空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

電子マネーの最大の欠点は、ミスに対しての想定が甘すぎることだと思う話

つい先日、コンビニで朝早く(とはいっても私の場合寝る前なのですが)買い物をしていたら、電子マネーの残高が買うものよりも少ない。しかし電子マネーにはポイントがつくので2,000円分くらいチャージしてから払おうとしたけど、財布には5,000円しかない。しかし私の声が聞き取りづらかったのかもしれませんが、店員の人が間違えて5,000円をチャージしてしまいました。そこで指摘して取り消しを頼んだのですが、それが出来ないということで、管理者らしき人まで連絡する騒ぎに。結局、15分くらい待たされることなりました。ただ、待っている間にも腹がたたなかったのですよね。それは、これが店員の人が原因というよりは、電子マネーというシステムの問題であるということに気づいて、それについてずっと考えていたので(応対次第では腹が立っていたかもしれませんが、そんなことはなかったので)。

最近、このようなニュースがありました。

電子マネー、二重引き落とし続出…店側が誤操作 : ニュース : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

これによると、原因は不慣れな店員のミスとしています。しかし、こういったシステムは、Suicaみたいに全自動でもない限りは「人が操作をする」という前提条件があるわけですよね。となると、店員(もしくはユーザー)の操作ミスなんてものは十分想定内のはずです。しかし、このシステムではそれに対しての対策が練られておらず、結果的に客から余計に引き落とすということをやってしまっているわけですよね。先の自分の例でも同じです。打ち間違い、聞き違いなんてものは、電子マネーが導入される前からあったものです。それなのに、間違いからすぐにリカバリー*1する手段がないというのは、システムの想定が甘すぎると言えるのではないでしょうか。

いや、店員のミスだけではありません。たとえばキオスクで何かを購入したけど、やっぱり別のものが安いからそっちにしようとしても、電子マネーではその変更は非常に難しいと思われます。昔ならちょっとレジを打ち直すとか、メモしておいてあとで処理すればよかったようなものなのに。しかし、こういった不便や不利益は、ユーザーに押しつけられているのが現状なのですよね。上のニュースでも「客側からの申し出がなければ返金しないとする企業も多い」とありますし。いや、これがまだ十円やそこらならいいのですが、ことによるともっと多数の金額が引かれることもあるのですよね。

たしかに、その例外処理を簡単に使えるようにしてしまうと、それを悪用するケースが出てきますので容易に実装は出来ないでしょうが、現状ではいくらなんでもその処理が不足しているように思えてなりません。少なくともエラー修正用の処理システムを設けて、そこで暫定修正、あとで整合をとって確定とか(これは思いつきなので実装できるかどうかはわかりませんが)。もうちょっと言えば、これはアルバイトや派遣社員などで大半が占められ、管理権限を持てる人が減ってしまった雇用形態にも原因があるのかもしれません。

あと、これに対して「いちいちそんな大変な処理をさせてまで、返金させるのは恥」みたいな心理を働かせて、結局ユーザーの負担にしてしまう可能性というのもあるわけなのですよね。私もコンビニでの処理中に「こんな手間と時間かかるならまあいいかなあ」という考えが頭をよぎりましたし。でも、それはユーザーの負担なのですよね。


こんなことを考えていて気づいてしまったこと。もしかしたら電子マネーって、かなり危険なものではないのでしょうか。いや、たしかに逐一チェックしていればミスが起きても気づきますが、細かいものがたくさんになってくれば、そのチェックも面倒でスルーしてしまいます。そうなると使えば使うほど、自分が損をしやすくなる可能性というのが高くなるわけですよね。もし、クレジット機能付きだった場合、さらにその恐怖は増します。もし、今までミスが0件であり、リカバリーも簡単に出来るという「信頼」があったら、そうは思わなかったかもしれませんが、今、このようなニュースで、その信頼性が崩れつつあります。だって、やっていることは銀行のATMで引き出しの指定額と出てきたお札の数が違うのと同じようなものですから。

ちなみにクレジットカードでは、出てきた明細書に確認してサインをするということがありますから、たとえ金額が違っていても気づきやすいですよね(リカバリーが簡単かどうかは、間違われたことがないのでわかりませんが)。クレジットカードが信用できたのは、金額が比較的多いというほかに、その確認処理のおかげもあったのかもしれません。しかしながら電子マネーでそんな手間をかけると、最大の魅力である決済の即時性、利便性がなくなります。ここでも電子マネーの正確性における欠点があるのかもしれません。


ともかく、人間が使うことを前提としているシステムが、人間の操作ミスを処理の考慮に入れていないというのは、完全なシステムとは言えないのと思うのですよね。だから、最初のことでも店の人に怒る気にはなれなかったのだという。だってひとむかし前なら、ミスが起きてもレジ打ち直せばよかっただけでしょうし。

これから先、自動改札など、利便性がその多少のリスクを考えさせないくらい上のものならば、需要はあると思います。しかしながら利便性がそれほど現金と変わらないものは、もしかしたら今後、そういった信用の問題において危険性が広まってゆけば、需要が低下していくのではないでしょうか。これは金銭の問題ではなく、たとえ1円でも起きてしまったら、次は手持ちの財産全部、クレジット機能付きならそれ以上を引かれる可能性だってあるのですから。ですからこのへんの改善が、今後の課題のように思えます。

そのうち昔のマンガ(最近だと『さよなら絶望先生』)であったように、カードを所有する人が一周して、現金のみしか持ち歩かなくなったという話が、現実のものとなってしまうかもしれません。

*1:故障からの復旧ではなく、正常ではない状態からの回復という意味で。