『神聖モテモテ王国』というマンガをご存じでしょうか。一応説明すると、かつで少年サンデーで連載されていたながいけん氏（ながいけん”閣下”のほうがいいのか？）のギャグマンガで、個性的なキャラクターが破天荒な行動と破滅的なギャグ（ディープなパロディ含む）を織りなし、一躍人気を得たギャグマンガです。このマンガの主役、ファーザーは今でもあちこちのマンガでパロディとして登場します。昔では同時期にサンデーで連載されていた『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』や『ＧＳ美神』等、最近では『ハヤテのごとく！』（マリアさんが描いたハヤテのイメージがファーザー）や、『ふおんコネクト！』（劇での父役のお面がファーザー）などに出てきましたね。あと「ギャワーン！」の叫びと関節を無視した手の動きもよくフォロワーを見ます。
しかしこのマンガ、一部で大人気だったのにもかかわらず、いきなりサンデーで連載中止となります。そして単行本未収録話が出ただけではなく、既刊も品不足となり、プレミアがついてしまいました（正確には、1〜4巻はそれほどでもないですが、5巻、特に6巻がプレミア）。ちなみに数年後、ヤングサンデーにおいて一時的に復活しました。
しかしこのマンガ、今でも入手する方法はあるのです。それはコミックパークのオンデマンド印刷を利用すること。既刊の6巻までが販売されていましたが、最近、なんと未収録を集めた7巻が刊行されました。
■コミックパーク
■「神聖モテモテ王国」最新刊、オンデマンド方式で発売決定:Garbagenews.com
というわけで、今回ちょっと初オンデマンド注文してみました。
注文したのは、持っていない5巻、6巻、そして未収録の7巻。右は持っていた1〜4巻です。
普通の少年サンデーコミックとの違いですが、まずオンデマンド印刷は大きさがＢ５版（ビックコミックなどと同じサイズ）。それに普通の少年誌単行本よりちょっと薄い感じ。これはおそらく紙質によるためでしょう。そして中を見てみると、Ｂ５にあわせて拡大印刷されています。そして新品なのもあり、紙は白めに感じます。ただ、印刷はなんというか、コピー機やプリンター的な感じを受けるのですよね。つまりトーンの目が細かいところだと、潰れが出てきているような感じ。まあオンデマンド印刷なので、これは仕方ないのかなあと。まあモテモテ王国に関しては、もともと絵がそんな細かいものではないのでそんな抵抗はないですが、すごいトーンワークの作品だと、向いていないかもと思います。ただ、文字はしっかりしていて読みやすい。どっちかというとオンデマンド印刷って、活字向きなのかな？
ちなみに内容は、相変わらず今見ても相変わらず面白いです。特にサンデーで当時読んだけど未収録だった部分を見ると、黄金期のサンデー（『うしおととら』『帯をギュッとね！』『GM美神』などが連載されていた）を思い出します。しかし、巻末に「本書には、卑語、蔑視語（差別語）を伴った表現、現在では誤りとされる記述がありますが、本書をお読みいただけばわかるように、差別を容認するものでも、その観念を広めようとするものでもありません。」という手塚治虫の単行本ばりの記述があるのは、なんかギャグマンガ家にとってもやりにくくなってるのかなあと思ったりもします。
さて、このオンデマンド印刷、たしかに廃版となった単行本が手に入るということで便利なのですが、ネックは前述のような印刷と、値段なのですよね。1部から発行できるのはよいのですが、この『神聖モテモテ王国』の場合は1冊945円、7巻は1,050円とかなり高めです。逆に言えば、どれだけ少年マンガの単行本（400円強）が安値で出せているかということでもあるのですが。ですので、ブックオフでまだ売っているようなものだったら間違いなくそっちを選ぶでしょう。しかしながらこの本のように、普通に刊行、もしくは再版される可能性が著しく低い、そしてプレミアもついている、でも読みたいと思うものに関しては、それなりに効果を発揮するのではないでしょうか。少なくとも圧倒的プレミアがついているものを買うよりは、安く上がるでしょうし。ある意味、iTunesやソフトのDLサービスのようなものかも。願わくばもうちょっと印刷精度が上がればよいのですけどね。おそらくは現時点のサービスというよりは、長期間やって効果が出てくるように思えます。
ともあれ、興味のある方は試しに買ってみるのもよいかもしれません。
■追記（2017/10/10）
現在復刻しています。
