空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

三角関係の話は、主人公とヒロインをどうやって結びつけるかと同時に、どうやって他を退場させるかが重要

雷が近くに落ちたことで、いきなりブレーカーも落ち、パソコンもオチたことで半分書いていたエントリーも消えて落ち込んでいるナカモリですが、テンション上げて書き直します(HDDは雷対策つきUPSのおかげかなんとか無事でした)。


最近、ほんの少し時間が出来たのでライトノベル他本をいくつか読んでいます。今まではどうしても一瞬で読み終わるマンガに比べて時間がかかるので、腰を入れて読めなかったのですよね(あと、休憩時間にも文字を読むのは疲れるというのもあったので)。で、本屋で見繕ってきて『とらドラ!』とか『乃木坂春香の秘密』、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』等々。で、とりあえず前の2作を読みました。

で、『とらドラ!』や『乃木坂春香の秘密』には、三角関係的な要素があります。前者なんて特に顕著ですね。とはいってもそれらは今に始まったことではなく、大昔のドラマやマンガなどにも数多く存在するものです。それこそ少年誌でも『タッチ』や『うる星やつら』から、最近の『ネギま!』『ハヤテのごとく!』『瀬戸の花嫁』まで。少年マンガでは、男性主人公に複数女性というものが多いですが、逆に少女マンガでは女性主人公に複数の男性がいて誰と結ばれるかってのもあるでしょうね。

どうしてこうなるのかは別に難しいことではありません。そうしたほうが話が盛り上がるからですね。たとえばどっちと結ばれるかわからない場合は、読者にどうなるかというストーリー的ドキドキ感を与えますし、主人公とヒロインの間に入り込む、ある意味障害となるケースならば、それを乗り越えて結ばれたときの感動は増します。しかし、これにはそういったメリットばかりではなく、実は展開のさせ方次第によっては、逆効果になる場合もあるのではないか、と思います。それは「結ばれなかったキャラの退場のさせ方」の如何によって。

さて、ほとんどの場合、ラスト近くでその主人公とヒロインは結ばれますが、これは同時にその他のヒロインを排除してしまうわけですよね。まあ、ハーレムエンド的なものもありますが*1。しかし、多くの場合その三角関係のもう一方のヒロインって、話に絡んできているのですよね。ですので、結ばれない以上ここで何らかのはなしをつけてあげないと、読者からは「あれ? ●●(もうひとりの女性キャラ)はどうしたの?」と疑問に思われることがあるでしょう。それが読者からも嫌われるような邪魔者だったりすれば、それを乗り越えて結ばれるのはそんな難しくはないでしょうが、ものによってはほとんどメインのヒロインと同格になっている場合があります(『みゆき』『いちご100%』とかもそんな感じ)。となると、そのキャラクターを排除することは、ある意味ヒロインを捨ててしまう並の行為になってしまう場合もあるわけです。どの結果どうなるか。ことによっては、「主人公達が結ばれた」という話を、「主人公がそのヒロインを振った」という暗い雰囲気が潰してしまう……まではないにせよ、だいぶマイナスとなってしまうことはあるのではないでしょうか。その意味で、昔からどうも『みゆき』ではクラスメイトの方のみゆきが気になってしまっているのですよね(まあわずかに救済はされている感じですが)。あとは『モンキーターン』もややその傾向があるような。

つまりは、このような恋愛マンガの場合、主人公とヒロインをどうやって結ばせるかという反面、どうやって密接に絡んできたその他のキャラを、読者に反感を買わないように退場させるかということもかなり重要な気がします。ことによれば、幸せが保証されている場合が多い主人公とヒロインの扱いよりも重要かもしれません。これがギャルゲーだったりすれば、他のルートとかでそのキャラも救済できるという利点があるのですが、マンガや小説の場合結末はひとつですので、余計難しいことになるでしょうね(そういう意味で、マルチエンディングがあるゲームのコミカライズや小説化は難しいと思います)。

ちなみに今までこの手のものについての対処方法としてあったものとしては、『他の登場人物と結ばれる(これにより障害突破→ヒロインとの仲が急接近→結ばれるってパターンも多いですね)』『主人公が振る』『そのキャラが自分から察して身を引く』等がありますね。まあものによっては放置されるってのもありますけど。それでも、うまくストーリーの流れで処理をしないと、読み手に「え?」といろんな意味(そんな急に何で想いを打ち消せるのとか、そんなぞんざいなとか)で、違和感を抱かせることがあるでしょう。うまい作品というのはこのへんも工夫しているのではないでしょうか。

まあ何を況んやとすると、恋愛、もしくはハーレムマンガ(小説、アニメ)と呼ばれるものは、そういうところで意外と苦労しているものもあるのではないかと(苦労しないでラストがオイオイになっているものもありますが)。あと、ライバルとなるキャラの増やしすぎは危険だねと(とはいっても、明らかにらライバルにならないキャラは、一時の賑やかしにしかならないし、難しいところですね)。


ちなみにこれは少年マンガ系の話ですが、やっぱり少女マンガなどの女性向けマンガにもこういったものがあるのでしょうね。例えば女性をとりあう男のキャラなんてのはけっこうありそうですが(まあ男をとりあう男と男なんてのもあるかもしれませんが、それは私の知らない世界なので略)、最後にどうやって処理しているのかとかも考えているのでしょうね。まさか全部夕日の下で殴り合って「あいつのことは任せた」系のパターンではないでしょうし。このへん男性向けと女性向けの差を研究するとおもしろいかもしれません。

*1:スクランとか。