フリーになって一番実感した『掛』の存在

ライターの方のプロフィールを見ていると、どこかの出版系などクリエイティブ系の会社に勤めていて、そこでのスキルや人脈が溜まって独立してライターになったという人をわりと見かける気がします。しかし私の場合そんな立派な段階を踏まず、なんだか人脈もなく立派な経歴もないのに、なんだか流れでそうなっていて、一歩間違えばフリーライターじゃなくフリーターなところを、運が良かったのか人に声をかけてもらってなんとかなっているという感じです(具体的に説明すればかなり不思議な経歴かもしれませんが、それはまたネタになるときにでも)。で、フリーライターになるのもその状況をわかってではなく、なし崩し的になっていたので、この状況に置かれてはじめて知ったことはたくさんありました。何せ最初は本当に「請求書って何?」「確定申告ってどうやるの?」ってな感じでしたから。

そんなわけで、フリーな身分になってからいろいろ知ったことというのはたくさんありますが、その中でも会社勤めの時には殆ど実感することがなかったけど、フリーになってから一番意識したことというのがあります。それは「掛」の存在。

「掛(掛け金)」や「売掛」は用語としてはご存じの方も多いと思われます。

売掛 - Wikipedia

つまりその商品や成果物を先に収め、その対価である報酬を後に受け取る形で生ずるもの。おそらくは経営者の人や会計業務に携わる人は当たり前に知っているし実感しているものだと思われます。ただ、学生、それに勤め人でも直接会計や取引に携わらなかった人は、知識はあってもあまり実感する機会がないと思われます(まあ私の仕事の経験が限定的だっただけかもしれませんが)。まあ今日はそういう人対象で。

会社勤めをしていると、毎月給料が給料日に支払われるのが当たり前となっています(まれに「未払い」が起きることが。ありますが、それはかなり末期的というか、イレギュラーと考えてよいでしょう)。しかしライターなどフリーの職業の場合、だいたい支払いは暫く後というのが一般的でしょう(希に即金払いというのもありますが)。つまりこの期間は「売掛金」が生じて、報酬は「未収金」となるわけです。*1

しかし、この期間の不安定さというのは、経験してはじめてわかりました。いや、そのお金が確実に回収できるならよいのですが、これが必ず支払われるというわけではないからです。つまり「貸倒」になってしまうこともあるからです。正直、そうなるまでは「数ヶ月後に支払われる」という確証を持っていたので正直給料と似たような感覚だったのですが、そうなったことがあり(過去のブログでヤケに荒れている時があるのでそのへんですが)、それ以降はその売掛期間はかなり落ち着かない期間となってしまいました。だって、そのお金が払われる保証は信用以外ないわけですから。つまり、フリーになってそれまで知らなかった「売掛」の不安定さを実感することになったのです。ここで一番会社に属していて給料を支払われることと、こういったフリーの立場の違いを実感しました。今も報酬が銀行に振り込まれるまでは、どこかしら不安を残している自分がいます。

数年前、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』という本がベストセラーになったのを覚えていらっしゃる方は多いと思われます。

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

そして読んだ方はおわかりでしょうが、この本には賃貸におけるちょっとしたライフハック的なものが載っています。それは大家さんとの関係を良好にしたいのなら、住むことが決まっている数ヶ月分の家賃を先払いするということ。つまり、これにより大家さんは先払いを受けた分、未回収の恐れがなくなるのでその分の心配から解放され、払う側は一切の増額がないにもかかわらず先払いしてくれた人に良い印象を持つことになるということです。これを読んだのはまだ勤め人(の末期)だった時ですから実感しませんでしたが、思い出してこの大家さんの立場を実感することになりました。


まあフリー経験が深いとは言えない私が言うのもおこがましいですが、ある意味仕事の内容と同じくらい、このストレスと戦えるかどうかが、フリーに向いているかそうじゃないかの違いかもしれないなんて思います。ま、私は個人営業みたいなもんですが、全国の経営者の人はこの未回収の恐怖に加えて、社員に給料を払わなければならない圧迫とも戦っていると思うと、神経の細い私には人を雇う立場には向かないなあと思ったりしますね。

ちなみに中杜カズサとしてやっている仕事では、この辺りきちんとしていただいているので助かっておりますと念のためフォローをして今日はここまで。

*1:厳密な会計用語的にはおかしいかもしれませんが、あまり深くツッコまない方向で。