国立メディア芸術総合センターにエロマンガは入るのか

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タイトルは若干釣り気味です。

さて、最近話題になっているもの。

■デジタルトレンド2009:国立メディア芸術総合センター – 毎日jp(毎日新聞) ※リンク切れ

 文化庁によるとアニメ、マンガ、ゲームなど「ジャパン・クール」と評価される分野を網羅し、海外に発信力のある拠点を目指す。09年度補正予算に117億円を計上した。作品を多数収蔵することは現時点で想定しておらず、各分野の成果を一元化し交流を促す。清水明芸術文化課長は「コンテンツ産業として、日本の経済を後押しする役割があり、国策として進める意義がある」と説明する。
だが、設立の根拠となった有識者検討会の報告書では、東京都内に4〜5階建て、「展示室」「上映ホール」と目新しさはなく、具体的な展示内容もまだ決まっていない。
このため、民主党の鳩山由紀夫代表は国会で再三批判を展開。27日の党首討論では「首相のアニメ好きは知っているが、マンガ喫茶の民業圧迫ではないか」などと詰め寄った。

さて、これに対してはいろいろな意見が出てきます。「国立マンガ喫茶ではないか」という声がある一方、下の様な見解も。

「“アニメの殿堂”必要」――里中満智子さんら、「原画やゲーム基板の保存場所を」と訴え – ITmedia News

ただ、一番最初のニュースにある様に、まだ殆どが決まっていないみたいなのですよね。そしてこの里中先生の見解は、読む限り単純にマンガを収納したりするところではなく、そのデータ、つまりマンガ原画やフィルム、それにゲーム基板を収納、保存する場所、つまりデータアーカイブスを作ることを作るのを目的としている感じ。どっちかというと展示が主ではなくて、収納、保存を主とする感じでしょうか(ただ、図書館というよりは美術館に近い感じの様に思えます)。それならばマンガ喫茶では出来ないことですし、そういう必要もあるのではないかと。

ただ、そのどちらの場合も気になっていることがあります。それはこの国立メディア芸術総合センターには何か収録されるのか、ということ。もっと具体的に言えば、一部の人から「有害」と言われることのあるエロ、グロ、暴力などの要素を含んだマンガ、アニメ、ゲームもここに収められるのか、ということ。

ここで結論から書くと、おそらく難しいでしょう。少なくとも成年コミックマークの入っているものやエロゲーはまず難しいでしょう。何故なら絶対反発があるから。

何処から、というのはある程度想像がつくでしょう。それらのエロ、グロ、暴力系を嫌っている人、そしてそういった団体というとのは昔からいくつもありますから。国営としては、そういった人達の意見も聞く必要があるので、そこでひとつ問題が起きることが予想されます。
さらに、今の政府でもそういった表現に対して反対の人がいます。有名なところでは、消費者担当大臣の野田聖子氏、そして20年前に有害コミック運動に政府(元文部大臣)の立場から規制の立場にいたとされる総務大臣鳩山邦夫氏等。

■参考:性暴力ゲーム規制強化へ、与党が流通歯止め検討チーム : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) ※リンク切れ

これは現行政府だからというのではなく、かなり表現に寛容で、反発に耐えられる人が政府に揃わない限りは、他の内閣だろうが政党だろうが不可能に近いでしょう。

ただ、そういったエロ、グロ、暴力と見なされているものは、何も成年向けと明示してあるものだけではありません。一般誌でもそういったものが発売され、たまに自治体から有害規制が行われています。おそらくそれらも国営の施設に入れるのには難色を示す人は多いでしょう。ただ、こうなるとメディア芸術総合センター
に収納されるものというのは、国によって選ばれたマンガという一部のものになりかねないのではないかと思えるのです。

国の施設だから当たり前だし、エロマンガを入れなくてもいいんじゃという方はいらっしゃるでしょうが、問題はその策定される「基準」なのです。それは人によって、時代によって非常によく変わるので。
さっきからよく「有害コミック問題」という言葉を出してますが、当時の勢いはものすごいものでした。この時の基準は「性描写は完全アウト」「乳首が出てたらアウト」という感じでした。特に酷かったのは自由奔放さを出すため版画タイプの裸を出していた『百八の恋』や、娼婦を舞台にしていたものの、それらは全部動物の擬人化、つまり動物の交尾シーンまで有害とされた『ラブリン・モンロー』なんてのもあります。さらに遡れば、最近ドラマ化された『銭ゲバ』や同じジョージ秋山先生の『アシュラ』、さらに永井豪先生の『ハレンチ学園』なんかも有害とされた歴史があります。

■参考:

このように、時代で有害とされるものは変わってきます。いえ、文化なんてものは清濁併せ持つものだと思います。それなのに、その時の国の基準でそういったものを区別していいのかと。結果として、ただの文化のより分けになってしまうのではないか、とも思ってしまうのです。

もし、「何でもウェルカム」な状態にしてくれれば(公開は限定的としても)、数十年後にかなり意義を持つことになるような気はしますが、結局一部(政府推奨のもの)を伝える不完全な展示場所となるのではないかと。極論、マンガ喫茶のほうが品揃えがいい、なんてことにならないかなと。約20年前の『有害コミック運動』で規制反対の立場から石ノ森章太郎先生などと共に発言してきた里中先生のような立場の人が館長にでもなって、そこに今市場に出ている全作品を収納可能な方向にしてくれるとかだったら、信用が置けるのですが、なんだか難しそうだなあ……。

う〜ん……やっぱりこの「国立メディア芸術総合センター」ってものに、そこまで期待するほうが悪いのですかねえ……。

◆追記

東京都内に4〜5階建て、「展示室」「上映ホール」だけだと、さすがにゲーム、アニメ、マンガのアーカイブを収納する場所なんてないよなあ。というか、市場に出たマンガも全部置けるかどうか。地下がすごいあるとかいうのなら別だけど。

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