空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

ジャイ子と結婚して生まれるはずだった子ども達はどこにいったのか

先日の『ド・ラ・カルト』をぱらぱら読み返してみたのですが、そこでのび太の家系図というのがありました。それはタイムマシンで行ったときのご先祖様(のびろべえ等)から、おじいちゃん、おばあちゃん、パパ、ママとつながり、そしてその下のび太の子ども、ノビスケやセワシにつながるという概要を示したものです。なかなか参考になります。特にわママに男の兄弟が2人(一人は名前ありで玉夫おじさん)、女の兄弟が一人いるあたり。ちなみにパパはゾウの感動的な話で有名なのび郎おじさんです。

で、この図で思ったのですが、のび太からは実線でしずかに、点線でジャイ子に結ばれているのですね。これは実際に進む未来と、1巻の時点でそうだったはずの未来の2つです。さて、ここで思ったのがそれぞれの子どもについて。

しずかとの子どもは「ノビスケ」がいますね。その曾孫がセワシになります。そしてジャイ子とのルートでも子どもがいました。これは第1話で見た未来の写真にも(会社が火事になったのと同じく)写っていますよね。で、そこにはジャイ子とのび太のほか、似ている子どもが6人写っています。

ここで疑問。では、ジャイ子ルートで生まれるはずだったそれらの子どもは、どこに行ったのでしょうか。



第1話では、のび太がセワシに対して「歴史が変わったら君は生まれなくなる」と疑問を投げかけるシーンに対して、大阪と東京のルートで説明して、歴史の流れは変わっても結局は生まれてくるよ、と言います。これは、セワシ視点のものですが、ではこれらの子どもから見たらどうか。ノビスケは片親が変わっても生まれてきていることになりますが、それ以外の子どもは存在が消滅しています。さっきの大阪と東京の例で言えば、新幹線に乗ったあまり、途中の駅をすっとばしてしまった感じ。しかしそれでは、前述のセワシの説明にも矛盾が起きることになります。

しかし、それを解消する方法はあります。要は子どもが存在すればいいのです。
ひとつは、ノビスケ以外にもしずかとのび太の間に子どもが存在したということ。つまりノビスケに兄弟がいるという可能性ですね。のび太はよく未来に行きますが、だいたいはノビスケが10歳程度の時、つまりのび太がせいぜい30代(もしのび太のパパと同じくらいに子どもが誕生したなら36歳)となります。それならばその後子どもが生まれても不思議ではないと思います。

しかしあと5人も誕生するとなると難しいと思うかもしれませんが、そこでもうひとつの可能性、つまりジャイ子も将来、のび太以外の男性と結婚して(本編では「もて夫」というキャラが出てきますが、その可能性もあり)、子どもが生まれていれば、それはちゃんとジャイ子ルートで生まれるはずだった子供がジャイ子の子どもとして誕生しているということになります。つまり、のび太の子ども+ジャイ子の子どもが6人ならば、矛盾は起きないのではないでしょうか。ただ、ノビスケは本来ジャイ子ルートでしずかが誰かと産む子供だったという可能性もありますから、しずかルートでのジャイ子とのび太の子どもの合計数が6人とは限らないと思います。つまり先の写真の中には、ノビスケになる子供がいるともいないとも言えないわけで(人間の存在のもととなるものが精子と卵子どちらにあるかとかなると収拾がつかなくなるのでやめておきます)。
余談ですが、『ド・ラ・カルト』には、ジャイ子の救済策(マンガが評価されるとか、もて夫の存在とか)も描かれていることにも触れられています。そのあたり、この作品のやさしさでもあると思います。


しかし、1巻での何気ないセワシの発言が、そこまでふまえてのものであったとしたら、ドラえもん世界の未来っていったいどれだけのものが解明されているのか、非常に興味深いですね。

ド・ラ・カルト ドラえもん通の本(小学館文庫)