『コミックガンボ』の敗因を考えてみる

無料のマンガ雑誌として話題になった『コミックガンボ』が休刊のようです。それと同時に発行元も業務停止みたいです。

■コミック・ガンボ:発行元のデジマが事業停止 負債総額2億円 ※リンク切れ

コミックガンボ

そういえば同じ頃に創刊された、『コミックヨシモト』も休刊しましたし、「ナニワ金融道」の新作などが載せられて同じような雰囲気がしていた『COMICジャンク』(あおば出版)も廃刊&出版社が倒産してしまいましたね。

実はいつか「『コミックガンボ』はコミック雑誌の基準値になるかもしれない」というのを書こうとしてしました。これは簡単に言うと、無料である『コミックガンボ』より、魅力のあるマンガがない、もしくは少ない場合、その雑誌は有料では成立しない。つまり『コミックガンボ』が漫画誌存続のための面白さの基準となるかも、というものです。ただ、今回この無料マンガ雑誌というモデルが成立しなかったので、これも成立しなくなってしまったわけですが。

では、何故「無料」というアドバンテージがありながら、『コミックガンボ』は存続できなかったのでしょうか。

上記リンク先でも理由が述べられていますが、この雑誌の無料分の採算は、広告収入と単行本の売り上げで賄われる予定だったと書いてあります。しかしそれは成立しませんでした。たしかに駅などに毎週置いてあるリクルート発行の『R25』は無料で成立しているのですから、無料雑誌自体が無理だということではないのに、これが成立しなかったのは何故か、というのが疑問になります。

原因のひとつは「あまりにも配られる範囲が狭かった」というのがあると思います。この雑誌の配布は、一定の時間帯に黄色のジャンパーを着た作業員が配る方法がとられています。手元の『コミックガンボ』を見てみると、場所は山手線と中央線の主要駅(その他大宮や横浜など)。時間は火・水の朝と夜各4時間くらい。この時点で人件費がかなりかさんでいるということも予想されます。ただ、これだけ手間をかけても、流通量はおそらく駅に置いてある『R25』よりかなり少ないと思います*1。せめて、ニッセンのカタログみたいに多くの本屋の店頭とかが使えればだいぶ違ったかもしれませんが、不可能だったのでしょうね。

*1:余談ですが、『R25』があれだけ薄いのは、別にケチっているわけじゃなくて、置くスペース的にもアレが限界なのかもしれません(それ以上増やすと、雑誌が渡る絶対数が減りますし)

さらに悪いことに、この手渡しの場合必ずもらえるかどうかわかりません(『R25』だってよく空になっているし)。というか、全号持っている人はどれくらいいるのでしょうか。かなり意識しないと集められないかと。それなのに、漫画の連載形態がほぼ全て連載型になっていたのがミスだったと思います。つまり、1号読み逃したものを、次に読む気になるか、ということ。それはよほど面白いと思ったものでないとその気にはならないでしょう。たしかにWebでの閲覧はできますが、それなら既存のWebコミック誌と大差ないわけですし(そもそも2号以前のバックナンバーは有料だったらしい)。これが読みのがしてもあまり影響のない『人間噂八百』みたいなものばっかりだったら、それなりに違っていたのかも。事実この漫画だけはもらったときには暇つぶしに読めました。

前に『『コミックヨシモト』が中年層向け漫画誌だった理由を考えてみる』でも語りましたが、この手の対象年齢層が高めな雑誌は、数年、いや数十年単位で連載を育てないといけないという必要があったのに、それができなかったのもあるのかと。まあ雑誌の性質上不可能なので、そもそも対象年齢自体を間違えたような。でも、駅で配って取っていくのってサラリーマンだからそこを対象にしないといけないし……結局成立しない市場に突っ込んでしまったのかなあ。そんなわけで、需要が増えなければ広告収入は伸びないわけで、そっちの回収がうまくいかなくなったと推測出来ます。

では、もうひとつの柱となる予定だった単行本収入の方はどうでしょう。……言いづらいのですが、ぶっちゃけ個人的には単行本を買うほど面白いものはなかったです。まあこれも前述の連載作の読み抜けがしょっちゅう生じてしまったせいもあるのですが、連載作はほぼ面白いか以前に「わからない」、でもって唯一連載作で4コマ形式の「人間噂八百」だけを読むという感じ(うんちく関係は比較的対象が広いと思います)。でも作家陣には魅力ある人も見受けられるのにもったいない……(ちなみに渡辺電機(株)氏の漫画は、最後まで載っている号を入手することはなかったです。これは読みたかった気もするなあ)

試みは面白かっただけに勿体ないなあと思いますが、まあシステム的に無理があったのは上記の通りなのでしょうがないとも言えるでしょう。

だけどこうなると、これも同じ時期に創刊された、雰囲気の似ているサラリーマン雑誌『コミックチャージ』がどうなるかが心配なところです。一応コンビニの棚では見るけど、大塚英志氏の漫画以外、よくわからないんで何とも言えないのですが、売れているのかなあ……まあこっちは有料ですし、角川書店という大出版社ですから長い目で見るつもりがあれば持つかもしれませんけどね。

■追記

Wikipedia-コミックガンボを見てみると、どうやらノウハウ不足も原因だった感じがします。あときりえれいこさん、牧野博幸氏といった、初期〜中期ドラクエ4コマの人が描いていたのを今知りました。しまった、ここだけでも読んでおけば良かった……(特に牧野氏)。

■さらに追記

この後、別ブログで詳しく書きました。

『コミックガンボ』というマンガ雑誌をご存じでしょうか……と書いても、おそらくそれなりにマンガに詳しい人ではないとそれについて知っている人は少ないと思われます。ただ、数年前に都市部で通勤、通学をされていた方なら、もしかしたらこれを手にとったことがあるかもし

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