小室詐欺事件から見える現代における著作権の管理的欠点

ここ連日、ニュースが多いですが、芸能系としては小室哲哉の逮捕が一番大きいでしょう。さて、Twitterでもちょっと書いたのですが、ここでふと思ったことがありますので、それを掘り下げて書いてみることにします。

今回の事件は、すでに著作権をエイベックスに売り渡しているのにもかかわらず、会社社長にその権利を売る話をもちかけ、前金の5億を詐取したということですね。

■参考:小室哲哉プロデューサー逮捕へ、著作権巡り5億円詐取容疑 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) ※リンク切れ

ここで思ったこと。そもそもこの背景には、個別の著作物においてその著作権がどこにあるかというのを調べるのが、現状では非常に困難なことから起こってしまったとも言えるのではないでしょうか。ニュースでは「小室プロデューサーは素人には知識がない著作権を悪用して……」みたいなことが言われていますが、まさしくその通りで、現状では第三者は著作権の推定はその制作者か会社が持っているとしか推定できません。

たしかにほとんどの場合はそうなのですが、権利の移行がなされている場合、こういった事件が起きてしまうのです。今までは、前述のように制作者か会社が実際に権利を持っていたのでこういった問題は起きませんでしたが、これから先、会社の倒産や制作者の死去によりその権利が移行した場合、どこに著作権があるかというのがわからなくなり、似たような詐欺が起こる可能性はあるのではないでしょうか。

そこであてにしたいのがその著作権を管理する機構、つまりJASRACなどの音楽著作権管理団体なのですが、現時点では素人でも権利者が誰かというのをわかりやすく検索できるものはありません。「作品データベース検索サービス」というものはあるのですが、これも網羅しているわけではありません。「小室哲哉」で検索すると、今権利を持っているのかどうかわかりませんが、大量に「権利者」と表示されるものが出てきました。となると、少し入り組んでしまうと、その著作権が本当に存在するかどうかを第三者が調べるのは困難になると推定されます。

いや、JASRAC登録曲だけではありません。今は管理団体が大量に増えていますし、多くのゲーム音楽のように、どの音楽団体にも属さず、自分のところで権利を管理しているものもあります。さらに権利を事実上放棄してフリー提供されているものもあります。こうなると時が進むにつれて、もはや誰がどの権利を持っているというのの判別ができなくなってくるのではないでしょうか。実際、ゲーム音楽では復刻版を作ろうという時でも、権利関係が非常に複雑になっていて、追い切れなく断念せざるを得ないというケースもあるようです(これはマンガやゲームでも同じことが言えますが)。

前から思っているのですが、著作権法の想定というのはそれが確率した昭和のままで、新しい状況に対応出来ていないのではないかと。故にネットでの音楽配信やダビング10など新しいもので、歪みが出てきているのではと思います。そして現在、その著作権法を改正しようとする動きがありますが、それが何故か自由度を狭める方向に行ったりそれに反発したりで混乱していて定まらないのではと。そしてその歪みの中で生まれたのが、今回の事件だと言うことも出来ると思います。

いや、現在はこの詐欺事件がまだ滅多に起きえない事だと思うのですが、前述のようにその権利が各種団体に加えてフリー素材などもあいまって複雑化した場合、こういった事件が頻発するのではないかとおもえるのですよね。例えば、フリー素材だと思って使っていたら、いきなり権利を請求されるという「サブマリン著作権」的なものが出てくる可能性も否定できません。

そうなると、やはりここは誰がどのデータを持っているかというデータを、参照しやすいようにする必要があるのではと思うのですよね。つまり土地ならば、そこの権利が誰にあるかを調べるためには、登記簿を参照すればわかります(まあそこでも地面師とか詐欺はあるけど)が、そんな感じで。そしてそれを担うのが、データベースだと思います。出来れば音楽だけでもお役所がそういったものの管理をしてくれて、そこになければ原則フリーとかになればいいなと思うのですが。そこでわかりやすくなれば、復刻版みたいに権利がわからなくて難航しているものでも、それが一発でわかれば交渉の手間も軽減されるでしょうし。ただ、現実的にはデータの膨大さ故、難しいのでしょうか? でも、将来的には断片的にでもやらなければ行けないと思います。こういった事件の可能性があるからには。

せめてゲーム音楽だけでもこういったデータベースがあれば、あの廃盤になっているのとかを復刻しやすいだろうになあとか思う今日この頃。

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