『完全に信頼できない存在』になれたとしたら、情報統制が可能になるか

詐欺や悪徳商法でよく使われるテクニックとして「本当の中に嘘を混ぜる」というのがあります。つまり「Aは本当、Bも本当、だからCも本当(しかし最後のは嘘)」というもの。具体的には「Aさんは儲かった、Bさんも儲かった、だからCさん(騙す相手)も。」というもの(ここで「Cさんも儲かる」と言わない場合が多い)。しかしCは嘘(少なくとも真実ではない)です。しかしこのように、前に説得力のある「真」を聞かされてしまうと、本来全然別の事例であり、個別に考えなければいけないことを連結して考え、同じように「真」と見えてしまうというものですね。もちろん「真」の例は多ければ、それだけ説得力は高まったように見え、本論の「偽」が薄まるわけですから。

昔から、この関連性のない話題をさりげなく「真」の中に紛れ込ませることにより、「偽」、もしくは論理的飛躍を感じさせず、さも当たり前のように真実とさせるテクニックというのは使われてきましたね。悪徳商法や詐欺に限らずとも、政治的コメントでもよく使われます。もっとも多くは失敗して、論理の破綻をツッコまれることが多いですが、中には本当にうまくやって、自然と騙してしまう例も存在するでしょう。ちなみに本人では全部「真」のつもりという場合もありますね。

余談ですが、とある件で論理だけではなく感情を持ち込んで判断させようという手法がとられることがあります。また、よく論理的に追い詰められると、感情論で逃げる人というのは出てきますよね。そういう思惑がなく出てきた涙とかならしょうがないのですが、そういった感情を材料に使う人もいるでしょう。そういうわけで、心情に訴えてくる部分があったら、逆に警戒したほうがいいかもしれません。思いはかるなというわけではなく、あくまで論理との分離が必要ということ(それが簡単にできれば苦労はしませんが)。

■参考:ねとらぼ:「エロゲーは危険な社会を作り出す凶器」――規制を求める請願、衆議院に - ITmedia News


さて、このように「真」の中に「偽(もしくは未確定なもの)」を混ぜて、「真」と錯覚させてしまう方法は多数存在します。では逆はどうでしょうか。つまり「偽」の中に「真」を混ぜるというもの。

嘘か本当かはわかりませんが、以前とある人のこんなコラムを読んだことがあります。とある人にスキャンダルが生じて、もう報道されるのも時間の問題となった。これを火消しするにはどうするか。それは自ら発表してしまうということ。しかし、東スポだけに。昔の東スポ(大阪では大スポ、九州では九スポ)は、「信頼できない媒体」(というかネタ媒体)の代表的なものでした。つまり「○○逮捕か?」という技法で、騙し記事を多くやっていたりして、報道新聞と言うよりはネタ新聞扱いされていた時がありました。故に、天気予報とスポーツ結果以外は信じてはいけないという感じ(現在はけっこうまともらしい)。そこにわざとリリースすることにより、本当であることを嘘と多くの人に信じ込ませてしまうと。そして後からほかのところで発表されても、それは嘘の後追いという評価になってしまって、真実が発表されても誰も信じないということで、そのスキャンダルの効力をなくしてしまうということ。これ、まさに「オオカミ少年効果」ですね。『失敗学事件簿』(畑村洋太郎著)によると、これは警告システムがなんでもない時にでもよく作動していたために、実際に事故が起こった時に誰も信じないで、大災害につながることを指しています。そういえば先日飲み会で行った居酒屋で警報機が作動してましたが、これも煙も臭いもなかったのもありますが、あまり信じてなかったですね。これと同じことが、こういった情報の流布時にも使えるのではないかと。そして意見でも同じく「あの人(組織)が発表するものは嘘が多い」と信じ込ませてしまえば、たとえ真実でも情報を無効化できてしまうのではないかと。

なら、そういった嘘ばかりを言う存在になる、もしくはそういったサイトを作れば、逆の意味で力を持つことになるのではないかとも思ったわけです。しかしこう考えると、オオカミ少年は「オオカミは来ていないで平和だぞ」と言った場合、村人がどう反応したかちょっと興味があります(この場合はスルーした可能性も高そうですが)。なんだかここで「オオカミ少年はどう言えば村人を呼べたのか」というお題でやれば、心理学的に面白いかも(というかラジオのコーナーみたいになりそうだな)。

ただ、そんな『完全に信頼できない存在』なんてものは、言い換えると『完全に信頼できないと言うことを信頼できる存在』なわけですから、『完全に信頼できる存在』と同じだけ作るのが難しいとは思います。まあゴシップ程度なら捨てることは出来るでしょうけど、さすがに重要なことはどちらのサイトに載っていようが検証するでしょうし。今だって、ボーガスニュースさんにいきなり本当のことが載ってたとしても、自分にかかわるような重大な問題がだったら、ネタと決めつける前に一応検証はする人は多いでしょうし*1

 ■bogusnews : ボーガスニュース


というか、もともとこんなのは個人の判断力にかかってくるわけで、どんな信頼できるサイトと言われようが疑う人もいれば、そうでない人もいて、逆もまた同じってことですよね。「嘘を嘘と見抜けないと難しい」というのは掲示板だけではなく、実生活でも同じなのでしょうね。


◆おまけ
ちなみに上で書いたように、このサイトでもおそらく中杜が意図せずとも、中に「偽」が混じることもあるでしょう(自ら狙う時はネタ風にしますが)。そのため、文章は疑ってかかるくらいでよいかと。「大人は嘘つきではないのです・・・間違いをするだけなのです」(by荒木飛呂彦)という感じで。

*1:いや、もしかしたらボーガスニュースさんが真実を伝えているという可能性もあり、それを私が切り捨てているだけなのかもしれませんが