少年ジャンプが打ち切りまでに10週近く待ってくれる理由を考えてみる

かなり何回もやってきたアンケート関連の話題ですが、そろそろひと区切りつけようと思います。で、最後はまたジャンプのアンケートの話題から。

少年ジャンプのアンケート至上主義を語る時に「10週最下位だったらどんな作品だろうとも打ち切り」という話が出てきます。もっともこれに明確なソースはないのですが、連載作が打ち切られるのは最短で10週〜12週程度なので、この噂もある程度の正しさはあるでしょう。ともあれこれは、ジャンプにおけるアンケート至上主義の厳しさを語る例となっています。

ただ、よく考えてみると、これは『恐竜大紀行』のような良い作品だけどアンケート人気は集まりにくいだろうなと思う作品には厳しいものでしょうが、逆に全然おもしろくもなく、本当に一番下の人気の作品に対しては、むしろ優しいとも言えます。
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よくよく考えれば、10週連続で最下位かもしくはそれに準ずるくらい人気のでない作品というのは、いくらアンケート統計の穴があっても一部の例外の除けばだいたいはつまらない作品であるというのは否定できません。しかしながら、それでも10週前後は続けてくれるのです。昔、少年サンデーでは短期集中ではないはずなのに、4〜5週未満で打ち切られた作品があったと思いますし(記憶もおぼろげだしソースは見つかりませんでしたが。単行本化もされてないし)、他の雑誌でも10回分待たずに打ち切られる作品が多い事を考えると、単行本1冊分の量が溜まるまでは打ち切りを待っていてくれるジャンプはむしろ優しいでしょう。

でも、それは本当に少年ジャンプが優しいせいなのか。それとも、単行本1冊分にして、最低限の儲けを確保したいためなのか。おそらく両方ともそれが目的ではなく、これはジャンプがアンケート至上主義だから故に、たとえ面白くない作品であろうともよほどのことがない限りは10週連載させないといけないのではないかと思えるのです。それは、おそらく殆どの新規連載作品は、アンケートの方で最初が下なのは珍しくないと思われるから。


さて、とある作品の新連載が始まった時、その作品は他の作品と同じように評価されるか。答えはごく一部の例外を除いてNOだと思われます。だって、その読者が少年ジャンプを買ったのは、他の作品を見たいから買ったわけで、新連載を目的に買うという例は、よほどその人が実績を残したマンガ家でもない限りあり得ず、とりわけ新人はいわばほとんどの人から注目を浴びずに登場する存在となるのです(そのごく一部が赤マルやら読み切りから注目していた人となりますね)。

さて、そういった新規連載作品がジャンプで連載を開始するとして、最初の方の順位はどうなるか。おそらくよほどのものでない限り、順位は下の方になるのではないでしょうか。それは、読むのを目的として買われた作品群に勝ち、アンケートの「おもしろい」に記入してもらうのは相当難しいと思われるからです。つまり、おもしろさ以前に作品の知名度が圧倒的に劣るので、どうしても選んでもらいにくいのではないかと。例外的に少年マガジンの『GTO』は、連載初回からいきなり1位になっていたという話を聞いたことがありますが、これは藤沢とおる氏がそれまで同誌で連載していた人気マンガ『湘南純愛組!』のキャラクターが主人公という、半続編みたいな形だったので例外的にそういうことが可能だったのではと思われます(当然その作品の1回目がおもしろかったというのはありますが)。このようにそれなりの経歴がある人なら注目も集まるでしょうが、知名度がない新人となるとかなりハンデを背負っているように思われます。故に、初回のアンケートというのは上位どころか最下位から抜け出すのも結構苦労するのではないでしょうか。

しかし、連載を何回も重ねてゆくうちに、その作品&作者に対する知名度も上がって、「おもしろい」と思った人は票を入れてくれるようになるでしょう。そのとりあえずの知名度を出すだめの最低期間として定めているのが、10週なのではないかと思うのです。つまりジャンプのアンケートは「公平な状態で10週最下位圏内が続くと打ち切り」ではなく、「圧倒的なハンデの中で10週以内最下位圏内から抜け出さないと打ち切り」ということではないかと。そう考えると10週というやや長めにも思える期間も妥当性が見えてきます。そののし上がるまでの期間が10週というのは長いか短いか、判断が難しいところですね。


こう考えると、同じ10週でも、新しく始まってしばらく経った作品が人気が落ちてきて順位が下になった場合は、おそらく10週待ってくれる可能性は低いのではないかと思われます(最下位なら尚更)。それは、知名度を既に得ているのに、あとから出てきた知名度の劣る作品に負けるということは、本当に人気が低いということになりますから。10週を越えても単行本4〜5巻あたりで打ち切りになる作品がわりと多いですが、そこらへんが10週をクリアしたあとに続く2つめの壁なのかもしれません(このあたり、『バグマン。』でもあのコンビの連載が始まったら出てくるかも)。

しかし、考えてみればすごいことですよね。ぺーぺーの新人が第一回目から超大御所と同じ場所で戦うことになるのですから。それこそ90年代の新人は鳥山明氏や井上雄彦氏と戦って、そして今でも新人は『ONE PIECE』や『銀魂』、『NARUTO』と戦っているのでしょう。でも、それが少年ジャンプであり、マンガの世界というものなのでしょうね。