うことで、本質を見逃して余計状態を悪化させるようなことは、いい加減やめたほうがいいですよね。そもそも商品なら、何十年も恒久的に売れ続けるような大甘な市場なんてあるはずはなく、必ず衰退するか、もしくは競争過多になるのでしょうし。

しかし、歴史があるように見せかけられていて、実際はそんなでもないものって、結構ありそうな気がします。校則とか企業風土とか習慣系のものが特に。そのあたり気が向いたらちょっと調べてみたい気がします。

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