リニア中央新幹線における『ストロー効果』についてちょっと考えてみる

最近ネットでニュースを見ていると、ちょくちょく出てくるのがリニア中央新幹線ルートの話題。

リニア新幹線「南アルプス貫通ルート」 長野県知事猛反対で可能なのか

つまり、東京〜名古屋〜大阪をリニアモーターカーで結ぶ超高速鉄道のルートの話題ですね。

これについては今、JRなどが推進しようとしている、南アルプスを突き抜けるCルートに対し、長野県が諏訪、伊那谷回りのBルートを主張し、揉めているという感じです。

ネット上ではリニアモーターカーに余計な曲がり方をさせて東京〜大阪間の所要時間をかけさせるBルートに対しての批判が大きい様に思えます。

ただ、本当に南アルプスの貫通が可能なのか等、この問題は要因がいろいろあるので、Bルートの否定は出来ないかもしれません(ただこういった地質学などに素人であり、且つ東京都民の私からすれば、Cルートのほうがよさそうに見えますが)。まあとりあえず私が生きている間に完成して欲しいです。東京西部のうちの周りにはいろいろ揉めて数十年着工されていない道路なり都市計画とかがわりとあったりするので、これも50年とかかからないでほしいなあと。

さて、何故長野県がBルートを主張しているか。まあこれは誰でも思いつくことでしょう。すなわち長野県に駅を作ることで、その地方の発展を促進したいから。まあ政治的、経済的に他にも理由はあるかもしれませんが、主にはそういったところでしょう。何故なら、この手のものは昔から、それこそ新幹線やその前から行われていたから。

しかし、ここで思うのは本当に「駅を作ったからそこが栄えるのか」ということ。というのは、かつて新幹線で駅が作られたにもかかわらず、そこが全然発展していないというところが多数あるからです。有名なのは、以下のところですかね。

安中榛名駅 – Wikipedia
岐阜羽島駅 – Wikipedia
浦佐駅 – Wikipedia
■参考:鉄道と政治 – Wikipedia

ただこれらの駅は周りが発展しなかっただけで、駅自体の利用は元々の住民の間でそれなりにあるらしい(例えば岐阜羽島駅は岐阜県で唯一の新幹線駅なので、修学旅行生とか岐阜県民の利用がわりとあるとか)ということは聞きましたが。

さて、これらは駅を作ったけど発展はしなかった、という例ですが、プラマイ0ならまだいいほうです。もしかすると駅を作ることで「ストロー効果」が生じる可能性があるのです

ストロー効果 – Wikipedia

この『ストロー効果』とは、簡単に言うと、とある地域がある大都市と交通網で結ばれることによって、その人やものが、その交通網を利用して大都市に吸い取られていってしまう現象を指します。以下上記からの引用。

大都市に通じる高速道路や新幹線など高速交通網を整備しさえすれば、あるいは交通の隘路を解消しさえすれば、企業の支店や拠点、大学キャンパスなどが進出してくる、観光客も訪れやすくなるので多くなる、と考えた地方都市が積極的に誘致してようやく開通したが、実際に運用が始まるとこのストロー効果で地元商店が大きな地盤沈下を起こし、目論見とは全く逆に企業の支店や配送などの拠点は県庁所在地などの上位支店に統廃合されて地元雇用の喪失を招き、学生はより大都市の学校に流出し、期待された程の観光客増などもなく、結局は過疎化に拍車を掛け、経済効果も幻想であったと思い知ることが少なくない。このため地方都市でも勝ち組、負け組といわれる隆盛と衰退が発生し、それに対する綱引きが地方都市間で激化しつつある(九州新幹線開通に伴う北九州市-熊本市-鹿児島市など)。

例では、木更津から東京湾アクアラインを伝って京浜に流れた例や瀬戸大橋によって四国から近畿、中国地方に流れた件、それに青森た秋田から東北新幹線で盛岡都市圏に流れた例、そして長野都市圏から長野新幹線などにより東京に流れた例などが挙げられています。

つまり、これと同じことが、リニア中央新幹線でも起こらないか、ということです。すなわち長野県付近の住民がリニアが出来たことにより都市圏に流れてしまうと。さらにそれだけの交通網が出来れば日帰りどころか数時間の出張もすぐに出来るために、長野の事務所も閉鎖して東京や名古屋だけにする、ということもあり得ます。すると本来の目的である発展がなされないばかりでなく、先述の新幹線駅の様に全く効果がないどころか人をリニア新幹線に吸い取られてしまうという可能性は否定できません。

たしかに駅を作ることで長野がストローの口となって、周りの地域から人を集めることは出来るかもしれませんが、それ以上にどうせ移転するなら東京付近にそのままGO!という人や企業がいてもおかくなりません。とどめに、現代では情報通信が整い、各地に必ずしも常設の事務所(たとえば客先に連絡を取る人)を置く必要がなくなっているというのもありますね。

ただ、都市を発展させる以外にも目的がないとは言えません。それはその大都市のベッドタウンにするということ。つまり通勤圏にして、人口を多くするということですね。しかしこれも大きな欠点があります。というのは、ベッドタウンはすでに東京近県でも飽和状態なのでそれと戦わなければいけないということ。そうなるとおそらく交通費がかなりかかるものほど不利になります。さらに、これから日本の人口はますます減少します。となると、住宅需要までなくなるわけで。

素人考えですが、この駅招致→発展というのは、あくまで昭和の高度成長期のように、都市部の発展度合いが今ほどの差はなく、さらに固定的ではなく、まだ東京以外の土地が発展する可能性があった時代の思考なのではないかと思えてくるのです。しかし現在、首都機能移転などの国家規模の大プロジェクトでもない限り、首都圏、あえて言えば名古屋、大阪近辺の都市機能集中はすでに動かせない状況にあります。となると、たとえリニア中央新幹線も前述の安中榛名や岐阜羽島のように駅を作ったとしても、これ以上の発展は望めないのではないかと思えるのです。それだけならまだしも、大都市の法に流れてゆくと。

そしてこれは山梨、岐阜にも言えることです。リニア中央新幹線は東京(距離的に横浜も含めてよいかな)〜名古屋〜大阪という、日本でも有数の大都市を繋ぐ路線です。となると、口(東京、名古屋、大阪)の吸収力もハンパないわけで。極論、名古屋までも両都市圏に座れる可能性はないとは言えないでしょう。

そういうわけで、もしこの『ストロー効果』に対する具体的な対策がない限り、スピードの速い路線に駅を作ることは、かえって都市の衰退を招くことにもなりかねないかと思うわけです。それこそ各地方に何かの境でも作らない限りは。まあその意味で道州制と密接に影響してくるのかもなと思ったりもします。

ただ、現状では東京、名古屋、大阪以外には駅を作らない方が利便性は保たれる、そしてそれ以外の都市にストロー効果を起こさせないという点でよいと思ったりするのですが。

ただ、今日書いてきたのはあくまで素人考えですので、こうはならない、ということがあれば聞きたいし、それがアピールされて、周知されるべきではないかと思ったりするわけです。特に現在は発言力を持たない若い人に。建設での負担を直接的なり間接的に一番多く払うのは、何十年後も生きる若い人だと思うので。

◆追記

あとひとつ、神奈川に出来る橋本or相模原ってのがありますが、これはもう横浜同様首都圏の中の一部なので、ストロー効果の影響は受けないように思えます。まあ横浜や大宮から東京出るのに新幹線乗る人があまりいないのと同じ感じで。
あと、地方の大きさ、大都市の大きさによる吸引力、交通網の利便性で、ストロー効果になる計算式が作れそうな気がした。

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