ドラえもんの凶悪道具『タイムふろしき』について考えてみる

よく、ドラえもんの中で「これさえあれば他はいらない」的な反則道具として、「ウソ8OO」「ソノウソホント」といった、言ったこと(ウソなら反対のこと)が現実になってしまう道具というのがよくあげられます。そのせいか、登場回数はかなり少なく、おそらくそれぞれ1回(『ソノウソホント』、『帰ってきたドラえもん』)のみでしょう*1

余談ですが、「ウソ8OO」は、将来ののび太がドラえもんといっしょにいないとすると、願い事にも有効期限があると推測できます。これ、この前の『「願いごとを増やしてくれ」という願いは成立しない?』と同じで、願い事が限定的期間である場合の時制を問わない願いはかなわないというパラドックスのようなものが起きてしまうので。まああの再会の場面は願いが叶う事じゃなくて、のびたがそう言ったことが感動的なのでさしたる問題ではないでしょう。

それはともかく、この二つほどではないにしても、よく考えてみるとかなり凶悪な道具というのは存在します。特に一番は「死んだ人を復活させてしまう可能性のある道具」。昔、『ドラえもんは人を生き返らせない』でも書きましたが、ドラえもんにおいて人を生き返らせる話はなく、唯一犬をタイムマシン+病気を治す薬で未来を変えているだけです。これもおそらく反則的な話で、その後の長い歴史で同じ方法は二度と使われません。

しかし、この時のコメントで戴いていたのですが、こうではなくてもよく知られているドラえもんの道具で上の方法でもなく、しかも上の二つ以外でそれが出来てしまう道具を使っているのですよね。それもかなり頻繁に。その名前は「タイムふろしき」。

ドラえもんをそれなりにしか知らない人でも「タイムふろしき」の存在を知っている方は多いでしょう。一応言っておきますと、包んだ(かぶせた)ものを過去の状態、裏ならば未来の状態にしてしまうものです。

さてこれの使い方は色々あるのですが、多くは壊れたものの復元に使われます。そしてこれはなんと生物にも使われているのですよね。映画にもなった『のび太の恐竜』では、化石の卵だったピー助を卵の状態に戻して孵します。これ、死んだ者を生き返らせているのではないでしょうか。また、スネ夫のママが鰐皮のバックを新しいものにしようとして、ワニに戻してしまう話もあります。これも死者を蘇生していることにならないでしょうか。これを人間に使うことが出来れば、ある意味凶悪な殺人兵器にもなります。胎児に戻してしまえばいいわけですから(ジョジョで言うところの3部アレッシー(セト神)みたいなもの)。

さらに不思議なことに、鰐皮の件を見ると「質量保存の法則」を無視しているわけですよね。つまり鰐皮のバッグを過去にしたら、あの切れ端の部分のみ蘇生されなければいけないのに、そうじゃなくてまるごとワニをもってきている。これを応用すれば、映画の『ジュラシックパーク』が作れます。当然それにおける恐怖も。

しかし、どうもこれは反則過ぎます。科学である以上質量保存の法則は守ってもらわないと。ここで思うにこのタイムふろしきという道具は、「その物質を過去の状態に戻す(未来の状態にする)」のではなく、「その物質を過去の状態(未来の状態)からもってくる」のではないかと。つまり、タイムふろしきに包まれたものは厳密にはもとのものと同じものではなく、その物質が過去にあった状態。つまりタイムマシンでその物質の過去の姿(未来の姿)をそこに持ってくるという行為をしているのと同じということ。これならば、内部の質量は変わっていてもそれ自体が変化しているわけではないので矛盾しないと思います。*2

そもそも物質を変化させるものだった場合、タイムふろしきというものは存在できなくなるのではないでしょうか。それは「タイムふろしきが時間の状態を変化させるならば、タイムふろしき自体も時間の変化に晒されるわけで、どちらもタイムふろしきという物質を構成する前の姿(原子?)、もしくはその物質を構成出来なくなった未来の姿(原子?)になってしまう」というパラドックスに引っかかってしまうからです。まあWikipedia-タイムふろしきによると、最近『のび太の恐竜2006』で停止機能がついたみたいですけど(後付設定かな?)。


では人間の場合はどうでしょう。これも同じように状態を過去(例えばジャイアンを赤ん坊に)や未来(例えばのび太を大人に)にしてしまいますが、記憶は保たれています。これも状態を変化させたなら過去から未来はともかく、未来から過去に戻った場合は脳の状態が変わるわけですので、記憶がなくならなければおかしいはずですがそうはなっていません(赤ん坊になったときは不明)。これもおそらくは質量変化から上の論理が通用すると思いますが、では意識は何故保たれているのか。ここが難しいところですが、おそらく記憶だけは保存する処理が行われているのかも。

いや、でもさすがにこんな凶悪な道具には、人間に対してはフェイルセーフがかかっているのではないかと思うんですよね。それの可能性がこれ。

ドラえもん無人島ネタは、ドラえもんの仕掛けた罠

無人島で何年も暮らしたのび太を最後にタイムふろしきでもとの年齢に戻すという、ドラえもんの中でもシュールな話ですが、ここで大人の記憶が子供に戻ったときののび太にも保存されていて、「なつかしいお父さまお母さま」となつかしがります(半ギャグで)。でも人間を過去の状態に戻した場合、脳の状態も過去になるわけですから、なんらかの処理をしないと記憶を保っているのはおかしいですよね。そうるすとやっぱりこの件は「ドラえもんの仕組んだもの」だったという説を使えば(まるで「どくさいスイッチ」の時みたいに)、実際はのび太が10年過ごしたと思いこんでいただけで、実際はタイムふろしきも使っていないことになると思います。

これと同じで年齢を変化させる話はほかにもありますが、何らかの例外的処理が行われていた可能性はあるのではないかと思うのです。例えば未来のしずちゃんに雪山でプロポーズしようとする話でも大人ののび太になりますが、これも一時的に風邪で寝込んでいる未来ののび太の身体を借りる処理が行われていたとか。

ま、未来では人間の知性がそれなりに進化しているのか、もしくは現在と同じく宗教の倫理問題で「死者の蘇生はタブー」とされているのかわかりませんが、そのくらいは考えていないとあれだけの科学は無事な状態で発達しないと思ったりします。


映画ドラえもん のび太の恐竜 [DVD] ドラえもん のび太の恐竜
昭和50年代生まれの自分は、あえて旧映画版を貼る。

*1:「うそつ機」は、超現実までに作用しなさそうなのであえて除外

*2:まあ微妙に歴史を変えているのは問題ですが、それはまた別件(ドラえもんでそれを言い出すときりがないので)。