空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

これからは芸人とのタイアップ商品やら広告が減ってくるのではないかと思った理由

たまにリサイクルショップとかで、かなり古い商品を見ることがあります。それの中にはパッケージに当時人気だった芸能人の写真があって、その時の恰好などで「ああ、昭和の製品だなあ」と時代を感じてしまうことがあります。しかし、似たような感覚を今、近所のスーパーで、それも最新製品から受けてしまいました。

コンビニやスーパーでパンを買って、昼飯にしている人にはおなじみのヤマザキランチパック。あの白いパンの真ん中にいろいろはさんであるやつです。個人的にはピーナッツバターにかなりお世話になりました。一人暮らしの頃は毎日食ってましたね(で、太った)。

で、今でもよくスーパーやコンビニでそれを見るのですが、最近見たのがこれ。

山崎製パン | 世界のナベアツさんとのコラボランチパック

これを見て、一瞬微妙な気持ちに襲われました。なんというか……「今、3の倍数でアホのネタか?」みたいな感じ。いや、別にこの製品買ったけど、悪くないし(ただ、チョコが重なっていたのでかなり甘かった)、世界のナベアツが嫌いなわけでもありません(ただ、ラジオリスナー的には放送作家やっているほうが好きだけど)。ただ、なんとなく代表的なこの3の倍数をやっている姿は、どうも去年のギャグのように見えてしまうのですよね。いや、ナベアツならまだいいのですが、その後ドラッグストアーに行くと、エド・はるみが「グー」とかやっているのがついていた目薬がありました。それは露骨に「これ、いつの目薬?」と思ってしまいました。

つまり、これらの製品を見て、なんとなく「古さ」を感じてしまったのです。いや、スーパーやドラッグストアーにそんな古いものが置いているはずないし、製品が新しいことはわかるのですが、なんとなく印象として。

これは何故かと考えると、このギャグのイメージがだいぶ昔のように感じてしまったからかと。

よく言われることですが、最近は芸人のサイクルが早いのですよね。つまり、いきなり売れたと思ったら、いきなり1年後には、下手をすれば1年以内に消えていってしまう感じ。それでも芸人そのものならば何年か居続けることが多いですが、この手のギャグは、かなり寿命が短いのではないかと(故にブレイクしているうちに次々に新ネタを出そうとしているのは、いつの時代でも変わらず)。つまり、ちょっと前に流行ったギャグでも、サイクルが早いためにすぐに「昔のもの」というイメージがついてしまい、商品までその古さを引きずってしまうという感じ。

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しかしこういったタイアップ製品である以上、キャラを押し出すのが自然ですから、どうしてもこういったブレイクしたネタのアピールとなります。しかしそのネタは、現時点では古くなっていると。しかし、これは無理もありません。タイアップにはどんな迅速に対応しても企画から契約、制作と手順を踏むとそれなりの時間がかかるはずです。故にどうしてもタイムラグが出てきてしまうと。


こう考えると、昔はよくあった芸人とのタイアップというのは、サイクルが早くなった今では向いていないものになってしまったのではないでしょうか。ただ、別に芸人は悪くないし(さすがに本人の人気だけならともかく、ギャグの寿命まで調整しろと言うのは酷な気がする)、タイアップした会社や事務所も悪くはないでしょう。あえて悪人を探せば、芸人のサイクルを早くしてしまったテレビ番組なのでしょうか(これも出さなければヒットでさえしなかったわけで、ここに全責任を押しつけるのもどうかという感じもしますが)。ただ、結果としてこのようになってしまったことで、昔はよくあったこういったタイアップはなくなってゆくのかなあと思ったりしました。

いや、タイアップ製品ならまだいいのですが、芸人自体で寿命が短い人(いわゆる「一発屋」)が増えた場合、ほかの広告全般にも影響しそうだなあと。もちろんこれはお笑いだけではなく、アイドルとかにおいても。そういえばアイドルってたった2年前によく見ていた人でも、今年はあまり見ない、聞かないとかいうことが多いような。つまり、どの分野でも日本人の多くが共通して知っているとか好きという人がいなくなってきているのかも。もちろん価値観の多様性でそれはいいと思うのですが、広告的には苦しいかもなあ。

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もっと広げて考えると、今までの広告で一般的だった「有名人先導型」みたいなものが、なくなりはしないまでも縮小してくることってのはあるかもしれないなんてことを思います。