下請けに負担をかける構造がマンガ界やゲーム界にも波及していると思う話

雷句誠先生が小学館に対して訴訟を起こしたという話が話題になっています。これについて、業界的的、及び編集者と漫画化の関係的側面からいろいろ考えてみたのですが、今日はそのあたりで思ったことを書いてゆこうと思います。

なんとなくこのニュースを見て、デ・ジャヴを覚えたのですね。それはこれだと。

バラエティが腐らせたテレビ スポンサーはそっぽを向く芸能評論家の肥留間正明氏に聞く : J-CASTニュース

ちょっと前に言われた、現在のテレビ業界がかかえる諸問題。

テレビ局の社員に番組を作るノウハウがなくなってしまったからですよ。例えば、5000万円で1時間ドラマを作るとすると、テレビ局が2000万円を抜いて下請けに出す。さらに下請けが2000万を抜いて、結局孫請けが残りの1000万で番組を作る。そんなピンハネで、いい番組ができますか。

つまり、現在の制作はだんだん本局ではなくて子請け孫請け制作会社の方が担当し、それの費用的負担が下にのしかかってくるという感じ。そしてもうひとつ

アニメ産業に関する公文書: たけくまメモ

スポンサーから1本あたり5000万出ている制作費が、なんだかんだで現場に着く頃には800万になっているそうです。

これは前にもうちでちょっと書きましたね。

■参考:

そして今回もう一つ、興味深いものがありました。

ゲーム業界は小学館の週刊少年サンデーより酷い状況と現状を訴える

まあ、やや誇張はあるとは思いますが、それでも現在、制作が下請けになるケースは増えているのは確かです。それによる不利益がある場合も存在するでしょうね。

でもこれ、よくよく考えてみると、多くの産業、車や家電製品の製造、はては建設事業であった下請け、孫請けの構造そのままなのではないでしょうか。それがそのままテレビ業界、アニメ業界、ゲーム業界、そしてはてはマンガ業界にまで入り込んできたと。

さて、ここで雷句先生の場合で考えてみると、マンガ家というのはフリーの請負業です。アシスタントだって自分で用意しなければいけませんし、設備(道具)投資もそうです。しかし、それに対しての保証はほとんどなく、打ち切られればはい、それまでよ、な世界ですね。これ、つまり発注元がなければ生きてゆけないと。しかしながら、前述のように上の力が強い下請けは、数々の問題を生み出します。一番顕著なのは、たとえ不利益があっても逆らえなくなることでしょう。たしかに法制度はありますが、それを行使するのは非常に面倒で、且つ二度とそこからは発注が来ないようになるでしょう。このように個人事業者というのはそのリスクを抱えています(ですから報酬が高めなのですよね)。

かくいう私も、出版系の仕事では幸い酷い目にあったことはないのですが、そのほかの仕事ではいきなり不条理な要求をつきつけられて、それぐらいならまあ立場的に我慢するにせよ、はては一方的な未払いをかまされたこともあります。あの社長……っと、このへんで抑えておきましょう。

とはいえ、上のほうがリスクを負っているので、多少発言力や取り分が多いのは仕方ないと思うのですよ(未払いはともかく)。ただ、現在はそのバランスが適正かどうか、ということですね。

■参考:404 Blog Not Found:一漫画読者の意見 – 産みの親より育ての親 – の方がひどい!?

再びマンガ家の場合で考えてみると、現在の状況はその窮状と酷使*1を訴えて立ち上がった下請けとその発注元という構造。さて、この時に発注元はどう動くか、そして他の下請けがどう動くかというのを考えれば、今回の動きをいろいろと察することが出来るように思います。だけど幸い、雷句先生は多数のメーカーから部品の発注が来る優良事業所だったために大丈夫そうですが、そうでない場合はどうなっていたでしょうね……。

だけど、私が昔から聞かされていた(マンガとかで見た)編集者とマンガ家の関係って、こうではなかった気がするのですよね。これは、昔からこうだったのに、隠していた(のが今になって漏れ出した)のか、それとも最近こうなってしまったのか……どっちなんでしょうね? まあ一部で全体を見るのも愚だと思うので、きっといいマンガ編集者もまだまだいるさ、だけどそういう人はうまくいっているからこそ、声を上げないんだと夢見つつ今日はこれまで。

*1:ここでいうのは雷句先生の立場からのものですので、実際は小学館側の言い分を聞かないと正確なことは断定できない、という注釈も入れておきます。

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