マンガ雑誌の対象年齢の概念というものが薄くなってきているのではないか

昨日『ヤングサンデーは何故部数が低迷したのか、マンガ雑誌の連携という点から考えてみる』を書いていて、途中で思ったことから。

昨日は「ヤングサンデーが衰退したのは、マガジンやジャンプと比べて少年誌(少年サンデー)との連携性が薄く、読者の移行がうまくいってなかったから」というのを書きましたが、それは理由のすべてではないでしょう。いや、それどころかこの理由自体、今となってはあまり重要ではなかった可能性もあるのです。というのは「そもそも今、少年誌卒業してヤングマンガ誌移る人ってそんなにいるの?」ということ。

昔、私が子どもの頃以前には、それなりの年齢になると、少年誌を堂々と読んでいると子どもっぽいみたいな風潮があったように思います(それこそ『よろしくメカドッグ』が連載されている時代のジャンプとか。なんとなくコロコロっぽい感じの熱い系マンガも多かったですね)。そして多少周りを意識して、学校とか公共の場所ではヤングマガジンとかを読む人がいましたね。今なら中二病と言われそうですが。まあ、私も似たようなことをやったのですが、いろいろ買い出したもので残ったのが、当時黄金期だった『ビックコミックスピリッツ』と、ぶ厚くなりはじめていた『アフタヌーン』。あと『ビックコミックオリジナル』。特にアフタヌーンの魅力はこの前『15年前の『アフタヌーン』について語ってみる』で書いたとおり。

このように、昔は少年誌は少年が読み、ある時期になったら卒業してヤング誌に移り、そしてある程度年齢を経るとまたそれを卒業して……という流れが出来ていました。しかし今、その通りになっているか、と思うと、外部から見た限り、かなりその色は薄れているのではないでしょうか。

前述の頃からちょっと進んだ学生時代、すなわち私が小学校高学年〜中学生くらいになると、中高生が少年誌を読むことも自然となり、中高生やも平気でジャンプやマガジンを読んでいたように思います。ちょうどジャンプ600万部超の黄金期でした。ちなみにサンデーを買って、読み終わったらマガジンとトレードしたのは水曜の思い出。

そして昔(10年以上前)ならば電車内では少年誌を大人が読むのは恥ずかしい、だけど中綴じ系のヤング誌やビックコミック系ならばいいみたいな風潮があったように感じますが、現在、特にサラリーマンが少年誌を電車内で読んでいても、不自然な光景ではないでしょう。単行本だって、コンビニの廉価版ならキオスクに売っているようなのを読んでいる人などいくらでもいます。(まあ、年配の方には不快に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことを言い出すと、昔は小説なんて女子どもの読むものだったとか年代ギャップ的な話になってしまいますし)。

このように、雑誌による対象年齢の概念というのが、今ではだいぶ薄れてしまったのではないでしょうか。少年誌以外でも、ビックコミック系を読んでいる学生(まあ私もそうでしたが)、昔ならば漫画を読んでいなかったような初老の人がマンガ誌を読んでいる光景も見かけます(ちなみに麻生太郎氏は67歳ですが、そのあたりの人)。これはいろいろ原因があるでしょうが、少年ジャンプ黄金期(ひいてはマンガ黄金期)世代がずっと少年誌を読み続けていること、そしてメディアで数々の作品が形を変えて露出するにあたって(アニメ、ドラマなど)、年齢の流れで漫画を読む概念がなくなっているのかも(ちなみに『北斗の拳』は、パチンコで部数がまた伸びたらしいです)。

もちろんその流れも昨日書いたように残っているとは思いますが、昔みたいな絶対的なものではなくなっているでしょう。つまり、昔はある一定の時期にさしかかると、意識的にヤング誌に移っていた行為がなくなり、少年誌を読み続ける、もしくはヤング誌に限らず、一番面白いマンガ誌、いや、一番面白い娯楽媒体(ケータイ、ゲームなど)に移るようになったと(このへんに出版不況の一因もあるような気がします)。

最近だと、『月刊少年ジャンプ』の光景的位置づけの『ジャンプスクエア』がやけに少年誌ではなく全年齢っぽいラインナップになっているのも、このような年齢分け概念を過去のものとして、少年だけではなくすべての年代をとりこもうとしているのかもしれません。

となると、ヤンサンが危ないのと同じく『ヤングジャンプ』『ヤングマガジン』も危険、ということになります。ただ、これらの雑誌は単品でもそれなりに読めるラインナップがあり、ヤング誌という位置づけではなくてもマンガ誌としてそれなりに安定しているので(最近は休載が多いヤンマガが気になりますが)、まあ当面は大丈夫かなと思います。ま、結局のところ「そのマンガ雑誌が面白いかそうではないか」が一番重要なのですよね。

しかしこう考えると、以前は『『コミックヨシモト』が中年層向け漫画誌だった理由を考えてみる』とかで対象年齢の高いビジネス雑誌を狙うのは悪くはないみたいに言いましたが、入ってくる人は対象年齢が高くなればなるほどすでに読んでいる雑誌の分いなくなるわけで、今から新創刊するとなると、相当分の悪い勝負をしかけなければいけないのかもしれません。*1


しかし、コロコロに次いで長年児童マンガ誌の大きな存在だった『コミックボンボン』、メディアワークス設立以来の雑誌であった『電撃コミックGAO』、そして「ジャンプ」の名を冠し、名作を多数生み出してきた『月刊少年ジャンプ』と、ビックネームが次々と休刊となっています。昔から、ネームバリューがあっても、部数が低くなれば廃刊になるのが雑誌でしたが(平凡パンチ朝日ジャーナル、GORO等)、マンガ雑誌は長年続いていればやや守られていた気がします。しかし、近年ではそんな聖域も崩れてきているのかもしれません。これは、広告などの出稿量なども関係あるかもしれませんが。ともあれ、このままだと同じように名前をよく知っているけど最近読んでいないなあ、というマンガ雑誌が、知らないうちに休刊になる、なんてことも頻発するかもしれません。このあたり、絶対休刊してほしくない雑誌があったら、買い支えるしかないかなあと思います。……そういえば最近単行本ばっかで『アフタヌーン』買うのサボってたから、ちょっと買ってくるかな。

月刊 アフタヌーン 2008年 07月号 [雑誌]

月刊 アフタヌーン 2008年 07月号 [雑誌]