若者の献血が減っているのは本当に互助意識の低下によるものなのか

このようなニュースがありました。

2008年の実績を1985年と比較すると、10、20歳代ともに献血者が大幅に減っている。1985年の16〜19歳を見ると、献血者179万人、献血率(人口に占める献血した者の割合)25%。20歳代は献血者260万人、献血率は17.6%だった。08年は16〜19歳の献血者が1985年の5分の1に、20歳代は半分以下になった。大幅に献血者が減ったのは、少子化による人口減少に加えて、若者の献血離れが進んだためだ。

この最初の「16〜19歳の献血者は24年間で5分の1、20歳代は半分以下」を見るとタイトル通り、「近頃の若い者は」という感じの文章になっていますが、ここにかなり意図的かそうじゃないのか、かなり数字のマジックみたいなものが見受けられたので、まずそこから。

これは本文にも書いてありますが、24年前と今とでは、若者の人数が違います。24年前なので、ちょうど昭和40年の出生率を見てみると、1,823,697人、そして今、20歳ちょっとになる平成元年生まれの人数は1,246,802人。すでに2/3程度(正確には約68%程度)となっています。

■参考:厚生労働省:平成17年 人口動態統計の年間推計

さらに1985年と今とでは、献血に対する大きな認識の違いが生じている面があります。それは「HIV」「薬害エイズ問題」「C型肝炎問題」といった感染に関するものが社会問題となったこと。すなわち実際の安全性、危険性ではなくて、これらのものでイメージ的に献血に危険な感じを受けてしまっている人も多いのではないかと。もちろんこれは献血が悪いわけではありませんが、これらのニュースがなかった24年前に比べてイメージ低下に繋がった一因ではあるでしょう。おそらくは若者だけではなく、24年前は20代だった今の40代、50代においても、これらを理由として献血から遠ざかった人がいるのではないでしょうか。

あと、条件が昔に比べて献血できる基準が厳しくなったのもあるでしょう。最近だと、狂牛病の影響でイギリスに渡航した人もできませんでしたよね。もちろんそれは安全性を確保する意味でよいのですが当然献血する人の数は減るでしょう。ちなみに私も毎日服用している薬がある上、血管が出にくい(検査採血の時にも何度も針刺されて、貧血になりかけた)ので献血できませんし。

故に、「半分の低下」と書かれているけど、それは互助意識の変化ではなく、少子化と献血に対する全年齢におけるイメージ低下が主因ではないでしょうか。その他にも時間の余裕がないとか、実際に献血における事故のニュースを聞いた等、いろいろな要素があるでしょう。ですのでこれを「今の若者は助け合いの意識が足りない」と近頃の若い者は的に判断するのはかなり危険でしょう。

それでも10代の1/5は減りすぎ、と思う方もいらっしゃるでしょう。その理由として以下のようにも書いてあります。

一方、16、17歳の献血が減っているのは、医療機関の血液需要が400 ミリリットルに移行していることも影響している。16、17歳は献血量が制限されていて、18歳以上は400ミリリットルなのに対し、16、17歳は200ミリリットルだ。

上のように、現在の需要は400ml献血、もしくは成分献血が主流となっています。しかし18歳未満は200mlまでしかできない。実はここに若年層の献血人口を減らしているもうひとつの理由があるのではないか、と思うのです。

以前からネットで献血の話になると、同時にそこで受けた嫌な話も出てくることがあります。その中で度々聞かれるのが、始めてだからとか、体調の都合などで200ml献血をしようと思って言ったら、400ml献血に無理矢理させられたとか、400mlにするように言ってきたのを断ったら、嫌な顔をされたというもの。

■参考:中の人も読んでください・200mL献血について「など」 – 中の人も読んでください・200mL献血についてなど

■参考:200ml献血問題 ちまき亭

上に挙げられている例は極端な例かもしれませんが、たしかに200mlよりは400mlを勧められるという話は献血を出来る人からよく聞きます。それは単に200mlの献血が400mlの半分というわけではなく、利用する上で400mlと比べて制約があるからだそうです。一番単純に考えると、400mlなら一回の検査で済むのだけど、200×2だと、2回分の検査をしないといけないからですね。

■参考:200ml献血と400ml献血の違い – Yahoo!知恵袋

ここで、200ml献血を断られた人、もしくは献血始めとなる年齢で上記のような対応を受けて、献血に行かなくなった人がいるのではないかと。24年前は200mlのみで400ml献血自体がなかったため、これが1/5という人口比を超える低下を生み出している、とも考えられます。

もちろんすべての献血所で、200ml輸血の人に対して不快に思わせる対応をしているわけではないでしょう。しかしながらこのようなことをするところもある、ということです。だけどもし、200mlの献血しかできない18歳未満、もしくはそれ以上の年齢でも嫌な対応をされた場合、それ以降献血に行こうと思うでしょうか。おそらくは思わなくなるでしょう。もし若者の輸血人口が減っているとすれば、これが一因ではないか、とも思えるのです。

献血は善意で成り立っています。しかし人間、その善意を汚されるような行為をされれば、相当人間が出来ている人ならともかく二度とそれに対してそうしたくはないと思うのは自然でしょう。別にメイドの如く仰々しくお迎えする必要はないのですよ。ただ、献血の種類を問わずに普通の対応をしてくれれば、また来る気になるでしょう。そして今回初めてだったから200mlだったという人も、次回は400mlにしてくれるかもしれません。もし半ば強制的に400mlを採ったとしても、その後に得られる献血者を失っているということはあり得るのではないでしょうか。

元記事を見るとグッズで引き寄せようとしているようですが、それは本質的な解決にはならないでしょう。採血の痛みやリスクにつりあうものが物品でそうあるとは思いません(だから昔は「売血」なんてあったわけだし)。集まった人は、物珍しさもあるかもしれませんが、基本的には善意で献血に応じているのではないかと。あとコミックマーケットの献血車には、行列が出来るほどの人が来るそうですが、あれもグッズ目当ての人はほとんどおらず、基本善意で集まってくれているのだと思うのですよ(そういえばコミケの献血車で不快な対応を受けたって話は聞かないな)。

大切なのは、献血を集める側が「来てくれてありがとう」という意識を持って、来てくれた人を200ml献血、400ml献血(あと成分献血)を問わずにその善意を受け止めてくれるような応対体制を作ることではないでしょうか。

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