空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

仕事において「寝てない」を理由とする人は警戒しろという話

今日はなんだか新社会人講座(それも正確さを欠くかもしれない)みたいになるかもしれませんが、書いておかないといけないかなと思ったので。それは自戒も込めて(言わないけど、たまに頭をよぎるのですよね)。

数年前、雪印集団食中毒事件というものが起こりました。

雪印集団食中毒事件 - Wikipedia

ここで有名になったのは、社長がマスコミに詰め寄られた時に言ってしまった「寝てないんだ」発言。まあこれは焦りから出た言葉を報道がクローズアップしすぎたという点もありますが、それでも言ってしまったこと自体はミスでしょう。これによって、不祥事をしでかしても反省の色がないと受け取られるきっかけになってしまったのですから。ただ、何でこんなことを言ったのか、というのを今思えば気になります。それはこの「寝てない」が免罪符になる気持ちがあったのか、ということ。しかしそれはそうではないのは、その後の流れからも明らかでしょう。

さて、私自身もこの「寝てないんだ」という言葉を仕事で使われて、非常に嫌な思いをしたことがあります。それは、とある仕事で打ち合わせの度に「寝てない」を連発される。こっちが聞いていないのに連発する。まあ、それでもその職業は大変だとわかっているのであまり発注を急かさないでいたら、いつまで経ってもこない。でも、遅れる連絡もない。しょうがないのでこちらから急かしたら、やっと荒いのが来た。それでもいろいろあるだろうしと思ってなんとか工夫していたら、ある時点でいきなり進行の遅れを私のせいにされたというとんでもないことがあります。反面、その後に別の所で仕事した人は端から見ていてもそれ以上の仕事をしているのに(実際に血を吐いたらしい)、そのことをほとんど(飲み会の雑談くらいでしか)表には出さず、仕事をしていました。それ以来、仕事として「寝ていない」を理由にする人は逆に信用しないことにしました。

いや、これが仕事というか相手に迷惑がかかるもの以外なら別に言ってもいいのですよ。つまり、それを何かが成せない理由、人に迷惑をかけている理由にしない限りは。たとえば前述のように友人との雑談での会話とか、仕事仲間でも、直接的に影響しないところならば。また、サイト運営で眠ってないとか時間がないと言っても、基本的には「趣味」の範疇であるものがほとんどですし、期待してくれた人を待たせてしまって申し訳ない点はあるにしても、責任としてはそれほどでもないでしょう(これについてはちょっと後述)。しかし、仕事の場合はたとえ自分が寝ていようが寝ていまいが、ロスをしたらそれだけ迷惑をかける人がいるのです。なのにたとえそう言ってくるということは、どこかで免罪を期待しているのではないかと思ってしまうのですよね。

おまけに、この「寝てない」も、何時間寝たら寝ている状態になるのか、人によって変わるでしょう。そんな個人個人によって判断基準の違うものを理由としてもってこられても困ると。こっちのほうが睡眠時間が少ないこともあり得ますし。

これは「時間がない」も似たようなものですね。まあよくある話で、フリーの人に発注して「時間が足りない」と言ってたので期限を延ばしたら(この延ばす時点で判断がどうかって話もありますが)、ネットゲーをしていて進んでなかったという。

このように、「寝てない」「時間がない」というのを盾にする人は、要注意ではないかというのは、わりと言われているのではないでしょうか。ただ、そうは言いつつちゃんと仕事をする人とか、本当に客観的に見ても時間がない人もいますので、ここが問題をややこしくしている点だと思いますが。どっちかというと、そういう真実があるところに、理由としてあとから困った要素が入り込んできたというところですかね。

ただ、この問題をさらに複雑にするところに、この上で書いたようなことを、逆に詰め込ませる理由にしてしまう人(上司とか)がいるということです。つまりこっちが本気で時間が足りないのに、「それは甘えだよ」とか「それは君の仕事が遅いからだ」、「君の都合だ」と言って、無理矢理仕事を押し込んでくるというパターン。ああ、そうですか、貴方もそう言う目にあったことがありますか……と言われて頷いてしまう人も多いのではないでしょうか。これも、この「睡眠」などの「時間」の基準が個人個人によって違うことによるつけこみ(というと言葉が悪いですが)なのでしょうね。ただ、この上司の無茶が客観的にはそうではない、つまり単純に頼まれた側の仕事量が少ない場合というのももちろんあるので、また問題がややこしくなる。もう永久ループです。

こういう時、それへの対抗と出来るのは、「○○で××というスケジュールだから時間が足りない」という客観的な説得材料でしょう。そうすれば、相手も納得することがありますし(しない、というかするつもりもない場合もありますが)。だからこそ、このへんの時間感覚というのは大切なのですよね。私は新入社員自体にこれを痛切に感じました。というのは、新入社員時代に一番困ったことが、「これ、どのくらいで出来る?」と言われることだったので。だって、新入社員で仕事の時間配分が正確にわかる人はそうそういません。しかしあまり長い時間を設定するとクレームが来るのでいろいろ考えてその聞いてきた人が納得する時間を出すと、たいてい間に合わなくて残業になるということが多々ありました。さて、これ今思えばそれをわかっていて、仕事の時間感覚をつけさせるためにわざと聞いてきていたのか、それとも無理難題を時間配分のわからない新入社員だから押しつけられたのか、どっちだったのかなあと思います。

そんなわけで、「寝てない」(場合によっては「時間がない」も)を仕事に理由として使う人は、それの理由を具体的に述べられない限り、警戒しようという話。そして同時に、本当に睡眠時間が2時間とかで寝ていなくても、それを理由とするのはリスクがあるということで。もっとも、それを理由にしたりせず、仕事をきちんとこなすならいいのですが、そんな人には今まで会ったことがないので……これは、私の出会いの幅が少ないだけなのでしょうか?


◆おまけ
サイト運営のことについてちょっと余談。趣味とはいっても、やはりサイト運営の場合は、期待してくれている人はいると思うので、たとえ時間がなくて更新できなくても、その時間不足を盾にすることはせず、出来なかったら出来なかったという事実は受け止めるべきというのが私の方針です。それでも、サイト更新を優先すると、上のようにリアルで迷惑をかけてしまう人が出てきてしまう場合もあるので(その時間配分しっかりしろと言われればそれまでですが)、仕事のあるときはそちらを優先させていただいております。ご了承くださいませ。


◆追記
これは、私の職業上の経験なので、仕事の場所によっては結構状況も変わるでしょう。職場による違いの分析があるとおもしろいかも。