空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

ネットが生み出した新しい創作意欲

今日は、書けば当たり前のことのように見えるのですが、なかなか実感しにくかったことを書いてみます。

さっきまで『ひだまりスケッチ』の4巻を読んでいました。

ひだまりスケッチ (4) (まんがタイムKRコミックス)

で、これの中に新キャラの1年生なずな&乃莉とゆの&宮子がホームセンター(というか東急ハンズみたいなとこ)に行って、木材とかネジとか小物とかを見たら、普通科のなずな除く美術科の3人が「あああ〜何か作れそうな気がする!!」というシーンがありました(4巻P74・『美術科と普通科』)。

そういえば、『ハチミツとクローバー』でも、はぐみとか森田がいきなり創作意欲に駆られるシーン(森田は突拍子もなく)がありましたし、『GA』では、お茶の最中にいきなりその仕草を描きとめておきたくなったりするシーンがありました。たしかに創作に興味のあるから芸術科に通っている面々だろうし、ありそうな感じですよね。

ただ、こういった芸術とは無縁の私でも、なんだか似たようなことがあったような……と思ったら、すぐ思い浮かびました。何故なら今、目の前にあるものを使って散々やってきたから。

目の前にあるものとは、もちろんパソコンです。そして私はこれを使って、今までいろいろなものを作ってきました。たとえばこのブログなんかもそうですよね。何かを見たり聞いたりして、それに対して何か考えを思い浮かべて文字という形にしたと。そしてブログの構築もそうです。たとえばはてなダイアリーならデフォのフォーマットがあるけど、それをどうやって自分好みのレイアウトにしようか、慣れないはてな記法を参照しながら、大変ながらも楽しんでやった覚えがあります。最近だとWordpressですね。これのカスタマイズはなかなかめんどいですが、理想の形にしていこうとちょこちょこ弄っています。

そのほかにもいろいろあります。とあるツールがあって、それをスキンなりプラグインなりで独自のカスタマイズしていくのもある意味構築ですし。プログラミングなんて最たるものですね。すなわちある言語が存在し、あちこちで他の人の組んだものを見たり、便利なクラスを見つけたり、はたまたそれに関連しそうな技術を見つけたりする。そうするとプログラミングの好きな人は「何かが出来そうだ」と思ってその言語を学び、そして何かを作り始めるのではないでしょうか。もちろん他の人によって役に立つかどうかはわかりませんが、とりあえず作って形にしたいと思うと。で、その中から、多くの人に便利だと思うツールも出てくるという感じ。

上では自分に近い方から挙げましたが、ネット上で公開されているイラストやコミック、小説なんてのはまさにそのままでしょう。今ではネットを巡回すれば、それらが新しく生まれていない日はありません。つまり、何も芸術科の学生だけではなく、ネットの住人もこのような創作意欲というのを持ち合わせているのではないかと。それはプログラミングだったり、イラストだったり、はたまたネット上での何かの構築だったりと、形は様々ですが、それを自ら進んでやる場合、「創作の意欲」というものが存在していると思われます。


しかし、思うのです。もしネットがなかった場合、ネット上にここまで多くの創作は生まれていたでしょうか。たしかにネットやパソコンの普及以前から、ネット以外の何かを使って、自分の創作したものを公開するという文化は存在しました。たとえば同人誌なんてそうですし、そのほかにも雑誌やラジオの投稿コーナーなんてのもそうですね。それらはそれらで楽いし、今でもネットを越えるメリットはあるのですが、やはり即時性(作って時間を待たずにすぐ公開できる)や必ず公開されるというネットの利点は大きいと思います。特に、必ず見てもらえるというのは無駄となることがなくなるわけですから。現在では当たり前になってしまったことですが、昔と比較するとこれはとてつもなくすごいことだと思うのですよ。

もちろん、公開したからといって必ずしも多くの人の目に留まることのない可能性もありますし、反応などの面でメリットがある反面、デメリットもあるでしょう。しかしそれでも「少なくとも誰かに見てもらえる」という意思は、創作にたどり着くための意欲を増大させたのではないでしょうか。

特に、昔ならこのブログで書いている文章なんて、投稿してもカラーに合う雑誌はないでしょうし、公開する場所はほぼ皆無だったと思われます。しかし今なら、こんなカラーが定まっていないような文章も、公開することが出来てしまうのです。イラストも同じです。マイナーで誰も知らないようなキャラクターは、雑誌には載せにくいでしょうし、同人誌でもなかなか注目されにくいですが、現在はpixivにおいて、それを乗っけて、且つ知っている人に見せることが出来ます。おそらくネットがなければ、その公開されないキャラを描こうと思わなかった人もいるのではないかと。

こう考えると、ネットというのは創作の領域を広げたと言えるのではないでしょうか。しかもそれは非常に多くの分野において。


最初に書いたように、「ネットにより創作の幅が広がった」というのは、ある意味当たり前のことかもしれません。でも、このようによくよく考えると、人類の歴史の中でここまで飛躍的に創作意欲を多くの人に与えたのは、この10年ではないかとも思ってしまうわけです。