空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

マンガ単行本の紙質は悪くなってゆく宿命なのか

先日、とあるA5サイズのマンガ単行本を買ったのですが(名前は伏せておきます)、それを明けた途端妙な違和感が。正体はすぐにわかりました。紙に微妙に色がついているのですよね。新品なので、一瞬保存状態が悪くて日焼けしたのかと思いましたが、触ってみるとどうやらそういう紙質のよう。なんとなく学生時代にテストで出た藁半紙を上質にしたような色。まあ、読めることは読めるけど、単行本を読むにしてはちょっと気になるなあという感じ。まあそれが単行本では少数派だったのでそう感じたのかもしれませんが。

ここで気になって、自分の手持ちのいろいろな単行本を集めてきて、インクがのっていないところをよく見比べてみました。すると、紙質がだいぶ違うのですよね。少年マンガ誌の単行本と4コママンガ誌の単行本では、ページをめくるときの堅さが違うので多少はわかっていたのですが、改めて見直すと決行違うなあというのを実感しました。製紙業でもないので紙質については詳しいことはわかりませんが、なんとなく高いほうがいい、というか漂白が強いのか白っぽく堅い感じ。逆に安い少年誌タイプのものは、それに比べるとやや黄色がかっていますが、気にはならないレベル。でもよく見ると、再生紙にある糸くずっぽいものが混じっていることも(ごく希に、それがキャラの顔にかぶって鼻毛みたいになったりすることも)。あと、同じサイズであっても出版社によって、さらにはシリーズによって紙質が異なるみたいですね。


さて、ここで思ったのですが、この紙質、昔の単行本から変化しているのか、ということ。というのは考えてみると、同じ形式のもの(少年誌サイズのとか)において、出版社が紙の質を上げるメリットがほとんどないのですよね。「紙の質がいい」という理由で、マンガを買う人はほとんどいないでしょうし。
しかし紙質を落とすことによって得られるメリットと思われるものは出版社にとってはたくさんあります。まずは原材料費が安くなること。それによって利益が増えますし、そうではなくても定価を下げられ、客に購入意欲を与えます(ちなみに最初の本も、同じような他社の単行本と比較して、値段が100円近く安かったので一概に非難できないです)。さらに現在、新古書店の台頭による売り上げの圧迫が叫ばれることがありますが、そういうものの対策として紙質は長持ちしないほうがいいのですよね。長持ちするような立派なものだと、それこそ新刊を買うのと差がなくなりますから。たしかに新刊本屋に置いておいても古くはなりますが、そこは再販制度がある以上、返本できますし。

となると、知らないうちにマンガの紙質は悪くなっていても不思議じゃないかと思ったのですね。ただ、何年も前の単行本は経年劣化しているので、比較が難しいのですよね。それに、時代が進むってことはもしかしたら製紙会社の努力で安い金でいいものを作り出せるようになっているのかもしれませんし。でも、数年前に比べてなんだか日焼けで黄色くなるのが早くなってきたように思うのは、私の気のせいでしょうか(単に歳とって時間の経過を早く感じるだけかも)。まあ、何度も出してくれる有名なマンガならともかく、自分のお気に入りだけど再販がされないマンガが黄色くなって読みづらくなるのはちょいと辛いなあと。


これから先、今までのような出版不況や新古書店問題に加えて原材料高もふりかかり、かなりマンガの状況も厳しくなることでしょう。その時単行本の紙質に加え、価格や装丁はどうなってゆくのか、興味深いところだと思います。とりあえず、私に出来ることは、直射日光にあたらないように、、虫が食わないように保管するくらいかな。