フィクション作品での恋愛において「告白」は本当に至上のものなのか

このような増田が。

なかなか読んでておもしろい内容。ただ、この文章を読んでいてちょっと違和感が。なんとなくタイトルや本文から受ける印象では、フィクション、すなわち映画やドラマ、マンガやアニメやゲームでは、それまでなんでもなかった男女二人が、告白OK→恋人になるようなストーリーが多く、それが現実と大きく異なるというように読めてしまうのですよね。たしかにそういう作品もあるでしょう。しかし、多くの作品の恋愛描写は、そう単純ではないのではないでしょうか。というわけで、現実の恋愛論とかは放っておくとして、そのような作品における「告白」について書いていこうと思います。

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フィクションにおける告白前までの積み重ね

まず、多くの作品では恋愛対象となる男性キャラと女性キャラがいます(同性でもよいのですが)。そしてどっちかが主人公という場合がほとんどですね。しかし、この二人が多くの場合はいきなり急に告白するということはまずなく、殆どの場合はプロセスを踏みます。形式として多いのは、以下の流れでしょうか。

(1)特に気のなかった二人の男女(ものによっては同性でも可)が出会う、もしくはいる。

(2)だんだんと距離が狭まってくる(途中波乱とか別れたりとかもあり)
↓<友達以上恋人未満状態>
(3)告白、もしくはそれに類するイベント

(4)恋愛関係に(この後は続いたり終わったり)

一部の人にわかりやすいようにギャルゲー的に説明すれば以下の様な感じ。

(1)スタート(共通ルート開始)
↓<フラグ収集
(2)フラグ確定(個別ルート開始)
↓<GOOD END選択肢
(3)クライマックスイベント

(4)恋愛関係に(この後は続いたり終わったり)

このように、(1)(2)でいろいろ物語を展開させることによって、(3)に結びつけてゆきます。何故こんなことをするのかというと、もちろん読み手に対して「友達以上恋人未満」の状態を見せつけてヤキモキとかドキドキハラハラさせるという効果もあるでしょうが、それと同時に「告白に対しての根拠づけ」もあるのではないかと。

つまり「何故男(女)キャラは女(男)キャラに告白するか、そしてその告白が何故成功するか」という理由付けを(3)までに行っておく必要があるのです。もしそれをしないと、読者に「え? なんで?」と不自然に思わせることとなってしまい。作品として微妙に引っかかりを残してしまいます。もし恋愛要素が作品の主要軸として扱われていないのでしたら、その理由付けも薄くてよいでしょうが、恋愛関係を目立つようにもってきているものならば、作品としてかなり引っかかりを残してしまうことになりかねません。故に、告白に至るまでの過程を描写するのです。

で、この告白に至るまでの過程ですが、事実上の「友達以上恋人未満」という状態と言えるのではないでしょうか。だって、後に恋愛対象となる男性キャラと女性キャラがすでに仲良くしているのですから。このシーンの描写はそれこそ作品によって異なります。穏やかに、少しずつ進んでいる場合もあれば、急に進んでいる場合もあります。作品によってその期間が1話分だったり、『コータローまかりとおる!』みたいに50巻分以上やっていることもあります。

中には読み手に「お前らもうつきあっちゃえよ」とツッコませたいのか、というものもあります(例『らいか・デイズ』。ちょうど手元にあったので)。中には告白したわけではないけどキスシーン、セックスシーンになっているものもあります(例としては星里もちるの『ハーフな分だけ』や、原秀則『部屋においでよ!』かな)。そしてこれらの作品で告白がなされる時には、ほとんどOK確実な状態となっている場合がほとんどではないかと。もしそれだけのプロセスを経て断られるとしたら、またそれは読者を納得される理由(例として、過去の出来事から恋愛できない云々)が必要になるでしょう。

ちなみにそこまでのプロセスがなくても告白→成功に根拠を持たせる技の一つとして「作品に描かれていないところで友達以上恋人未満状態が進んでいた」というのもあります。具体的には「学生時代からの付き合い」とか「幼なじみ」という設定を持たせて、読み手にその過去の仲の良さを推測させる方法ですね。このテの恋愛話において「昔からの付き合い」キャラが強い理由の一つです。

コータローまかりとおる! (1) (講談社漫画文庫) らいか・デイズ 1 (まんがタイムコミックス) ハーフな分だけ (ビッグコミックス ワイド版) 部屋(うち)においでよ (Volume1) (小学館文庫)

というわけで、作品においても「告白」でいきなり流れが変わるなんてことはほとんどないわけです。ゲーム的に言えば、フラグはそれまでの出来事で積み重なるけど、「告白」はあくまで判定ポイントで、フラグの加点にはならないという感じ。故に成功する「告白」は恋愛に切り替わるイベントではなく、すでに恋愛中のイベントのひとつとも言えるのではないでしょうか。そうなると、現実の告白とそこまで大きな差は無いように思えるのですが(もちろん作品によって違うでしょうが)。

現実とフィクションの「友達以上恋人未満」が違うとすれば、現実はその二者以外の恋愛対象としての存在や出来事がかかわってくることがあるけど、フィクションは登場人物として意図しない限りはその二者に関係ない存在や出来事を排除できる(当然加えることも出来る)ってことでしょうか。まあそれが大きいのかもしれないけど、現実のそれに話を持っていくつもりはないので以下略。

フィクションでも、唐突な告白はたいてい成り立たない

フィクションで、唐突に告白する、すなわちそれまでに特につきあいがなかったキャラに告白して成功する例はあまりないと思われます。そういうシーンはありますが、たいていの場合は玉砕(主人公がモテないことを示す当て馬に使われたりする場合など)か、もしくはつきあってもあまり長続きしないものが多いのではないでしょうか。何故そうなるか。それは物語上告白が成功する理由がないからではないでしょうか。前項で書いたように、キャラをくっつけるためにはそれを読み手に自然に思わせるように、物語を組み立てる必要があります。同時にそれがないのにくっついたら、「なんで?」と不自然に思えてしまいます。それ故「いきなり告白」というのは、くっつくパターンにはならないのではないかと。

たぶん増田の人は学園ものでよくある「いきなりよく知らない子(例えば下級生とか違うクラスの子とか)からラブレターを渡される」みたいなベタなシーンを想定したのかなと思うのですが、実際にはそういった作品において、そのシーンが成功するかとなると、おそらく多くの場合はNOではないでしょうか。ただし、たまにあまり関係性が明示されていないキャラがいきなり告白してくっつくこともありますが、たいてい話の本筋に関係ない脇役、つまりその話の本筋に関係ない人ではないかと(それでもそれなりに理由がないと辛いですが)。

ちなみに現実でもあまりよく知らない人に告白されたとしたら、男女ともにそれを素直に受け取るよりも、この後やけに高い英会話教材か額に入ったカラーコピーの絵を買わされるのではないかと思う人が多いのではないかと思われます。逆に全くそう思わない人はとりあえず「デート商法」でググっておいたほうがよいかもしれません(余談ですが、デート商法はブサイクな人間より、中途半端に容姿を整えている人間の方が狙われるという話をどっかで聞きました。4月から都会に出てくる人は注意のこと)。

告白なく恋愛関係になるものもたくさんある

ちなみに作品においても、告白の明示的なシーンなく事実上の恋人関係になっているものはけっこう存在します。というか、青年マンガなど大人向けのほうではそうやって「雰囲気でつきあっていることを示す」というものがわりと多いのではないでしょうか。前述の『ハーフな分だけ』『部屋においでよ!』も特定の告白シーンはなかったような記憶がありますし。あと竹本泉作品も、そのパターンが多いような。ただ、その特定の告白がないまま、読み手によってはそういう関係とはちょっと違うと思われていたキャラが結婚とか子供が生まれるとかいうイベントが起きて読者をびっくりさせることもありますね。

そういうわけで、物語においてこそむしろ積み重ねは必要であり、『告白至上主義』なんてものがあるとは思わないのですよね。たしかに表現としての告白はあり、盛り上げのための強力なパーツであることはたしかですが、それはあくまで恋愛過程イベントとしての一手段であり、どうしても必要なものではないと思われるのです。

ちなみに失敗も告白が原因ではなく、何の積み重ねもナシに告白というものに頼ってしまったのがミスではないかと……なんてことも思いましたが、自分が現実のこのテの話題にツッコムと100%ボロが出るので今日はここまで。

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