携帯小説書籍がベストセラーになる現状をプラス思考で考えてみる

だいぶ時間が経ってしまいましたが、昨年度のベストセラーが発表されました。

■TOHAN 2007年 年間ベストセラー発表 〈単行本−文芸〉部門 ※リンク切れ

これによると上位は以下の3つ

1 恋空 切ナイ恋物語 (上)
恋空 切ナイ恋物語 (下) 美嘉 スターツ出版
2 赤い糸 (上)
赤い糸 (下) メイ ゴマブックス
3 君空 ‘koizora’another story 美嘉 スターツ出版

お気づきの方もいると思いますが、これ、携帯小説の書籍化なのですよね。携帯小説に関しては、一部での盛り上がりや評判に反して、反発する意見も多数見られます。それは文章の稚拙さであったり、過激な表現だったり、涙を流させる要素をテンプレート的に使っている等。このあたりはAmazonのレビューなどで見てもらうといいとして。私もちょっと呼んでみましたが、自分には合わないなあと感じました。しかし、これが去年のベスト3ということで、かなり複雑に思われた方はいると思います。それはこんな本が売り上げで上位を占めていいのか、日本の文芸は本当に大丈夫なのかという感じで*1

しかし、私はこの状況はそこまで深刻ではなくて、ある意味においてはプラスの要素もあると思います。何故そう思ったのかというと、ここにニンテンドーDSがあったから。

ニンテンドーDSは一昨年前から昨年にかけてとんでもない品不足となりました。それは本来ゲーム機を買う対象ではなかった層が購入したためといわれています。それは例えば『脳を鍛える大人のトレーニング』をするために中高年が、『おいでよ どうぶつの森』をするために女性層がという感じで。これによりゲーム人口は広がりを見せることになります。一昨年〜昨年ほどの勢いはないにせよ、今でも電車の中でDSをやっている人は男女ともわりと見ますね(やっているソフトまでは確認したことないですが)。

さて、ここではそれまでゲームとはほとんどなじみがなかった層を取り込み、ゲーム人口を増やすことに成功しています。となると、これと同じことが本でも言えるのではないでしょうか。

今まで携帯小説を読んでいた人たちが、一般の文芸書、例えば芥川や太宰の小説を読んだことがあるのか、となると、それほど多いような気はしません。もしくは宮部みゆきや京極夏彦みたいな面白さもあって比較的読みやすい本でもそんなにはいないと思われます。もしそうだったら、この携帯小説がなければそういった読者は永遠に文芸書籍に触れることはなかったかもしれません。しかし、携帯小説からでも入ってきたということは一応文章に触れた、ということなのですよね。もちろん全員が全員これからも本を読み続けるわけではないでしょう。今あるタイプの携帯小説が飽きられると同時に、本を読まなくなる人もいるでしょう。しかし、今回本に携わった人がそれを間口として面白い物を求め、本を読むようになれば、結果としては本を読む人口が増え、良かったと言えるのではないでしょうか。

たしかに最初に挙げたような携帯小説の問題から、全体のレベルの低下を憂う人もいるかもしれませんが、おそらく携帯小説自体も現在の形の物は一種のブーム的なので、歴代のそういったものが多数あったようにやがて飽きられると思っています。ちなみにこの手の携帯小説の書籍化に関しては文芸にカテゴライズされてますが、個人的には『本当にあったこわい話』のような企画本にカテゴライズされるんじゃないかなあと思っています(よく著者名が出る奴ではなくて○○研究会とかなっている奴ね)。それは制作過程とかから。もちろん全部が全部とはいいませんけどね。

そしてその後には携帯小説という形態が進化する可能性があるは思います。ライトノベルだって、10年以上前と今では認識のされ方がだいぶ違っていると思いますし。

10年後、このプラス思考の通り文芸は良い方向に働いているのか、それとも真逆なのかは神のみぞ知る、といった感じでしょうか。

*1:ちなみに読む人の批判はしません。私だってそういう人たちから見たらアレだろうオタク系のものを多く読みますし。

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