とある非実在青少年が性行為を行う小説

これは前に書いた『東京都青少年育成条例改正案における表現規制の危険性について語る』の文中で書いたものです。

ただ本文とバランスを崩していたのでちょっと分けました。

とある小説で「高校生」が、ボクシングに熱中しながら仲間と酒・バクチ・・喧嘩の自堕落な生活をしているというものがあります。その小説では主人公が勃起した陰茎を障子に突き立てて、そこにヒロインが本を投げつけぶつかり、刺激を受けるというシーンが話題になりました。ちなみにヒロインは、妊娠もしますし、妊娠中絶も行います。上記の定義でゆくと、高校生、すなわち「非実在青少年」の性行為が行われているわけですから、指定の対象となり得る可能性は十分ありますね。この作品は映画化されていますから、仮に文字が「視覚的描写物」にあたらないとしても、映画版では同じように性的行為を行う、もしくはそれに準ずる描写がなされるので、条文に従えばアウトとなり得るでしょう。

その小説の名前は『太陽の季節』。作者は石原慎太郎という人物です。そしてその人物の名前は、条例改正案のトップに書いてある名前と同じですね。もちろん『太陽の季節』が指定される可能性はほとんどないでしょう。でも、この法律改正案の条文を厳密に適用すると、対象になってしまう可能性はあり得るのです。この作品が指定されないのに、同じように高校生が性行為を行うものが規制されるとしたら、法の不均衡が発生するのではないでしょうか。当時はさすがに生きていなかったのでわかりませんが、太陽族が話題となった当時、『太陽の季節』を「芸術」ではなく「わいせつな小説」と認識した人もいたのでしょうから(事実、「太陽族」なんてのも生まれたのだし)。

◆追記

ちなみに当然ですが、『太陽の季節』だけではありません。歴代の文学で18歳未満が性行為を行う、もしくはそれに準ずる描写があるものがこの法文を厳密に適用するとかなり多くのものが引っかかる可能性があるのです。よくネタにされますが、『源氏物語』の紫の上も現代の年齢に照らし合わせれば18歳未満です。マンガでは『火の鳥』でもその描写が間接的に出てきますね(ちなみに望郷編はある意味近親相姦ものだったりする)。身体の触れあい程度やキスシーンまで加えれば、男女が出てくるマンガでは数え切れないくらいでしょう。

このように、いかなる作品でも、見る人の判断によってはいくらでも有害という定義の中に入り込めてしまうのです。それはマンガがかつて悪書と言われたように。それより昔には小説も認められなかったように。

太陽の季節 [DVD]

スポンサーリンク

フォローする

関連記事
スポンサーリンク