移行出来ないDLコンテンツのせいで携帯電話端末の買い換えが停滞するのではないかと思った話

近年、日本の携帯電話端末が売れなくなってきたというニュースを目にすることがあります。

■参考
www.itmedia.co.jp

最近でも、劇的に新端末が売れ出したというニュースは聞かないので(iPhoneは話題にはよく出てきますが、売れてるのかどうかはわかりませんが)、たぶんそんなに伸びてはいないのかなと。

さて、これの原因はもう普及し尽くして新規契約が見込めないからとか、新機種に魅力がないとか、ちょっと前までの端末を低価格にして表示するプランではなくなったが故に端末に対して割高感が出てきたなどいろいろ言われることがありますが、機種変更に関して言えば、買い換えを必要としていない人が多いということですよね。電車などに乗っていても、やけに古い携帯を使っている人を多く見ますし、要はメールや電話が出来れば十分な人が多いのかもしれません。

しかし、電話やメール以外を使う人でも、そして新しい機種に興味がある人でも、新しい機種への買い換えを躊躇する理由があると思うわけです。自分もドコモを長年使い続けており、現在P503iというのを使っていて、この機種は購入してからそろそろ2年半が経つので買い換えようかとも思うのですが、躊躇する理由があるのです。そしてそれはもしかしたら現在、携帯の買い換えが進んでいないとしたら、その理由の大きな一つになっているのでは、とも思えるのです。



現在、携帯電話の使用方法として電話やメールのほかに、ダウンロードしてきた音楽を聴いたり、ゲームをダウンロードして遊んでいる人もそれなりにいるでしょう。特に「着うたフル」などのダウンロード音楽は、現在音楽(とりわけJ−POP系)を聴く方法として、CD売り上げの落ち込みとは反比例してかなりのシェアになっていると思われます。しかし、ことによるとこのダウンロードコンテンツが、携帯電話を買い換える際の大きな障害になっているのではないかとも思えるのです。

さて、これらのダウンロードコンテンツですが、使っている携帯電話にダウンロードして、いざ機種を変更したい時にそのデータを移行できるか、となると、多くの場合そのまま完全に移行できるとは限らないようです。「着うたフル」はmicroSDで移行しても電話番号が同じなら使えるみたいなのでまだいいほうですが(GMブログのコメントで教えてもらったところでは、昔は不可能だったけど最近可能になったようです)、中には電話番号(SIMカード)が同じでも全く移行できないどころか、一度ダウンロードしたら一定期間を過ぎた再ダウンロードも有料のところもあるようです。そしてゲームも移行や再ダウンロードが出来るケース、出来ないケース様々ですが、こっちの場合コンテンツそのものより、それまでのプレイデータが引き継げないとなると、躊躇してしまいがちになるのではないでしょうか。ちなみにそれの対策として、以下の様なサービスもあるようです。

コーエー、携帯電話のキャリア変更・機種変更後もゲームデータなどを引き継ぐサービスを開始

私は着うたはあまり利用しないのですが、ため込んだゲーム系効果音入り着メロ&それに紐つけて誰からの連絡かわかる呼び出し音設定してあるので、よほど訴求力のある携帯電話じゃないと買う気にならないのですよね。で、現状はまだ使えるってことで今のままにしてあると。


つまり、このようなデータの移行が出来ない、もしくはかなり困難ということが、せっかく購入した、集めた、プレイしたデータを手放したくないので現状それまで使っている機種を手放さないという心理に繋がっているのではないかと。しかし仕事用と家庭用を分けるとか、iPhoneを使いたいといった特殊な例を除いて、たいていの場合携帯電話は2台、3台と買い足すものではないので、その結果として新しい携帯電話が売れない、つまり「買い換えの停滞」を起こしているのではないかと。

前述のP503i以前に持っていた携帯にもわずかに着メロはありましたが、たしか2005年くらい発売のもので、SDカードもあったかどうかよく覚えていないのですが、とにかくデータは殆ど保存しておらず、買い換えてもさほど支障がないものでした。それに重要なアドレスデータとかは今と同じように移行できましたし。しかし現在、2GB分やそれ以上の音楽を携帯にため込んでいる人はそれなりにいるのではないでしょうか。そういう人たちにとっては、それまでダウンロードしたものは貴重な財産でもあるはずです。それは個々の値段よりも、それを置いてある形、すなわちアドレスと着うたの設定とかプレイリストのほうが価値があるかもしれません。ゲームのハイスコアやセーブデータも同じでしょう。しかし機種変更でデータが移行できないと、それを崩してしまうことになるのです。また、たとえ再ダウンロードが出来たとしても、データが崩れたり(アドレス帳の設定やり直しとか)なくなっていたりして、復旧まで面倒なことになる可能性もあります。そういったリスクが、買い換えの欲求を上回り、壊れるまで使い続けようとする人もかなりいるのではないかとも思えるのです。


しかもこれは携帯端末の売り上げだけではなく、そのコンテンツにも跳ね返ってくる恐れがあります。まず、古い端末ばかり使う人が増えた場合、やがてその端末の容量は埋まります。そこでSDカードを買う人もいるでしょうが、逆に買う曲をセーブしてしまう人も出てくるのではないかと。さらにコンテンツ提供元はツテに新しいものを出していますが、携帯電話は対応端末が決まっています。みんなが新しい端末を持っていれば、最新の機能を使ったものを使えるでしょうが、古い携帯を持っている人が多い場合、それにあわせて縛られることになりかねません。つまりドコモなら最近のPRIMEシリーズ対応のものを作りたいのに、古い50Xシリーズを持っている人が多いのでそちら合わせになって、結果として最新の技術や機能は使えないという感じ。PCソフトでもたまに見ますね。Win98対応切り捨てたいのに使用者が多かったから出来なかったソフトとかちょっと前はわりとあったような気がします。

このように考えると、売り上げを守るためのデータ移行の厳しさが、かえってその売り上げを減らすというパラドックス的なことが起こり得るのではないかと。ただ、こういうようにデータの移行を禁止、もしくは難しくしている理由はわかります。たしかに違法コピーが無制限にされたとしたらそのビジネスが崩れてしまうので、その保護は必要でしょう。しかしながら、正規購入したユーザーの権利を制限してまでそれを徹底してしまうと、かえって上のような逆効果になると思われるのです。故に、ある程度データを移行する際にはその自由を保てるようにしたほうがよいのではないかと思うのですよね。先述のような着うたでの電話番号同一なら移行可能とか、携帯電話ではないですけどiTunesStoreみたいに紐つけアカウントで5台までいつでもダウンロード可能とか。


あと、これはゲーム含めて前から思っていたのですが、ユーザーはその音楽なりゲームなりを「資産」として購入しているのに対して、売り手側はそれを「消耗品」として扱っていて、そこで意識の違いが生じているのではないかと思うことがあるのですよね。故に新規格などで、ユーザーが資産としてとっておきたいものが切り捨てられてしまうことがあると(で、ユーザーの需要がなくて失敗すると)。でも、ユーザーとしては一度購入したコンテンツは、それを手放すまで未来永劫楽しみたいと思うのは自然ですよね。

これから先、ダウンロードコンテンツはさらに普及するでしょう。しかし「データを(パッケージソフトと同じように)保持出来る保証」がユーザーに対して与えられないと、結局頭打ちになるような気がするのです。

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