時間がないものに「ソフトランディング」という言葉が使われた時は注意した方がいい

このようなニュースがありました。

ニュース自体はある程度予想されていたことであり、且つ地デジ関連は部分的にかいつまんでも混乱するのでまた機会を改めるとして、ここで気になったのは以下の言葉。

 「権利者を失望させないようソフトランディングしてほしい」
先送りが濃厚となるなか、日本民間放送連盟の広瀬道貞会長は22日の記者会見で、メーカー側に譲歩を求めた。

この「ソフトランディング」という言葉がやけに引っかかったのです。その理由は後に書くとして、そもそもこういった飛行機ではない分野で使われる「ソフトランディング」とはいったいどのような意味なのでしょうか。

飛行機からとった比喩かと思っていたのですが、調べてみると経済用語で定義されているみたいですね(まあもちろん比喩でもありますが)。つまりは、バブルなどで景気が異常に加熱してしまった場合、後に来るであろう下り線をゆるやかに落とすことによって、ハードな急降下を防止して、出来るだけ悪影響を少なくするという感じ。

ちなみにわかりにくい場合は、わかりやすく教えてくれるものがあります。それはこれ。
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さよなら絶望先生(10) (講談社コミックス) : 久米田 康治

第九九話「着陸の栄え」にて「ソフトランディング」がネタになってますね(アニメでもやっていたみたいですが、見ていないので不明。とはいえ「着陸の栄え」でぐぐるとアニメの方が多く出てきますが)。この辺を読めば、なんとなく感覚はわかった「感じになる」でしょう(経済はともかく)。

さて、私がこの「ソフトランディング」という言葉に引っかかる理由ですが、以前、ここを見たからかなと。

山一證券 – Wikipedia

90年代に経営難で廃業した会社では、おそらく一番有名なところではないでしょうか。ここの、特にバブル期以降が面白いので読んでいたのですが、ここにあった、前経営陣から大幅な負債を隠されたまま、最後の社長(野沢正平氏)に引き継がれた時のことについて書いてある文章。

野澤も五月女も、2,600億円に達していた簿外損失については就任するまで知らされていなかった。8月16日土曜日の朝、2人は常務財務本部長・渡辺正俊、常務企画室長・藤橋忍、取締役債券本部長・木村亨から簿外損失の存在を聞かされた。報告をした3人も行平や三木の指示があったわけではなく、新社長と新会長がこの重要事項を知らないのはまずいということで自主的に説明にきた状態であった。野澤・五月女はあまりのショックの大きさにしばらく立つこともできない状態だった。ようやく立ち上がった二人は、報告した3人を連れて近くの中華料理店に出かけ、昼間から紹興酒の杯を重ねた。

野澤と五月女は、翌週月曜日の8月18日には企画室と経理部のメンバーで簿外損失処理のためのプロジェクトチームを立ち上げた。これは、「新生山一」の頭文字を取って「Sプロジェクト」と呼ばれた。その翌日8月19日に2人は行平を訪ねている。「いったいどうするつもりだったんですか」という2人の質問に、行平は「とにかく業績を上げて消していくことだ。ソフトランディングすることだよ」と対応した。

ここのインパクトが大きかったからというのがあるのかもしれません。

たしかに経済は流動的です。そして最初にあったように地デジ移行も流れを止めることが出来ないものですから、ずっといい状態(現状)のままというわけにはいきません。それを以前からの計画として(将来的に)ソフトランディングさせる、というのは良いでしょう。しかし、山一にせよ地デジにせよ、その段階でそんなことを言っている場合か? なんですよね。もし、景気が急激に落ち始めているときに「ソフトランディングが重要」なんて言葉を使う人がいたら、笑われるでしょう。すでに墜落途中なのですから。前述の絶望先生における「着陸の栄え」の「(漫画家の)連載終了空港に着陸せよ」だったら、連載終了が切り出せずにだらだら続いてしまい雑誌の部数が大幅に落ち、結果として(大)作家を強行的に打ち切りにして怒りを買うという二重の災難になる感じ。

つまり、もう飛行場が近づいているのに高度の下がりが十分ではない感じ。どうも最近、こういった燃料が切れかけて、もうランディングを見直す余裕もやり直す余裕もないところで、苦し紛れにこのような「ソフトランディング」という言葉が使われることが多いような気がするのですよね。で、結末は山一のように墜落。そこまでいかなくても、かなりのハードランディングで着地せざるを得ないような。

ということで、ソフトランディングという言葉は、使われようによっては警戒した方がいい場合もあるってことで。このように、一見立派なことを言っているように思わせて、実は実態はかなりアレなことってのは数多くありますよね。それが、包み隠さない場合よりも悪い方に働かなければいいのですが……。

ちなみに、私個人の考えではもう地デジはソフトランディングはあり得ず、最低でも誰か(視聴者か提供者かはわかりませんが)が多少の怪我をするハードランディングだろうと思っていますが、それでも無事着地してくれることを望みます。クラッシュしたら目も当てられませんので。

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