雑誌のアンケートにおいて「おもしろくない」が必ずしも最低の評価になるとは限らない

pマンガ誌のアンケートを見ていると「一番面白かった作品」のほかに「一番面白くなかった作品」という質問をされることがあります。ジャンプでもたまにはがきの裏でそういったものを聞いてくることがありますね。

さて、この「おもしろくなかった作品」に入れられるというのは、マンガ家としては当然好ましいものではないでしょう。しかし、ここで考えてみて思うのですが、はたして本当に「おもしろくなかった作品」というものに投票されることは、最悪の事態なのでしょうか。それは「おもしろくなかった作品」というものに投票されたものが、必ずしも読者にとって最低の評価とは限らない場合もあるからです。それは、マンガに連載されている作品について読者が受けるものは、「面白かった」「おもしろくなかった」以外の感想もあるので。

まず、「どちらでもない」というのがあります。これは面白いとは言えないけど、おもしろくないまでもないなあというもの。ただ、これも無理に決めればどちらかには属すことも出来なくはないでしょう。ただし、読んでいれば。そう、もうひとつ「面白い」「おもしろくない」のほかに作品に対する感想はあるのです。それはすなわち「読んでいない」。言うまでもなく、そのマンガ雑誌の中で読んでいないので、面白いかおもしろくないか評価出来ないという作品があります。しかし、これらを読者が「おもしろくない」に投票することは、あまりないと思われます。というのは、さすがに読んでいない作品に対して「おもしろくなかった」に投票するのは抵抗ありますよね。ですので、おそらくは「(読んだ中で)一番おもしろくなかった」というものに投票する人が多いのではないでしょうか。しかし、この読まれていないものの中には、仮に読まれていたとしたら「おもしろくなかった」と投票したものよりもおもしろくなかった可能性というのはあり得るわけですよね。

さらにこの「読んでいない作品」にも種類があると思われます。すなわち「興味を惹かれないから読んでいない作品」、そして「前に読んでいたけどつまらないから読み飛ばしている作品」というもの。さて、これをよく考えてみると、「おもしろくなかった」と投票されたものよりも低い評価と言えるのではないでしょうか。だって、「おもしろくない」と評価された作品というものは、少なくとも興味があるから読まれたわけです。その結果、おもしろくなかったと判断されたのでしょうか、読まれていない作品というのは、その興味でさえ最初から無かったということですよね。「期待はずれだった」という評価が、それを見るまでは期待されていたのと似たようなものです。

「興味を惹かれないから読んでいない作品」というのは、もし何かのきっかけで読まれた場合には「おもしろい作品」になる可能性もあります。しかし「前に読んでいたけどつまらないから読み飛ばしている作品」のほうは、ことによると読まれて「おもしろくない」と投票された作品よりも、その個人にとっては低い評価なのではないでしょうか。

では何故このような差が起こりうるのか。これは前提として「全部読んでいる」というものがあるからではないかと。つまり、評価されるもの(この場合作品)は全部読まれているが故に、上からのおもしろいもの、そして下からのおもしろくないものを決められると。しかしながら大昔の漫画誌ならともかく、現在のマンガ雑誌において全部の作品を読む人は決して大多数ではないと思われます。アンケートを送る人でも興味のある数作品、下手すれば全体の半分以下しか読まないという人も決して珍しいとは言えないでしょう。

ちなみに、とある雑誌では全作品を「面白い」「ふつう」「面白くない」で聞いてきます。確かにこれの場合、全部読んでいれば有効でしょうが、もし読んでいない作品のうち、おもしろくなくて切り捨てたものは「面白くない」に入れるとしても、まだ興味が無くて読んでいないものは「ふつう」あたりに入れてしまう可能性が高いのではないかと。しかしそれも「面白くない」に入れたものよりさらにおもしろくない可能性もあるわけですよね。いや、興味を惹かれない分、可能性は高いかもしれません。

以前、少年ジャンプでは上から3番目のおもしろいものしかアンケートを採らないため、みんなが5番手くらいに思うものは順位が上がりにくいという話を書きましたが、これはある意味、興味のある3つしか読まなくても正確なアンケートがとれるということになります。こう考えると、中間作品を見落とすリスクを犯しても正確を期するためにわざとこう聞いているのかなとも思えます。

■参考:少年ジャンプのアンケートについてちょっと考えてみる – 空気を読まない中杜カズサ

つまりは、比較対象が全部を含まない限り、「面白い」、つまり上からの順位と「面白くない」という下からの順位は正確とは言えないわけです。しかしそれを見越して「読んだ作品(読まなかった作品)」を聞いてくることもありますね。ただ、その除外が行われず行われているアンケートもあります。

ただ、全部の編集部がこの「おもしろくない作品」を一番悪い評価にしているかといえば、そうとは限らないと思います。上に書いたようなことをふまえて、「おもしろくない作品」に投票された数が多いものでも、それを注目を集めている作品として何も反応がない作品より肯定的に見ているケースもあるのではないでしょうか(もちろん「面白い作品」が上に行くのは当然でしょうが)。ですので、ネガティブ投票として「おもしろくない」に入れると、編集部によっては何も書かないよりも上の評価とされているかもしれません。編集部から見れば「読者のツンデレ」みたいな感じで。

この手のエントリーで何度も繰り返していますが、結局はアンケートは数値データであり、それを参考にして雑誌の運営方針を決めるのは、編集という名の人間なのです。だから、アンケートには出来るだけ正直に書くべきかと。もし上を見て思うところがあるなら(「おもしろくない」にしたけどそれは今回だけで、いつもは期待しているとか)、自由記入欄にその旨を書いてもよいのではないでしょうか。

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