1993年当時の『アフタヌーン』について語ってみる

最近に始まったことではありませんが、最近コミック雑誌が分厚くなっていますね。電撃大王でも600ページはありますし、少年ガンガンに至っては、1000ページを越えることもあるみたいです。しかし、昔から分厚かったコロコロコミックも含めて意外と軽いのですよね(かさばるけどね)。それは紙質が少年誌のものだからだと思います。しかしながら青年誌のような重めの紙質で、1000ページ越えを、増刊ではなく月刊で毎号のようにやっていた雑誌があるのです。それは『アフタヌーン』。最近また厚くなり始めたようですが、実は15年前からその伝統?はあったのです。

現在でも『ああっ女神さまっ』『無限の住人』『ラブやん』など、比較的層が厚め、そして本自体も厚めな雑誌ですが、これもまだ昔の比ではないです。私は雑誌は場所を取るのでなるべく捨てるようにはしているのですが、どうしても当時のアフタヌーンだけは捨てられず、(分厚いのに)五年分くらいがとってあります。今日はそこから1993年10月のアフタヌーンを取り出してきました。

『アフタヌーン』1993年10月号表紙 『アフタヌーン』1993年10月号背表紙

だいたい1020ページ、表紙にも「OVER 1000 PAGES」って書いてあります。実は、アフタヌーンも創刊当時は中とじの同社発行のモーニングのような形だったのです。しかし、ある時から少年誌のような綴じ方になり(無線とじって言うのかな?)、さらに『逮捕しちゃうぞ』が連載されていた『モーニングパーティー』が休刊となり、その連載陣がこちらに移ってくる感じとなりました(ただし『逮捕しちゃうぞ』は、すでに女神さまが始まっていたこともあって、そこで連載終了。だけどその後アニメ化を何度もされたりするとは全然思わなかった)。そこから何故か毎号少しずつ増えてゆき、あっという間にこんな分厚い雑誌になってしまったのですね。暑さにしてみれば、まさに電話帳。夏のコミケカタログより厚いといえば、わかる人にはわかるでしょうか(ただし重さはコミケカタログのほうが紙が薄くてページが多いので上)。安永航一勝Sの『頑丈人間スパルタカス』(当時まだあった『少年キャプテン』で連載)では、アフタヌーンを石抱きの刑の重しにしている絵があったような。コンビニに置いてあったのが奇跡的かも。

しかし、本当にすごいのはこの厚さが伊達ではないこと。それは当時の連載陣を見てもらえばわかると思います。

筆頭は現在でも続く『ああっ女神さまっ』(7〜9巻ぐらいの絵が安定していた時期)、それに『寄生獣』が連載されています。ちなみにこの号は、母の死でも泣けなかったシンイチが、敵を倒した瞬間、平和だった時の空想をしてしまって、涙があふれてくると言う感動的なところ。

『アフタヌーン』1993年10月号『寄生獣』

それだけではなく、園田健一(以下、今日は敬称略で)『ガンスミスキャッツ』、麻宮騎亜『アゼンブラOX』、あさりよしとお『ワッハマン』、植芝理一『ディスコミュニケーション』、それに刑務所に行く前の花輪和一が『天水』を連載していたり、坂口尚の遺作となってしまった『あっかんべェ一休』などが連載されています。ちなみに現在『プ〜ねこ』連載中の北道正幸の連載デビュー作、『スカタン野郎』の連載第一回目がこの号でもあります。

『アフタヌーン』1993年10月号『ディスコミュニケーション』

あと、『二十面相の娘』の小原愼司も『ぼくはおとうと』という作品で連載してますし(このすぐ後『菫画報』が始まるはず)、もう少しすると、沙村広明『無限の住人』や、高橋ツトム『地雷震』(当時、欄外コーナーにコメントを送ったら年賀状を送ってきてくれたいい思い出が)、赤名修&真刈信二の『勇吾』、芦奈野ひとし『ヨコハマ買い出し紀行』、黒田硫黄『大日本天狗党絵巻』や、ハグキ『ハトのおよめさん』、駒井悠『そんな奴ァいねえ!!』も始まるはず。それとここにはありませんが、『げんしけん』の木尾士目が、『陽炎日記』というもので不定期連載をしていたり、『EDEN』の遠藤浩輝が、四季賞で名作短編を連発していた時期でもあります。

つまり、雑誌の分厚さに負けないくらいとんでもなく層が厚かったのですね。たしかに女神さまから天狗党まで載せる方向性がやけに混沌とした雑誌だったにもかかわらず、毎号楽しみにしていたし、ほとんどのマンガは読んでました。手が真っ黒になるくらい(今の青年誌でもそうですが、この紙質はインクが手に移りやすいのですよね)。

あと、当時この雑誌、懸賞がかなり当たりやすかったのですよね。それは講談社という大手にもかかわらず、その中ではマイナーで、部数は他と比べて低かったからかもしれません。すごい時だと、3ヶ月に1度は当たっていたような。

その後、多少迷走した時期もありましたが、現在でも面白い作品が多い雑誌だと思います。そのためか、他の雑誌がどんどん潰れていく中でも、ちゃんとこの雑誌は(いろいろ変遷しながらも)生き残っているのでしょうね。

『アフタヌーン』も創刊から20年以上が経ち、わりと長生きしているほうに入ってしまいましたが、こういった試行錯誤していた、しかしそれらが充実していた時代もあったのですね(今が悪いというわけではないですけど)。まあ当時から自分もかなりマンガを読み続けて、新鮮さを味わうことは難しくなってきたかもしれませんが、願わくば、この頃みたいに「発売日が待ち遠しい」と思え、早売りの少し遠い書店まで自転車をこいで行ってもいいような雑誌にもう一度出会いたいですね。

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