空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

民営化しても郵便局で封筒を売っていない理由を考えてみる

このようなエントリーがありました。

郵便局では封筒を売るべき - Cheshire Life

封筒の需要が一番高そうな郵便局において、何で封筒が売っていないのかという疑問からのエントリー。言われてみればもっともですよね。元エントリーのコメントにも書いてありましたが、民営化する前まではそういったものを売ることは、郵便事業の範疇からは外れるということで、売ることが出来なかったということ。

■参考:郵便局で封筒が売ってないわけ。 - 教えて!goo

しかし現在、郵便事業は民営化され、おそらくはそういった事業に関しても民間企業として解禁されているはずです。にもかかからず、現在でも封筒は売っていません。これの理由はわかりませんが、いくつか推定することは出来ます。

ひとつは、単純にその収益が微々たるものだからやる気がないということ。つまり便利ではあっても、封筒の利益はたかが知れています。一枚単位なら数十円でしょうし。そして新規の販売ルートを造るのだったらそのための費用がかかります。つまり、たとえ需要はあっても、そのための費用や手間を考えるとやるつもりがないのだと。これが一番納得のゆく理由ですが、素人考えではハガキとかと同じ流通に乗せてしまえばいいだけだし、採算面よりも顧客確保のサービスとして有効だと思うのですが。

そしてもう一つは、上のことをすでにわかっていて、且つ郵便局は売りたいと思っていてもできないということ。つまり、かつて国営時代に受けていたような制約を何かによって受けているという可能性があるのではないかと。で、その制約は何かというと、今までに封筒を売っていた場所、すなわち文房具店やコンビニではないでしょうか。

さて、このように新しく事業を始めると、既存の競合店舗が反対するというのは今までもよくありましたので、これは不思議ではないでしょう。しかし、この2者に気を遣う理由というのが郵便事業者側に存在するように思えるのです。

まず、文房具屋。昔から封筒を買う専門店はここでしたね。さて、この文房具屋、昔からたいていの店では切手やハガキが売っています。つまり、昔から郵便局は文房具屋とその関連商品(切手、ハガキ)の販売について、つきあいがあったということですよね。もし郵便局で封筒を取り扱うということになると、文房具屋における封筒の販売における利益が減る、すなわち競合が起きてしまうわけです。つまり長年の協力店である文房具屋のために、封筒を売れないと考えることが出来ます。

コンビニの場合、さらに大きな関連があります。フランチャイズにもよりますが、現在コンビニで取り扱っている郵便事業はハガキ、切手の販売、それにゆうパックの引き受け、またATMではゆうちょ銀行の引き出しも出来ます。最近ではポストまで置いていますよね。しかし文房具屋と同じ理由でそれを売れないと(文房具屋でもゆうパックの引き受けをしているところって、けっこうありますしね)。つまりは、密接な事業協力者であるこれらに、郵便局は気を遣っている、もしくはそちらから「売るな」という圧力が来ているのではないかと。


ただ、封筒の売り上げなんて微々たるもので、両者ともそんな気にしないと思われるでしょうが、実は問題は封筒「だけ」ではないと思われます。
さて、封筒がありません。そうすれば封筒を買うために文房具屋かコンビニに行きます。そこが重要なのです。つまり店に客が来れば、封筒以外の何かを買う可能性がある。文房具屋ならついでにペンも買っていくかもしれないし、コンビニならそれこそ昼食を買っていく可能性もある。しかし郵便局だけでこと足りてしまうと、その機会を失ってしまうわけです。
いや、それも封筒だけならまだ微々たる問題ですが、本当に問題なのは「郵便局が即売事業に乗り出すこと」ではないかと思えるのです。すなわち、封筒がうまくいったら次は便せん、その次は文房具全般……と拡大してゆく可能性は十分あり得ます。ましてや郵便局があるのは小学校1つにつき1箇所以上という感じで、駅前から住宅街の真ん中まであります。そこでコンビニや文房具店と競合する店が増えたら……というのを恐れているのではないかと。ちなみに法律関係で現在の郵便局がどれだけのことをできるのかわかりませんが、立地的、人員的にはかなりのことができる可能性があります。さすがに場所を取るものは無理でしょうが、データ系の販売やチケット発行なんてのは機材があればすぐできそうだし。しかしそうなるといよいよコンビニは死活問題にかかわるので、そのへんへの拡大を警戒しているように思えたりします。

ということで、既存店舗の驚異の1歩目となるために、封筒販売を抑えられている、なんてことを考えてしまったりするのです。根拠はないですが、こう考えても不自然ではないだろうということで。

ただ、郵便局もそんな配慮をしている余裕はなく、市場原理的な面で上のように販売などを手広くせざるを得ない、もしくは動けないまま徐々になくなってゆく時代が来るという可能性もあります。それはまとまったらまた書きます。

ちなみに郵便局で封筒販売以外にもやった方が便利だと思うものは、コピーサービスかなと。郵便出すときにバックアップとる人もけっこういますしね。ただ、これもコンビニと競合するのでどうなるかと。