空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

外食産業が不況を乗り切るためには『孤独のグルメ』をアピールすべき

最近、不況の色合いが濃くなってきました。どの産業もそうでしょうが、おそらく外食産業もその不況の影響を受けているでしょう。実際、食費を節約するために今は外食を控える人は多くなってきていると思います。それでもマクドナルドなどのファーストフードはまだ不況やらデフレを逆にチャンスに出来るのでよいのですが、一番打撃を受けているのは、今まで家族や恋人同士などで行っていたようなレストランではないでしょうか。ましてや現在、「草食系男子」(この言葉と使われ方、個人的には好きではないのですけどね)なんて言葉が流行るくらい、恋愛系でそのような場所を使う需要が10〜20年前あたりから比べてだいぶ減ってきているのではないでしょうか。そういえばさっき、テレビの前を通ったらレストランの予約とかやっていたのですが、私がまだ子供だったバブル時代にはこういったクリスマスのレストラン&ホテル予約なんかはとても今の時期からは取れないというのが定説だったようです。それがクリスマスまでの二週間程度の今でも取れるのだから、そういうところを利用しなくなってきているのは、何も独り身の私だけではないと。ま、社会人の場合、24日はまだ木曜で次の日会社(おそらく年末で忙しい時期)があるのに、そんなときにゆっくり食事に行ってられるかっていうのもあるでしょうが。企業にとってはバレンタイン同様日付に恵まれてませんね。

■参考:商業としてのバレンタインデーはこの3年で大きく変わるかもしれないと思った話 - 空気を読まない中杜カズサ

クリスマスでもこの有様なのですから、このテのレストランは今このように来客数の面でマイナス要因が多いように思われます。


これに関連することとして、以前、以下の様なエントリーを書きました。

ファミレスは多くの1人客需要を見逃しているのではないか - 空気を読まない中杜カズサ

つまり、今までは外食産業においては多くの場合誰かと食べに行くのが普通であり、「一人で入る」という行為がどことなく恥ずかしいというか、敬遠される行為のように見られてきた面があったと思います。特に女性の場合、一人でラーメン屋に入るのも抵抗がある人が多いと聞きます。近年ではその意識もやや薄れてきましたが、それでもまだ一人ではそういったところに行きづらいという人は男性、女性ともにそれなりにいるのではないでしょうか。今までは外食産業もそれでよかったかもしれません。しかし、この不況下で経営が厳しくなる中、そのような一人客も拾いたいと考えるはずです。そのためにSガストのような一人でも入りやすいような店も出来てはいますが、それよりも既存店に一人でそのまま入って来てくれるほうが、店としてはよいはずです。なら一番いいのは、客が一人で来店する時の苦手意識を消して、一人で来店しても何ら気兼ねのないようになるのが一番のはずです。

となると、マーケティング的には「今、『一人食』が流行」というものがそのうちアピールされて、レストランなどでも一人用のメニューが用意されるような流れになってもおかしくないはずです。そのうちそんな特集も出てくるのではないでしょうか。

しかし、すでに10年前にそのような『一人食』のすばらしさをアピールしたとある作品があったのです。それはこれ。

孤独のグルメ 【新装版】

ご存じの方も多いと思われまずが『孤独のグルメ』。主人公井之頭五郎が一人で何気ない食い物屋、時には自宅でコンビニで買い込んだものを「食う」ということに主眼を置いたマンガです。1994〜1996年の作品で、当時はあまり目立たなかったのですが、10年の間に徐々に広まり、人気を集めたという珍しい作品でもあります。

で、この作品はタイトルの通り、誰かといっしょに食いに行くことはありません。いかなる時も一人で食っています(店に入って隣に話しかけられるようなことはアリ)。ただ、この主人公井之頭五郎にそのことに対しての抵抗は全くありません。むしろ焼き肉屋にも平然と入り、そこでひたすら「食う」ことを楽しんでいます。



久住昌之&谷口ジロー『孤独のグルメ 【新装版】』(扶桑社)P83

とある店で店主の五月蠅さに腹を立てたときの台詞、『モノを食べるときはね 誰にも邪魔されず 自由で なんというか救われてなきゃあ ダメなんだ』『独り静かで豊かで……』は、まさに至言とも言えるでしょう。

私はこの作品を見て、『独りで食う』ということは恥ずかしいことでもなんでもなく、むしろ誇るべきものだということを学んだ気がします。読んでそう感じた人(特に男性)は多いのではないでしょうか。

つまり、この『孤独のグルメ』は、今まではは恥ずかしくて独りで食いに行くことが出来なかった人を一人で外食に向かわせるきっかけとなるのではないでしょうか。それ故に、掲載されている店だけではなく、外食産業に貢献した(している)とも言えるのではないかと思ったのです。となると、同じ方法で、女性が一人で食べ歩くことがプラス的に描かれている作品が『孤独のグルメ』と同じように出てくる、ということもあり得るのではないかと(個人的には『孤独のグルメ』ではあくまでゴローちゃんが主役じゃないとダメだと思う)。


……ええと、今日はネタとしても繋げ方が強引だったと反省していますが、とりあえず私は一人で食う時『孤独のグルメ』を思い出して、そのイメージを連想することがあります。けっこうメシが楽しくなるのでいい感じです。ちなみにどっかの日記ブログで、孤独なグルメ風に食事を紹介しているところとかありそうだなあ。ゴローちゃん並の感性があるかどうかはわからないけど。


最後に、先日画像を整理した時に出てきた、『孤独のグルメ』16話でモデルとなった池袋西武デパート屋上のうどん店で買ったもの。屋外なので公園のような木のテーブルなのも味がある。わりとうまくてコストパフォーマンスは池袋にしてかなりよかったです。