空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

マンガの第2弾モノは本当にコケるのか

『サルまん2.0』が連載中止となってしまったようです。

「サルまん2.0」突然の連載終了!作者自ら失敗談を語る!!

これにつきましてはいろいろ思うところがあるのですが、原作者の竹熊さんのブログ『たけくまメモ』において、そのうちコメントがあるみたいなので、それを待ってからにしようと思います(とはいえたけくまさんのことだから、私が思っているようなことは全部書かれてしまうかもしれませんが)。

さて、ここで情報元であったゴルゴ31さんのコメントに関心が惹かれました。それは「第2弾モノはコケるというサルマンに出てきた話をある意味証明してしまった形に……。」というもの。そう、この元祖『サルでも描けるマンガ教室』では、連載内連載「とんち番長」が少年誌で引導を渡された後(まあ最後の方はあの有名な電波マンガでしたからね、それを連載に載せていた方がすごいと言えばすごいけど)、2をひょっとこ電子というゲーム系出版社が創刊する雑誌に載せないかという話になり*1、『とんち番長2』を開始しますが、数ヶ月でコケます。そして上のように第2弾モノはコケるということを忘れてたとつぶやく。

でも、マンガで「2」とか「○○編」とかがタイトルについているものってそれなりにありますよね。代紋Take2とかそういうボケは置いておくとして。*2(ついでにゲームのコミカライズの都合上、2がついているものとかも除外)。露骨に2がついているのはイートマンの吉富昭仁氏の作品『ローンナイト2』とか。でも、この作品はそれなりに続き、失敗したとまでは言いづらいです。あと、最近では『JINKI』が『JINKI-真説-』という名前でやってますね。こちらも滑り出しではありますが、まあ好調な感じ。では、「第2弾モノはコケる」ということは否定されるのでしょうが。


実は「第2弾モノ」といっても、実は作品により事情が異なり、それによって性質が全く異なるでしょう。ひとつは、サルまんでも描かれていたように、人気作が終了後、どこかでそれの続編を始めるパターン。そしてもう一つは上のように、とある事情で前作が途中で終了し、諸般の事情(主に権利関係)で、前と同じタイトルを使うことが出来ずに『2』をつけたりタイトルをつけ足したりで、前の続編のように見せかけるもの(心機一転するのでそうする場合も)。

これら2つの大きな違いは、「すでに終わっているもの(話的にではなく、人気的にも)」か「まだ終わっていないのに終了して(させられて)しまったもの」かの違いです。つまりは、前者は話や人気の波が一度おさまっているのに対し、後者はまだその波の最中なのですよね。つまり厳密な意味では、後者のようなものは第2弾モノでも続編でもないと言えます。最近なら、『ARIA』とその前身『AQUA』が内容的に変わりないことがそう言えるのではないかと。名前が変わっただけですので。ちなみにこの名前が変わるという事情、お家騒動で連載陣が新雑誌に移ったときによくあります。『ローンナイト2』は(ついでに『電撃コミックGAO!』創刊も)その影響でしたね。あとは前述の『ARIA』もその影響を受けています。あと、同じ雑誌内連載でも、タイトルをちょっと変えるってのもありますよね『3年奇面組』→『ハイスクール鬼面組』や*3、『コータローまかりとおる』→『コータローまかりとおる 柔道編』→『コータローまかりとおるL』みたいに。

対して、サルまんでの例のように、すでに終わっているものを持ち上げでも、それは失敗する可能性は高いでしょう。「波が収まった(つまらなくなった)」という記憶自体が読者を占領しているのですから。例えれば、すでに人気の波が収まってしまったゲームの続編をリリースしても、売り上げが全然伸びないのと同じ感じでしょうか。

まあ、旧サルまんの時代には、現在のように連載がそのまま他社の雑誌に移るなんてことは、それこそお家騒動でもない限りは考えられなかったくらいなので、「第2弾モノ」といえば、そういった「一度連載が終わってから、またすぐに出た続編」のことだったのだと思います。つか、具体例を思い出そうとしているだけど、どれも壮絶に失敗している感じがするので、記憶にも残っていない……。


ここで、異論がある人もいるでしょう。じゃあ『キン肉マン2世』や『ミスター味っ子2』、『エンジェルハート』はどうなんだと。まあたしかにこれも第2弾ものですよね。しかしこれらは、旧サルまんの時代にはあまりなかった現象だと思います。
これらは、前作が過去の大ヒット作であり、一度完結し、波が収まったものの第2弾と言えるでしょう。しかし、どれもわりと成功してします。これは何故か。おそらくは、「波が収まった」という記憶自体がかつての読者から消え、面白かった思い出だけが残っている点が大きいと思えます。さらに、間が開いているために、前に読み慣れた展開もほとんど忘れていて、わりと新鮮な感じで読めると。それは昔読み尽くした過去作を10年ぶりに読むように。故に、これは旧サルまん時代から変わった、第2弾ものの新しい現象だと思えます。

ただ、これらの第2弾の大きな欠点としては「決して前作を越えることが出来ない(もしくは非常に困難)」というところがあるように思えます。それは、前作の影響があり、このマンガがその人気に意図していようが意図しなかったであろうが乗っかってしまっている以上、その枠から逃れることは、おそらくは新作を作るより難しいかと。


さて、今日書いたことを実はたけくまさん達もわかっているので『サルまん2.0』の終了を決断されたのではないかと思えるのですが、それはまた日を改めて。

*1:当時から思っていたけど、おそらくは当時参入したばかりのエニックスがモチーフだろうなあ。

*2:とはいえ、このマンガのタイトルはじめて見たときには、続編ものかと思った自分。

*3:『フラッシュ!奇面組』についてはノーコメントで。