空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

ニコニ・コモンズは、プロよりアマチュア素材周辺の方が面白くなるかもしれない

『ニコニ・コモンズ』は少し前に話題になりました。

ニコニ・コモンズとは? - ニコニコ大百科

ニコ動、2次創作OKで新作映画を公開

ざっとですがあちこちの記事を見た限り、注目されているのは、プロ、すなわちテレビアニメや映画など、一度商業作品として注目されたものを、ニコニコ動画内での素材として利用できるという点だと思われます。たしかに、今まで曖昧だったところに、「公認」というお墨付きをもらえ、安心して創作が出来るのは作り手にとって大きいでしょう。そして、アマチュアの人もどうやら同じように素材提供を出来るみたいですが、今のところ現物が出ていないせいもあるのか、あまり注目を浴びていないように思います。しかしこのアマチュアのニコニ・コモンズ提供作品というもののほうが、プロよりも注目を浴びる可能性というのはあるのではないでしょうか。

プロの作品を利用して、二次創作を作る、というのは、現在でもあるMADなどですね。たしかにこれは商業作品として先に成り立っているので、その知名度を利用できるという面で利点がありますし、同時に権利者側も知名度をさらに上げるという利点があります(それをどう考えるかは、権利者ごとに異なるでしょうが)。

対して、アマチュアの作品は、多くの場合プロの作品と違い、知名度がありません。しかし、作ったものをニコニ・コモンズとして出すことで、知名度が上がる可能性があります。たとえば、自分のサイトでやっているオリジナルイラストやら、自作音楽をここにアップロードさせておけば、もしかしたら何万ものビューが集まるMADに利用されるかもしれません。それは一種のメディアミックスのように。そして、そこでMADとして見た人のうち、音楽を作っている人や、元イラストを描いている人を気に入る人が出て、その人の作品や、それが収録されているサイトにアクセスが集まる可能性もあります。

プロの場合もアマチュアの場合も、ニコニコモンズを利用することで「知名度が上がる」という点は同じですが、アマチュアの場合はプロ作品と違って、知名度がほとんどないものを高く上げるという違いがあります。現在、無数の自作品を発表しているサイトがありますが、これを個別に探すのは大変です(ニュースサイトさんも全部は広いきれていないでしょうし)。あと、どうしても数が多いので、かなり能動的に探さないと、それらを見つけられないのですよね。しかし、ニコニコは(現在のところ)注目が集まっており、能動的に探す人も多いです。となると、ここで使われるために自分の作品をアップロードして、映像作品としてメディアミックス的に使ってもらうことで、目立たせたいと思う人は潜在的にかなりいるのではないでしょうか。そしてその中には、プロ顔負けのものも出てくる可能性があります(極論、今のMADとしてにあるように、プロがアマチュア活動として提供するものも出てくるかも)。

今でも、初音ミクあたりで音楽を作った人が、イラストの上手い人と組んで作った動画が人気の出ることがありますが、それがもっと広い範囲で行われるという感じでしょうか。

となると、ニコニ・コモンズは、テレビでもない、マンガでもCD市場でもない、新たな作品発表の場となる可能性があるのではないでしょうか。それは、今まで統一的な発表の場があまりなかった(イラストに関してはpixivとかが最近出てきましたが)アマチュアとして魅力がそれなりにあると思われます。それに手軽さもあります。極論、自サイトで今までに書いたイラストや音楽をニコニ・コモンズの素材として提供するだけでも良いのですから。そして、ニコニ・コモンズ自体も、それ、つまりアマチュア市場の創設を狙っている、とも考えることが出来るのではないでしょうか。もっといえば、それにより見つけたものをプッシュすることで、美味しいところをとってゆくパブリッシャーとなると。

私の場合は、音楽に特に注目ですね。アマチュアで自サイトやmuzieなどで発表していたものが、ここでメディアミックス的に使われることで、一気にブレイクすると。それでうまく採算をとれるようになったら、レコード会社頼りの現在の音楽市場を覆してしまう可能性もあるでしょう。


まあ、すべては一次、そして二次創作者にかかっているので、始まってみないとなんともいえませんが(尻すぼみになる可能性も十分あり得るので)、プロ作品の流用ばかりではなく、ちょっとそういう面で期待したいと思います。