空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

CM出稿数が減少しているのはCMの枠自体が多すぎるせいというのもあるのではないか

私は現在親と同居なのですが、風呂上がり時、親が寝る前に身体を冷やさないようにコタツで身体を温めている時ついているテレビを見ることがあります。で、ついているのはワールドビジネスサテライトだったりNHKニュースだったり、はたまたトーク番組だったりばらばらなのですが、この時間にテレビを見ていて「あれ?」と思うことがあります。というのは、番組を見ている時間より、CMを見ている時間の方が長い気がすること(もちろんNHKを除いて)。実際、最近は一度番組からCMに入ってしまうと、15秒分を8本、2分間ぐらいは流れているような気がします。

でも、思い返してみると昔の番組(私がよくテレビを見ていたのは1990年代前半なのでそのくらい)ってデイタイムだろうが深夜だろうが、ある程度CMの出し方って決まってましたよね。特番などの例外はありますが、30分番組なら

オープニング→60秒分CM(15秒×4など)→番組10分くらい→15分目くらいで60秒分CM(15秒×4など)→10分くらい→最後の60秒分CM(15秒×4など)→エンディング→スポットCMへ

という感じ。アニメにするとわかりやすいですかね。

テーマ曲→60秒CM→前半→アイキャッチ→60秒CM→アイキャッチ→後半→60秒CM→エンディングテーマ&次回予告→スポットCMへ

ってなところ(今も同じなのかな?)。しかし30分番組ではこれ、そして1時間番組でも30分目時点のCMがやや長めになる&提供スポットが入るくらいで同じ感じとはっきりしていたので昔はビデオの編集がしやすかったなあ。ともあれタイムCMでは30分番組の場合、15秒CMが12本、多くても60秒のところが一部90秒になって、16本程度が原則だったように思います。

でも、現在見ていると、これがバラバラで法則性がないのですよね。正確にカウントしていないからわからないのですが、なんか30分CMでも20本を越しているような気さえしてきます。特に深夜帯では、番組数分ごとにCMに切り替わって、番組の方が短くなる現象が起きているような。故に前述のように、番組よりもCMのほうを長く感じてしまうと。これは、単純に番組構成が昔と変わり、前半にCMなしで番組に集中して、後半にCMをつめているだけなのか、それとも実際にCM本数が昔よりも増えているのかどっちなのでしょうね。どちらにせよ、視聴者にとって「CM時間が増加した」と思わせているような構成になっているのではないかと。


で、もし体感通り、CMの本数が増えているとしたら何故こうなったのか。あくまで予想ですが、CMひとつあたりの単価を下げないとCM主を獲得できなくなった、故に本数を増やすことでそのひとつあたりの利益の減少分を補っているというのが、一番自然に導き出されるものではないかと。いや、もしかしたらCMが増えたのは本数が減り始めた今ではなく、まだまだ人気の時代に収入を増やすためにすでに多くしていたのかもしれませんが。

しかしこれはCMに価値があった時代ならともかく、今はかえってCMの価値を減らすことにはならないでしょうか(ちなみにCMの本数は変わっていないのにそう感じさせるとしたら、明らかに構成ミスでしょう)。

以前、パチンコなど好き嫌いが分かれるCMを流すことによって、CMの広告としての価値が下がってゆく可能性が有るのではないかということを書きました。

テレビはパチンコ等のCMを増やすことでかえってCMが減少するスパイラルに陥っているのではないか - 空気を読まない中杜カズサ

このように、CMにも市場原理が働き、上で書いたような質的な価値と同時に、量によるレア度的な価値もあるのではないかと。そして今は多すぎるので、その価値を下げてしまっているのではないかと思うのですよね。

余談ですが、2000年前後はあれだけあったパソコン専門誌がどんどん休刊に追い込まれましたが(ちなみに私は「インターネットマガジン」の読者でした)、あれの原因はインターネットの登場やら出版不況のせいだけではなく、あの手の雑誌全部が「広告多すぎ」たために、ひとつあたりが目立たなくなり、広告の価値が下がったせいもあると思っているのですが。


最近、CMが入らないとかよくネット系のニュースでは言われています。

2ch ニュース速報+ ダイジェスト: 【経済】在京民放キー局、フジテレビを除く4社が減益…CMの急減が原因
ニュースウェブ : テレビ局激震 某大手飲料メーカーがCM出稿見直しか? - livedoor Blog(ブログ)

で、代わりに「CMのCM」とか、その民放の出資している映画の宣伝とかがこれでもかといわんばかりに入るのですが、こんなことをするくらいなら、思い切ってその分CMの時間を減らし、全体の価値を上げてみてはどうかと思うのですよね。つまり一般的な市場原理と同じで、価値の暴落を防ぐためには供給量を抑制するという感じ。そうすれば視聴者がCM1つに対する注目度は上がりますし、何よりそこで流れているCMへの不満がなくなります。

でも、これは目先の利益だけ考えると実行できません。しかし数年後を見た場合、こうでもしないとCMに出稿する企業が全くなくなってしまう、そして同時にテレビに嫌気がさした人のテレビ離れが進んでしますような気がします。どの局が一番最初にこれを出来るかというところですね。