空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

携帯のワンセグはテレビの視聴率を伸ばさないと思う話

私の携帯電話はDocomoのP903iです。理由はPシリーズ特集のワンタッチオープンボタンで、これに慣れると他の携帯では違和感が出てきてしまうという。さて、そろそろ買ってから2年経つので買い替えてもよいかなあとビックカメラで見回ったり、カタログをとってきたりするのですが、現在の携帯ってほぼすべての機種にワンセグがついているのですね。少なくともDocomoの場合、ついていないほうが特殊機種となっているみたいで。

さて、このワンセグですが、数年前からテレビでは期待された存在だとかいう記事をよく見かけました。

ワンセグ放送局探検隊 - 中部日本放送[前編]---自社制作番組に関連データを表示させて携帯サイト誘導:ITpro

なんというか、テレビを常時持ち歩いていることになるので、家の様にテレビの前に拘束されることがなくなり、若者のテレビ離れを食い止めるものとして期待されるというような感じでしょうか。
そして数年経った現在、実際にテレビ離れが顕著になり、特に若年層ではそれがさらに目立っているというニュースをよく見かけます(これには今までと同じく見られる番組と見られなくなった番組で二極化が起きているというコトも言えるでしょうが)。

■参考:テレビ離れ - Wikipedia

では、上で書いた様に携帯電話機においてワンセグの標準搭載が当たり前になってきて、携帯でのワンセグ視聴は盛んになってきているのか。いや、正確なデータは取っていないのですが、少なくともテレビ離れを補えるほど携帯での視聴スタイルは定着してはいないのではないかと。それは何か。番組がつまらないのかもしれませんがそれ以上に携帯でのワンセグ視聴は多くの枷を背負っている上、ライバルが非常に多すぎると思われるわけです。


さて、携帯でワンセグを見る場合、どこで見るか。主には外を想定しているのではないかと。部屋にいるならテレビを見ればいいわけですしね(テレビがない場合は部屋で携帯を使ってワンセグということもあるでしょうが)。すなわち携帯ワンセグの活用の場は「どこでも見られる」という利点を生かして、外であると思われます。そうなると一番活用されそうなのは、やはり通勤、通学などの交通機関、あとは昼休みの食事時と思われますが、私の見た限りそういったところで携帯ワンセグを見ている人は、いないことはないですが少数派かなと思えるのです。で、かわりにしているのが、その携帯を使ってのメールやサイトチェック、もしくは音楽を聴くといった感じ。あと携帯以外でもDSやPSPをやっていたり、iPodなどで音楽を聴いていたりとか。

さて、何故そういったところでワンセグ番組が見られていないとしたら、それの理由として思い当たるものがいくつかあります。まず前述の様に番組がつまらないこと。しかし番組がたとえ家で見るものとしてはおもしろかったとしても、携帯ワンセグでは見られない可能性が高いと思われます。それは、現行の番組自体が携帯で見るのに適していないものが多いと思われるので。

ワンセグというかテレビを楽しむ際、多くの場合は画面を見るほかに音も楽しむことになるでしょう。しかし、正直ワンセグを見ながらイヤホンをつけている人はあまり見ません。例外はワールドカップ予選やWBCくらいでしょうか。つまり、交通機関の中ではイヤホン+画面というスタイルは一般的ではないと思うのです。そして殆どは携帯でのメールチェックやサイトチェックのように目だけとか、音楽プレイヤーを聞いているときの様に耳だけどか。

これは同じ画面と音が両方ある携帯ゲームでも同じで、イヤホンをつけずに音を消してプレイしている姿もよく見られます。この理由は別に「何でそんなイヤホンつけて真剣にやってんの?」的な視線が怖いというのではなく、目と耳を両方使うのってのはやっぱり疲れるのですよね。で、そこまで気力がないので、目だけの携帯メールやサイトチェックとか、耳だけの音楽リスニングをしているのではないかと。

そしてワンセグの場合も、よほど見たい番組、それこそWBCとか大イベントクラスじゃないと、そこまでして見ないのかもと。しかもゲームの場合目だけでどうにかなるゲームも多いですが(個人的にはあまり推奨したくはないプレイスタイルですが)、テレビ放送の場合、音を聴かないとわけのわからないものは多いでしょう。まあ字幕番組もありますが、それだと字幕を付け加えても面白い番組じゃないと、ほかの媒体に負けるのではないかと。

さらに、放送というものの性質上、それを楽しむためには他の媒体より時間的に拘束されるという面もあります。つまりメールチェックやサイトチェックなら途中で駅についてもそこで中断すればいいだけですが、テレビでは中断すると見逃してしまいます。故に見逃すと番組のおもしろさが半減するけど、1時間拘束されるドラマなどには向かないでしょうね。スポーツ中継はまあなんとかなるかな。ちなみに長年電車内で読まれてきた新聞や雑誌も、読むのを中断できるが故に読まれてきたのかなと。


つまり、現行のワンセグでは他のものと比べて圧倒的にハンデを背負っているのではないかと。もちろんコンテンツの力が一番ですので、それがよければどんな環境でも見るでしょうが、今はそれが出来るのはスポーツなど一部の番組しかないと。そして番組でもこうなのですから、CMへの注目度はかなり下がりそうな気がします。

考えてみれば、携帯テレビってもの自体はすでに昭和の時代からあったのですよね。ただ、それを外で見ている人は正直そんな大勢はいなかった様な気がします(これもワンセグと同じく、野球中継が好きな人が見ているとかだったかな)。なのでたとえ携帯にワンセグがついたとしても、そのくらいの位置づけ、つまり携帯アプリのひとつくらいにしかならない可能性は高いのかもしれません。


でも、お先真っ暗というわけではありません。コンテンツがこなれてきて、ワンセグ視聴ならではの番組とかが作られる様になれば、利用されるようになるのではないかと思えます。まあそれが具体的にどうかというのを簡単に考えつけば苦労はないのですが。

ただ、それまではワンセグはいらないので(使ってもバッテリー減らすしね)、携帯はその分安くして欲しいかなと思ったりもします。