不祥事の際の停職、減給、戒告って、外部的には効果がないのではと思う話

最近、お役所やら企業やらの不祥事で、よく役員、及びその不祥事をしでかした社員(役人)に対して、処罰が発表されることがあります。でも、懲戒免職、減給などはわかりますが、その他がわかりにくいと思ったことはないでしょうか。ちょっとそのへんをまとめてみました。

国家公務員の処分については、国家公務員法の第82条に定められています。

第82条 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
1.この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第5条第3項の規定に基づく訓令及び同条第4項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
2.職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
3.国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

 ※参考……法庫さん

ここには、免職、停職、減給又は戒告が定められています。そして、免職 - Wikipediaには、主に3つの免職が定められています。簡単にまとめると以下の通り

  • 懲戒免職……懲罰的な免職。原則。退職金が出ない。
  • 分限免職……整理解雇。原則として退職金は支給される・
  • 諭旨免職……ほぼ自己都合退職と同意。現在では使われていない。

ついでに、停職は見ての通り1年以下の職務停止(言うまでもなく、その分の給料は支払われない)、減給は給料の減額です。ちなみに労働基準法第91条で、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないそうです(参考:減給 - Wikipedia)。つまり、ニュースで聞くものは100分の10など低いと思われることは多いですが、それは法律上出来ないみたいです(それが盾になっているとも言えますが)。

そして戒告は、ぶっちゃけて言うとお説教。ただ、普通に怒られるだけではなく、制度上は、これにより、勤務評定が下がるために、給料査定や昇進などに影響があるということです。

ついでによく聞くものに「訓告」というのもがあります。これは法律の根拠によって行われているため、上のような評定に影響が(制度上は)ないということになります。つまり、同じお説教を受けるのでも「戒告」と「訓告」では差があるということ。

これは国家公務員法のものですが、よく一般企業の処分でもこれをと同じようなケースが多いです。たとえば毎日新聞の場合、記者を懲戒休職3カ月、編集部長を役職停止2カ月、当時のデジタルメディア局次長を役職停止1カ月、その他役員報酬の20%(1カ月)、役員報酬10%(1カ月)を返上する処分がなされました。(給与ではなく、役員報酬なので20%が可能)。

さて、ここで思ったのですが、これ、確かに内部的、個人的にはそれなりに処分となるかもしれません。しかし、外部的には、つまり、不祥事が起きた際に外部に対してその粛正をアピールする目的としては、免職以外の処分はたいした効果はないのではないでしょうか。というのは、その処分が下されたからといって、その人の給与がどう動いたか、そして昇進にどう影響したかは、外部からは事実上わからないため。ましてや昇進なんて、トップに就くのでもなければ、注目されないものですし。実際、その組織を出て、密かに別のところに移っている場合があり、たまに週刊誌ですっぱ抜かれますね。というわけで、その騒動を収めようとして処分を発表しても、実は内部の人間が思っているほど、停職、減給、戒告は効果がないように思うのですね。もちろん、内部の綱紀粛正が目的であり、外部的アピールが目的ではない場合もあるでしょうが、少なくとも、外部にはそう思えると。

いや、まだ国家公務員法で規定されている身分の人は、それに(抜け道があるかもしれませんが)基づきますが、民間の場合、懲罰に法的根拠がないため(それを律する法は、各々の会社の社則)、たとえ減給、戒告とアピールしても、どこか抜け道があると、外部の人は思ってしまうのではないでしょうか。つまり、騒ぎが収まったころにこっそり別名義で手当てを支給したり、重役に昇進したりと。それは本当に処分がなされて、昇進に影響しているとか、給料が減っているとしてもです。ましてや、一度不祥事(裏切る行為)を起こしているのですから。*1


ここのところの不祥事で、謝罪会見後の処分発表の際に、こういったものが発表されますが、外部の信頼回復に対して効果があったか、と言われるとないんじゃない? という感じがするのですよね。それにたとえ退任でも、船場吉兆の元社長が事実上の院政をひくんじゃない? と感じた人はそれなりにいると思います。

つまり、こういった処分は、それ以外の有効打を見つけ出さないと、結局は信頼回復に繋がらないのかなと思います。もっとも、それが何かわかればみんな苦労はしないのですが。

*1:それがばれて、株主に糾弾される場合もあるでしょうが。