Amazon倉庫転売厨終了事件の解説

ネットで騒ぎになっているのがこの事件。

“転売ヤー”に、Amazonが最後通告 Amazonで商品確保、ヤフオク空売り – ITmedia ニュース

ただ、ヤフオクやAmazonになじみが薄い人は、何が起こったのかよくわからない人もいらっしゃるかと思います。そこで、自分の中で整理するのも兼ねて、この事件の顛末を簡単にまとめてみようと思います。

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経緯は?

最大手ネット書店Amazon、ここでは当然買ったものを送ってもらえます。決済方法では、カード、代引きの他に「決済をコンビニなどで振り込みでできる」という特徴もあります。しかし前の2つと異なり、これだけは入金後の発送。まあ商品受け取ってトンズラ防止のためには当然ですね。しかしこれを悪用したのが今回の事件。

つまり、「その商品を購入しておき、コンビニ支払いにしつつ、代金を払わない」というもの。そうすれば、その商品は購入の予約がかかったまま、送られない状態になります。つまり、Amazonが「取り置き」をしているのと同じことになるわけです。そこで、転売を目的として、それを悪用した人が現れました。すなわち、その取り置き状態を利用して品物を確保しておき、ほしいと思う他者が現れた時にAmazonに代金を払って、発送してもらうというもの。つまりはこれは「倉庫代わり」ということ。

具体的には、Amazonで商品を(もちろんコンビニ決済を指定して)購入、もしくは予約し(主に狙われたと思われるのは、初回限定や完全限定のゲームなど、限られた量しか売られないもの)、それをYahoo!オークションなどで販売するというもの。こうすれば、事実上元手はいらず、そのままヤフオクでの落札額−Amazonでの購入額の差額が手元に入ってくるという仕組み(ちなみにここですでに規約的な問題があるのですが、これは後述)。おまけに、Amazonでは発送先の住所を指定できますから、ここで1500円以上のものであれば、送料をその転売者も落札者も(いや、もしかしたら転売者が上乗せしてとっているかもしれませんけど)払うことなく、送られてくるという仕組み(追記:ヤフオクを使わずとも、自らネットショップを開設して、同じことをしている可能性もあります)。

追記:IT Mediaの記事によると、今までは通知メールを受け取ってから5日以内に代金を振り込むルールになっていたけど、実際はキャンセルなどは行われず、メール送信から5日以内に振り込みがなくても、商品を確保し続けていたためにこういった現象が生じたみたいです。

これが広まり、転売屋の多くがこの方法を使うようになりました。おそらくは2chオークション板の書き込みあたりから広まったと思われますが、確認が取れていないので(コピペの経緯とかあるけど、こちらも確認がとれていませんし)。そして、それはどんどんエスカレートし、人によってはAmazon購入額にして、数十万円分をその取り置きにしていたらしいです(このへん2chの書き込みですから、実態がどうだかは不明)。

しかし今回、そういう行為をしていた人間のもとに、メールが送られてきました。その内容をまとめると以下の通り。

・5月30日までに今まで振り込んでいない商品の代金を支払って。
・そうしないと、このアカウントだけじゃなくて、関連するアカウント全部永久停止(当然新規登録も不可)。

そこで、今回の騒ぎになったというわけです。ちょっと図を作ってみました。

Amazon転売システム

なんでAmazonはそういう処置に踏み切ったの?

おわかりの方も多いと思いますが、その取り置きしていた商品がキャンセルされた場合、単純に売れないからもう一度出品というわけにはいきません。商品には売れる時期というものがあります。つまり、売れ筋の時期には売れたであろうものも、キャンセルされて戻ってくると、もう商機を逸している場合も多いのです。たとえ限定でも、発売後数ヶ月経ったゲームを手に入れたい人はぐんと減っているでしょう。実際、当初は限定で高くなるはずなのに最近バーゲンで安値になっていた『アイドルマスター ライブフォーユー!(オリジナルアニメDVD同梱版) 』は、これの影響(取り置き→キャンセル続出)か、とも噂されています。

つまり、これらの転売者により、Amazonは大幅な機会損失を食らっていたわけですね(厳密に言えば、30日までは支払われる可能性もあるので、「売掛金がたまっている状態」でしょうか)。それだけではなく、肝心なときにほしいものが売り切れているということで、信用を落としていたという面もあるでしょう。それに対しての処置が今回のものだと思われます。

なんで転売者はこれらをキャンセルしないでAmazonに払うの?

まず、アカウントを取り消されるというのもあります。転売を続ける人は、Amazonは大きな仕入れ先&売り先ですから、ここを止められると死活問題という人もいるでしょう。しかも、『関連アカウントを含むお客様がお持ちの全てのアカウント』と書いている以上、自分のアカウントはもとより、例えば同じ住所の家族など、関係あると思われるところすべてがアカウント停止を食らう可能性があります。つまり、周りの人に迷惑をかける可能性もあるのですよね。少なくともそういうことをしていたとバレるわけで。さらに上で書いたように、購入の意思がないのにそうした行為を行っていたとなると、最悪「営業妨害」として、訴えられるケースも考えられます。

それを防止するために、可能ならば支払っているというところがあるのではないかと。そうそう、もうひとつ忘れてましたが、仮にヤフオクで落札者がいた場合、現在発送されずという状態なのですよね(全額払うまでは凍結みたいです)。となると、出品したものがない、ということで発送できず、「非常に悪い」評価がつく上、下で説明する規約違反でヤフオクのアカウントも停止される可能性もありますね。(追記:全額ではなくても金払った分は送られてきているという情報もありました(真偽不明)。まあ、払った分はそうなっても不思議ではないかな。結局は全額払わないとアカウント停止になる可能性は高いですが)

その他問題

これ、一見規約の穴をついた形に見えますが、(ブクマコメントにも書きましたが)実はヤフオクの規定に引っかかっているのではないかと。

http://special.auctions.yahoo.co.jp/html/rules/sell5.html#q_06

ここにあるように、ヤフオクでは落札代金を購入資金に充てることを禁止しています(もともとは自転車操業防止で作られたものですが)。前に説明したようにAmazonでの商品購入は落札者の代金をもとにしているので、これに思い切り引っかかっているのではないかと。

これから予想される動き

前に書いたように、キャンセル者に対しての本人及び周辺へのアカウント停止、そしてことによると法的な動きがあることも考えられます。あと、30日以降にキャンセルした人の商品(限定品)がAmazonに復活するのでは、もしくはバーゲンに出るのでは、ということも噂されています。さらに、もととなった「コンビニ振り込み」の決済に関しては、今回のようなケースを防止するためにやや厳しくなると思います。例えば●日後までに入金がなかったらキャンセル→ブラックリスト入りとか。まあ、そのへんは経緯を見守りましょう。

注意

調べてみると、Amazonでのアカウント削除は(良きにせよ悪きにせよ)かなり徹底しているようです。したがって、削除された人と似た情報を持っているだけで怪しまれる可能性があります。ですので、これからいきなり誰かがAmazonでかわりに注文して、発送先をその人の家にしてくれるように頼んだとしても(つまり名義貸しね)、なるべく断った方がよいでしょう。その人がアカウント削除されていた場合、巻き添えを食う場合も考えられますので(手渡しならともかく)。

最後に

感じたことですが、これを掲示板などで見てやった人は、「何故、この情報が公表されたのか」ということを考えなかったのでしょうか。一人でやればもうけるための方法を、何故、人に教えたのか。私は基本、こういったものが書かれていても、最初に「怪しい」と思うタイプなのでやれません。

可能性としてあるのは、

・英雄視を求めた
・その行為はそろそろ使えなくなると思ったから捨てる意味での情報公開
・巻き添えを増やした

のどれかと思います。
上ふたつはそのままとして、「巻き添えを増やした」というのは、自分だけだとピンポイントで法的手段を食らうので、騒ぎを大きくして自分の存在を隠した人がいる感じ。いや、おそらくすでに今引っかかった人を隠れ蓑に離脱しているかもしれませんね。

基本、この転売で損をしたという人がいたとしたら、儲かります系の悪徳商法に引っかかったのと同じ、すなわちもうけるつもりがだまされたというのとたいして変わりないと思います。まあ悪いですが全く同情はしませんけど。

ま、ネットショップに迷惑かける行為はよしましょうということで。

追記

その後。

Amazon倉庫転売厨終了事件はその後どうなったのか
前に、Amazonのコンビニ決済を利用して倉庫代わりにしていた人が、アカウント停止警告のメールをもらったという出来事がありました。あれがどうなったのか、気になっていたので、たまに調べていました。で、今回それに関連して、もうひとつ見逃せない点が出てきたので、それもふまえて、上のエントリーで書いたもののそれからについて書こうと思います。
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