職場の選択はあまり目立たない要素がかなり重要かもという話

さて、このような記事がありました。

植松氏がスクウェアを辞めた理由

ファイナルファンタジー』などの作曲で有名植松さんがスクウェアをやめた経緯が書かれています。まあもっともこの方はフランクな方なので、全部を本気で取らない方がよいでしょう。スクエニが占い師で本社を決めたとかありますがもちろんそれだけではなくて、旧エニックスが新宿、旧スクウェアが目黒にあったのでエニックス側にしただけでしょうし。

さて、ここで退職の理由として「新宿が好きではない」ことと「通勤時間」が挙げられています。これを見ると植松さんがかなり軽い気持で退社したように思えますが、この要素、実は軽視できないのではないでしょうか。*1

普通転職の理由としては、「賃金」と「職場環境(人間関係)」が挙げられることが多いです(よく言われるスキルアップは退職時の言い訳の要素の方が強い気がします)。しかし、たとえ上の二つが満たされていたとしても、もし通勤時間が長かったらどうでしょうか。一日数時間、満員電車で揺られながら来るのと、自宅から数十分、自転車で行けるところ。どちらを選ぶか、といえば多くの人が後者だと思います(ただし自宅に仕事を持ち込まない&同僚の宿泊所にされないという前提をふまえての話)。そう、たとえ賃金が高くても、通勤時間が長くなるというのはその苦痛の時間を増やしているというわけですね。そして何もこれは満員電車ではなくても、通勤時間自体が時間を売り渡しているのと同じです。例えば往復で2時間だったのに3時間の会社に転職すると、1日の時間のうち1/24を会社のために渡しているのと同じことになるわけですよね。会社が終わって家に帰ってきて寝るまでのプラス1時間がどれほど貴重か、勤めている人にはわかると思います。そして累積すると、1ヶ月に約20時間、1年では約240時間(年末年始休みとかで変動はありますけど)、会社のために渡しているのです。片道30分でこれですから、1時間違うとその倍です。

つまり、通勤時間を転職に考慮しないということは、人生のうちそれだけの時間を売り渡しているかを計算していないことになるのではないでしょうか。金を1円でも貯めたい、と思う人ならば、それを時給換算してそれより上なら我慢できるでしょう。しかし、現代では仕事が忙しくてお金を使う時間もない、という勤め人も多いでしょう。となると、多くの人にとっては見える賃金よりもよっぽど重要なのが通勤時間だと考えます。ま、通勤時間中に本を読んだりといろいろしている人はいますけどそれも消極的選択肢であり、且つ全部を自由に使えているわけではないですよね。これらがイマイチ目立たないのは、企業が手を打てないからでしょう。それこそ通勤ルートなんて社員の数だけあるわけですし。せいぜいフレックス通勤にするくらいでしょう。

でも、通勤は無理でももうひとつの隠れた要素、すなわち会社の環境くらいは選ぶことが出来ると思います。これは仕事に携わる職場の環境ではありません(そっちも重要でしょうが)。例えばコンビニが近くにあるか、飯は旨いか、新入社員でも食える吉野家松屋はあるか等。人間、食もかなり重要です。それらを毎日こなすわけですから、これらのあるなしは実はかなり重要ではないでしょうか。実際私が新社会人時代に虎ノ門のほうに仕事に行って板敷きがあるのですが、あのへんはメシが高いわ、かといってマックもなければ吉野家松屋といった安い店もないわで、結局コンビニ弁当しか食べずに不満が溜まった思い出があります(そのコンビニも混雑していたし)。私にとっては新宿は雑多でもそれが好きなのですが、植松さんは逆にそれがなじまなかったと。たしかにあまり好きではない地域に毎日行く苦痛はわかります。今、虎ノ門に通えと言われたらイヤですしね。ま、私の場合は山手線の西側地域(池袋や新宿方面)で生まれてから過ごしているので、それのせいもあるのですが。


そんなわけで、植松さんの発言は会社勤めの人としてみると、かなり理にかなっていると思ったわけです。まあもっとも賃金が一定以上ではないとここまで自由に選択できないとは思いますけどね。でも、転職の時とか賃金を多少削ってでも通勤時間を短くしている人、実はかなり大勢いるのではないですか? 逆に言えばそういうのをうまく攻略した企業が、賃金面でのチキンレースから脱却して、良い人材を多く集められるかもしれません。ま、そんなのを考えつけば苦労はしませんけどね(せいぜいそういった食事や娯楽の選択肢が多い土地に会社を建てるくらい? 東京だと通勤ラッシュから逃れられるところないですからねえ……立川とか私鉄下りに置いても、逆方面の人は山手線区域を乗り越える必要がありありますし)とはいっても、一番重要なのはやっぱり「人間関係」だと思います。


まあ私は今は会社勤めじゃなくて自宅作業なので、そんな人間が何を言うかと突っ込まれたらそれまでですが、昔の通勤ラッシュを思い出してこんなことを書いてみました。

全ての人にとって、1日は24時間、1年は365or366日しかないのだから。

*1:まあ実際このころには植松さんは退社して独立しても十分やっていける実績があったと思われますけどね。もちろんそれも考慮したとは思います。