サイト運営におけるアルジャーノン・ゴートン効果

『アルジャーノンに花束を』というダニエル・キイス作のSFの名作があります。ご存じの方も多いことでしょう。そこには『アルジャーノン・ゴートン効果』という単語が出てきます。それは「人為的に誘発された知能は、その増大量に比例する速度で低下する」というもの。

しかしこの、成長の速度に比例して衰退するという現象、何も人為的に誘発された知能だけのものとは言えず、あらゆるものに言えるのではないでしょうか。

例えば芸能界。昔から、突発的にブレイクする芸人というのは大勢います。最近だとさらに増加してますね。しかし、3年経ってその勢いを保つどころか、ほとんど出番がなくなってしまう人が大半です。これは一発芸タイプの芸人に多いようですが、つまりはその一発芸が飽きられてしまった時、残るものが何もないので、消えてしまうという感じでしょう(逆に言えば、ブームになってもその後も生かすもの、例えば漫才なりトークの腕みたいなものがある人は生き残るでしょう)。

話変わって日本の歴史。その昔、『官打ち』という呪法があったとされます。これはその人の器に見合わない急激な官位を授けることによって、呪ってしまうというものです。歴史的には後鳥羽上皇が源実朝に仕掛けたと言われています*1。これもある意味、高い官位に伴う責任に対しての準備が本人に出来ていない状態で精神的プレッシャーを与えることによるものと考えることが出来ます。つまり四月に入社した新人に、いきなり社の命運を左右するプロジェクトの責任者にしてしまう感じ。

これらは微妙に違いますが、共通しているのは土台(腕なり精神的耐久性なり)をしっかり作っていないのに、いきなり高く積み上げてしまったので、それが崩れやすいということではないかと。『アルジャーノン・ゴートン効果』も、ある意味知能という人間が手に入れるのが非常に困難である部分をドーピングで上げても、それを支え続ける基礎が出来ていなかったために、ドーピングの効果が切れると同じようにもとの位置に戻っていくようなものかもしれません


さて、実は今日の本題はここから。

このアルジャーノン・ゴートン効果のようなもの、サイトの運営にも言えるのではないでしょうか。

アクセスを増やす方法というのはわりとあります。ニュースサイト等、他の有名なところに紹介してもらうというのは、一番効果的かもしれません。そうすると『アクセス津波』というものが起きます。私も経験がありますが、2ケタ程度だったのが、いきなり1000オーバーになること。それは最初はすごく驚きました。数人しか見ていないと思ったものが、いきなり1000人単位の目に留まるようになったのですから。しかしこれ、津波という言葉が示すように、引くのも早いです。うちの場合、とんでもない時には20000アクセスを1日で超えたことがありましたが、ほぼ数日でもとの数値に戻ります。先のアルジャーノン・ゴートン効果に照らし合わせれば、「(他の媒体により)誘発されたアクセス数は、その増大量に比例する速度で低下する(危険性がある)」といったところでしょうか*2

でもこれ、当たり前なのですよね。ニュースサイトさんは日々更新します。するとリンクも下がり、そして過去ログに流れます。そうすれば元のアクセス数に戻るだけです。そう、アクセス数が減ったのではなく、元に戻っただけです。それは、その紹介されたエントリーの効果が切れたから。

正直、このブログもスパムブログ扱いされているっぽいので(参考・『うちのブログは検索エンジン的にはいらない子?』)、検索エンジンからのアクセスはほとんどなく、専らニュースサイトさんからのアクセスです。でも、1日20000ということがあっても、どこにも紹介されなければ500に満たないこともよくあります。となると、このブログは実態はそんなに地力のない、言ってみれば『バブルブログ』なんじゃないか、と思うわけです*3

でも、記事を書かなくても、そしてニュースサイトに紹介されなくてもアクセス数を集められるサイトって、それこそ(著名人系を除けば)ごくごく少数だと思うのですよ。例えばちゆ12歳(更新停止中もReadMe!の上位だった)みたいに。そしてそういったサイト並の力を持っているとは、どんなに奢っても言えそうにありません。ならバブルブログでも、その一番下にある石鹸水を増やしていくしかないと思っています。

では、バブルじゃない、安定したアクセスを得るためにはどうすればいいのか。それは以下に答えがあります。

Blogのアクセスアップに効果があるたった一つのこと(情報元:DONTAKTさん)

「続けること」、結局はこれではないでしょうか。

ニュースサイトさんで紹介されるものは、ある意味そのニュースサイトさんの1コンテンツと見なすことも出来ますので、そのアクセスにはそこの力が大きいと考えます。ですが、続けてゆき「空気を読まない中杜カズサ」というサイトをブックマークなりRSSなりで、ここに行けば面白いものが読めると期待してくれる人が増えれば、それが土台の力になると思うのです。だけどそれをバブル的に増やす方法なんてありません。ですので確実に「続ける」ことしかないかなと思いつつ、今日もブログにいろいろなことを書いています。

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

*1:結局実朝は暗殺されてしまうわけですが、それのせいかどうかは微妙なところ(暗殺を仕掛けたのは、天皇精力と相反する北条氏だって説がわりと有力ですから)

*2:もちろん「僕の見た秩序。」さんみたいに注目(へえ。ボタン)を集めた後もアクセス数を集め続ける地力のあるサイトもありますが

*3:このへんで「じゃあサイト規模の測定は何を基準にすればいいのか」という疑問が出てきますが、それも「どっからが大手サイトなのか」と同じく昔からある議論だと思います。それは長くなるので日を改めて。