空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

雑誌のアンケート結果は懸賞品によって変わる可能性がある

昨日、このようなエントリーを書きました。
nakamorikzs.net

これを書いている時に各種マンガ雑誌のアンケート欄を見ていたのですが、それで色々と考えたことがあります。今日はそのうちのひとつを。


さて、雑誌のアンケートは多くの場合、その号の懸賞応募も兼ねています。プレゼントがきまっているものでない限りは、アンケート記入欄には「どのプレゼントがよいですか?」というような欄が書いてあることが多いですよね。さて、何故アンケートにこのような懸賞をつけているのか。まあ考えるまでもないでしょう。これはアンケートの回収率を高めるため。たしかに無償で意見を寄せてくれる人もいますが、それは全体からすればかなり少数派です。ハガキを送るのに切手代が必要なら尚更です(雑誌によっては料金別納で読者がふたんしなくてもよい場合もありますよね)。故に、「懸賞」というものでその回答率を上げるということですね。

しかし多くの読者にとっては懸賞のおまけのアンケートですが、出版側からすればアンケートのおまけの懸賞というのはある意味おもしろいですね。

さて、その懸賞の品物ですが、いろいろなものがあります。少年誌で多いのはWiiとかDSといったおもちゃの類。なんだかトイザらスのチラシを見ている気分になるような感じのものです。そして青年誌とかになると、表紙やグラビアアイドルのテレカとかDVDなんてのもありますよね。また、連載している人気作品のテレカやサイン色紙やサイン本なんてものもあります。あと、現金やクオカードなどをそのままプレゼントとかいうのもあります。

さて、ここでとある疑問が生じてきます。前述のようにアンケートを送る人の多くは、その懸賞品目当てで送りますよね。ただ、毎号送るわけでもなく、ほしいものがあった時だけ送るという人もかなりいると思われます。では、その人の欲しいものが特定の作品に関連するものだった場合、その作品の特典が必然的に上がることにはならないか、ということ。

たとえば、とある連載作品Aのイラスト入り限定QUOカードというのをプレゼントにします。その時、Aが欲しいと思った人は懸賞を送りますよね。なら、この時アンケートにはAが欲しい人が増えるわけですが、この人達はアンケートにどのように記入するか。ここで自然に考えるなら、AのファンだからそのAの限定QUOカードが欲しいということにならないでしょうか。となると、ここでAのアンケートは伸びる可能性が高くなります。

つまり、懸賞品でその連載作品に関連するグッズを出した場合、アンケートにそういった形で影響を与えうるのではないかと思われるのです。

いや、何も特定の連載作品だけではありません。先に少年誌はトイザらスのチラシみたいだと言いましたが、こういったものは社会人になって収入がある人なら買えてしまいます。少なくとも1人に当たるWiiに確率をかけてはがきを買うよりは、素直に25000円で買ってしまう人が多いのではないかと。こうなると、大人よりも小中学生の票が圧倒的に集まりやすくなるでしょう。

ということは、懸賞品に出すもの次第でそのアンケートの結果が変わりうるということになります。つまりは、アンケートってのは絶対公平とは言えない場合も多々ありうると考えられます。


ただ、それはもう出版側にもわかっているのか、ところによってはなるべく偏差がよらないようにしているのかも、と思える部分があります。例えば少年ジャンプですが、数号見たところ、懸賞で特定の作品が出ることはあまりありません。前述のようなおもちゃいろいろとか、ジャンプ関連の品物でも、キャラが全員揃っているものとかでした(例外もあるかもしれませんが)。

また、特定の単行本についてくるアンケートはがきってのがありますが(ラノベには多いですね)、これのプレゼントは「特製図書カード」とか、その単行本の作品ではないものが多いような気がします。これは昔から「もっと特定のグッズにした方がアンケート集まるのに」と思っていました。しかしこれも考えてみると、その作品を面白くないと思った人は、わざわざその作品のグッズ目当てにアンケートを送る人は少数でしょうから、その作品関連のグッズにすると、その作品が好きな人の肯定的意見ばかりが集まる可能性があります。なので商品を汎用にして、否定的なアンケートも集められるようにしたのかなと考えられます。まあそれでも送る人は肯定意見が大多数でしょうが。

あ、余談ですが、昔松屋でバイトしていた人に聞いた話だと、店に置いてあるアンケートはがきを送る人の大半では苦情が書かれているそうです。なのでそれを利用して、態度の悪い店員がいる店では、アンケートはがきを取るところを見えるようやると、急に態度が変わるとか(ただ、Twitterで教えてもらったところだと、現在松屋ではアンケートハガキはないとのこと。まあチェーンのラーメン屋ではたまにありますけど)。


そんなわけで、アンケートってものは絶対的な数値を示すものではなく、その集め方、質問の仕方、そして懸賞のようなそのほかのいくつもの要因によっておおきくうごいてしまうものなのですよね。ちなみにこれを拡大して行くと、マスコミのアンケートとか、はては選挙の得票とかにもなってしまいます(それについてはまた改めて)。

ただ、おそらくは出版側でもアンケートの数値のみを見ているわけではないでしょう。そういった周辺事情もちゃんと含めて、編集の人が考えられているのでしょう。つまり、あくまでアンケートは参考でしかないのです。それはおそらくアンケート至上主義と言われるジャンプでも(これについてもいろいろ書きたいことがあるのですが、また改めて)。


もし、このようなデータに携わる時があったとしたら、数字のみを見ないで周辺をよく考えることが大切ではないかと思われます。